港湾で働く人々を守るため、港湾運送事業法の無許可事業者による法令違反には厳正に対応すべき 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2024年3月27日衆議院国土交通委員会

○長坂委員長
次に、城井崇君。

○城井委員
立憲民主党の城井崇です。
斉藤国土交通大臣、本日もよろしくお願いいたします。
早速、質問に入ります。
港湾運送事業法の無許可問題、港湾倉庫、そして特定港湾倉庫の指定の在り方と職域の問題について国土交通大臣に伺います。
これらの問題に関し、港湾で働く皆様から、港湾において法律の解釈のねじ曲げ、あるいは法律の穴、抜け道によって雇用と職場に関わる問題が発生している、また、国土交通省と厚生労働省に申入れを行ったが、問題の解決に至らず不安が残っているとの御意見をいただきました。
具体的には、国土交通省所管の港湾法、港湾運送事業法、そして厚生労働省所管の港湾労働法について理解が不足している事業者が倉庫や営業所を構えて事業を行っており、法律を守って事業を行ってほしい、こういう意見であります。
そこで、大臣、問題事例の一つ、大阪港近畿運輸局管内で港湾運送事業や倉庫業を10数年の間、無許可、無免許で港湾運送事業法の許可なく事業が行われている件を確認させてください。
無免許は明らかに法律違反です。
国土交通大臣はどのように把握していらっしゃいますか。

○斉藤(鉄)国務大臣
昨年2月に大阪港労働公共職業安定所から近畿運輸局に対し、大阪港においてある事業者が無許可で港湾荷役を実施している疑いがあるとの情報提供がありました。
近畿運輸局にて調査を行った結果、当該事業者は無許可で港湾荷役を行っており、また港湾運送事業法の許可基準を満たしていないことが判明しました。
このため、近畿運輸局からこの事業者に対し違反事実を指摘するとともに、他の許可事業者に港湾荷役を代替させることにより違法状態を解消するよう、継続的に繰り返し指導しているところでございます。

○城井委員
昨年に情報提供があり調査、違反が判明し、その違反を指摘して、他者に代替するように繰り返し指導している、こういう答弁でございました。
実際に、現場からの聞き取りにも符合するところもあります。
近畿運輸局から検査に入り、事業者に違反と通告をしたということなんですが、残念ながら、通告で終わっており、他者に代替するように繰り返し求めているということですが、他者の代替までは至っていないという状況。
つまり、指導こそ行ったものの、事実上、無許可事業者が野放しの状況になってしまっています。
大臣、この無許可事業者での労働環境は、最低賃金以下、労働基準監督署がいつ入ってもおかしくない低条件だというふうに聞いています。
国土交通省は、この無許可事業者を、代替するように繰り返し指導したと言いながら、結果として放置し続けるんでしょうか。
大臣、どうなさいますか。

○斉藤(鉄)国務大臣
1年以上にわたり違法状態が続いていることは問題であり、誠に遺憾でございます。
先ほど答弁申し上げましたように、他の許可事業者に港湾荷役を代替させることにより違法状態を解消するよう、繰り返し継続して指導を行っているところでございます。
港湾運送事業法を所管する国土交通省といたしましては、無許可で港湾荷役を実施している事業者を放置することなく、違法状態を解消するべく、引き続き必要な対応を取ってまいります。
今後、期限を切って、可能な限り早期に違法状態の解消に努めることとし、違法状態が是正されない場合は、法的措置を視野に対応してまいります。

○城井委員
期限を区切ってとおっしゃっていただきました。
いつまでにやっていただけますか。

○斉藤(鉄)国務大臣
できるだけ早期にということでございますけれども、これからも指導し、期限としては3か月程度ということを念頭に置いております。

○城井委員
法的措置にも言及をいただきました。
具体的にはどのようなことをされますか。

○斉藤(鉄)国務大臣
法的措置、告発も視野に入れるということでございます。

○城井委員
国からの告発ということでの検討ということでございました。
私は、早期の、先ほど3か月をめどというお話が答弁からございましたが、それでは足りないのではないか、むしろ、ルールに潜む、港湾に関わる法律に潜む隙間を埋める必要があるというふうに考えています。
次に伺います。
特定港湾倉庫の定義、これを国土交通省とそして厚生労働省で統一すべきという観点から伺います。
特定港湾倉庫の定義は、国土交通省とそして厚生労働省で違いがあります。
国土交通省は、港湾運送事業法上の港湾となる陸域については法文上の明確な定めがないため、立法趣旨を勘案しながら、社会通念によって決めるべきものと捉えております、こういう説明をしています。
一方、厚生労働省は、港湾運送事業法上の港湾から、港湾労働法が適用される港湾、いわゆる六大港を除いた港湾の水域の沿岸から500メートル、水島港にあっては1,000メートル、鹿児島港にあっては1,500メートルの範囲内において厚生労働大臣が指定した区域、特定港湾告示で指定した区域内にある倉庫であって、船舶若しくははしけにより又はいかだに組んでする運送に係る貨物以外の貨物のみを取り扱うものでないものと説明しています。違うんですね。
特定港湾倉庫の定義はこのように国土交通省と厚生労働省とで違いがあることは、特定港湾倉庫の指定の在り方と職域の問題が解決しない状態が続く原因の一つとなっています。
この特定港湾倉庫の定義、国土交通省と厚生労働省で統一すべきだと考えますが、大臣、認識をお聞かせください。

○斉藤(鉄)国務大臣
委員御指摘の特定港湾倉庫につきましては、厚生労働省の所管する法令、労働者派遣法に基づくものであり、倉庫荷役を行う労働者の派遣が禁止されているものと承知しております。
一方、国土交通省が所管する港湾運送事業法及びその関係法令におきましては、そもそも労働者の派遣について触れておらず、特定港湾倉庫といった用語、考え方はございません。
したがいまして、国土交通省としては、特定港湾倉庫や労働者の派遣については厚生労働省の考え方に従うものであります。
国土交通省と厚生労働省において特定港湾倉庫の定義が異なるということはございません。

○城井委員
実際のところ、関わる事業者の皆さんが、今回の問題を起こしている無許可の事業者もそう、そして、その振る舞いに困っている周辺の事業者さんたちもそう、そこで働く方々は特にそうでありますが、今ほどの厚生労働省の考え方と、実際に、これまで国土交通省に確認を幾度も様々な場でされることがあって、そこで明確にならずに、そこがずれてきていて、今の状況で放置をされている。
先ほどのお話のように、本来、港湾運送事業法に係る港の地域においての仕事をその免許を持っている方がきちんと代替をしてできているならば、少なくともそこで動いている事業者さんについては免許を持っている方が対応できる、こういう話だというふうに思います。
ただ、先ほどのように、1つ目にお伺いをした無許可の事業者が他者に代替させることなく動いているという実情に目をつぶってきているところがあったのではないか。結局対応できずに来ている、これも、先ほど申した国土交通省と厚生労働省とのはざまにはまってきた、ここも一因があるというふうに思っているわけです。
ですので、今の話、厚生労働省の見解ということでしたら、その部分について、国土交通省からも、では、同様に、今ほどの特定港湾倉庫という考え方はないということでしたけれども、でも、港湾に関わる部分で、特に港湾運送事業と倉庫業の境目のところについて、どのように扱うかという点、ここを法律としてきちんと厳正に、特に港湾運送事業法に違反するところについては厳正に対処するんだと、港湾運送事業法の法律では見逃さないんだと、この点についてはせめて確認をしたいと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

○斉藤(鉄)国務大臣
おっしゃるとおりでございます。
特定港湾倉庫の理解につきましては、この法律であります厚生労働省の法律に基づいて、きちんとそこを議論するときに同じ定義で議論するようなことを徹底したい、このように思っておりますし、その上で、港湾事業法、国土交通省が倉庫等の作業について規定するこの事業法についての判断につきましては、その判断を、しっかり国土交通省の考え方を徹底していきたい、違反がないようにしていきたい、このように思います。

○城井委員
大臣、大事なところなので、もう一回確認です。
港湾運送事業法の法令違反には厳正に対応するということでよろしいか。
この点、明言いただけますか。

○斉藤(鉄)国務大臣
そこは国土交通省が所管する法律です。
厳正に対応してまいります。

○城井委員
大事な点を確認させていただきました。

この港湾運送事業法など関係法令をしっかり守って、そして、そこで働く労働者を守る手だてが必要だというふうに、今回の一件を調べながら感じております。

そのために、必要な手だてを増やす必要があると思っておりまして、一つ御提案であります。
まずは、港湾倉庫や特定港湾倉庫に関する問題を解決するためには、国土交通省と厚生労働省の枠組みを超えた協議の場が必要だというふうに考えています。

さらに、省庁の枠組みを超えて、行政、業者、労働組合が参画した形の、例えばでありますが、港湾機能対策会議といった名称での協議体を設けて、港湾労働の作業実態などの調査を行って、現場の実態に沿った必要な施策の改善を行うべき。
必要であるならば、場合によっては法整備も念頭に検討すべきではないかと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

○斉藤(鉄)国務大臣
一つ前の質問とも関連いたしますけれども、関係法令を十分に理解していない事業者の違法行為を防止するためには、まずは、法令を所管する各省庁が事業者に対して適切に指導を行うことが重要と認識しておりまして、国土交通省としても、港湾運送事業法などに基づき、引き続き監査等を通じて適切に指導してまいりたいと思いますし、先ほど申し上げましたように、きちっと法令を厳格に実行していきたいと思っております。
また、先ほど、協議の場を設けるべきではないかという質問でございますけれども、これまで、関係省庁間で連携した対応を行うことも重要と認識しておりまして、例えば、国土交通省としては、厚生労働省の港湾労働政策を検討する学識経験者、労働者代表、使用者代表から成る審議会に参加するなど、港湾運送事業法及び港湾労働法の適用に関し連携を図ってきているところでございます。
これに加え、港湾労働組合と国土交通省との定期的な意見交換も開催しております。
こうした日頃の、関係省庁間、また、労、使、行政、学識経験者、これらの連携などをしっかりと行い、事業者を適切に指導してまいりたいと考えております。

○城井委員
審議会への参加また港湾労働者団体との意見交換ということも含めてということで今お触れをいただきましたが、今回申したこの省庁の協議の場の提起あるいは関係者の協議体の提起というのは、これまでのこの審議会での取組や、また国土交通省と港湾労働者団体との意見交換の場でのやり取りも含めて、どうも今回のこの近畿運輸局管内での問題も、議題には上がったものの、でも、そこでのやり取りで結局手が届かずに、この1年も結局解決に至らずに来てしまっていたというのが実態でございました。
ですので、これまでのこの協議体などの協議の場などの在り方で本当によかったかどうかというのは、いま一度立ち止まって考え直してもらって、ここは改善が必要だというふうに思うんですね。
この点、御検討いただけますか。

○斉藤(鉄)国務大臣
先ほど申し上げましたように、これまでも、審議会などを通じた協議の場、また、国土交通省としても、先ほど申し上げましたような実際に働く方との協議の場などを設けております。
そういう場を活用しながら、しっかりと意思疎通、情報共有を行っていきたいと思います。

○城井委員
今ほどは近畿運輸局管内での問題を御指摘申し上げましたが、この問題は、いわゆる六大港のどこでも起こり得る問題であると思いますし、実際に他の港で同様の問題もあります。
先ほど大臣に確認をさせていただいた法令違反への厳正な対処など、国として適切な対応を速やかに行っていただくように強く要請したいと思います。よろしくお願いします。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)