「未公表の人事情報を慣習的に外部送信」、国土交通委員会一般質疑を振り返る 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

5月12日の衆議院国土交通委員会一般質疑での私の質疑を振り返ります。(ちょっと長いです)

今回は元国交次官らによる民間企業人事介入問題を斉藤国土交通大臣に直接質しました。

大臣答弁で紛糾し、空き家対策まではたどり着けませんでした。


今回の件をめぐり、現役職員と官僚OBの間でメールのやり取り、未公表の人事情報付きメールのやり取りがあった事実を大臣が認めました。

具体的には大臣官房からと航空局から。

現役職員から山口氏へ送られた未公表の人事情報付きメールはBCCで送られていました。

送付先を確認したところ、大臣官房からのメール宛先は1058件。

そのうち173件は非政府系のメールアドレスだと大臣が明らかにしましたが、アドレスのみを把握していて誰に送ったかわからないとの答弁。

国家安全保障上、由々しき現状が明らかになりました。

航空局からのメールは、876件に送られ、そのうち14件は関係企業や団体だと大臣が答弁しましたが、詳細は明らかにしませんでした。大臣官房メールも航空局メールも、それぞれの外部に対する送付先の詳細について、後ほど国交委員会に報告いただくと大臣答弁を確認しました。

送信時点で未公表の人事情報を添付したメールを外部に送っていた点は国家公務員法違反や守秘義務違反としての違法行為ではないかと質しましたが、報道発表の1日前に送ったのは遺憾だとしつつも、機密扱いではない、内部向けだった、と大臣は答弁し、外部の民間人、しかも官僚OBに恒常的・慣習的に送っていたことの重大性を認識していないことが明らかになりました。

メールに添付されていた人事情報は、いわゆる人事異動の一覧だけではありませんでした。

「線引き」「棒引き表」などと呼ばれる一覧表も含まれていました。メールの添付ファイルの名前も線引きでした。

各部局の職員の前任後任がわかり、いつ退職しそうかもわかるという資料です。

個人情報のかたまりです。

本来は人事課に関わるごく少数が持っている資料だと官僚出身者から聞きました。

この「線引き」は現役職員が恒常的に作り、恒常的に現役職員のみならず職員OBにも送っていたと大臣が認めました。

私からは、以下を申し上げました。

「この「線引き」資料は、職員の前任後任がわかり、いつ退職しそうかもわかる。恒常的にもらっていれば職員の職歴を追うことも可能です。

まさに「天下りあっせん支援資料」です。

そんな資料を民間人である職員OBにも恒常的に送っていた。

許認可権をちらつかせて民間企業に人事介入した職員OBに送っていました。

守秘義務違反に加えて、国家公務員法第106条の2にあるあっせん規制の違反だと考えます。

国家公務員法第106条の2では、現職の職員が営利企業等に対し、他の職員・職員OBを当該営利企業等またはその子法人の地位に就かせることを目的として他の職員・職員OBに関する情報を提供することを明確に禁止しています。

内閣府の再就職等監視委員会に国土交通省から申し出て、あっせん規制違反か否か図っていただくべきです。」


しかし、国土交通大臣は内閣府の再就職等監視委員会への報告・情報共有を拒否しました。


人事介入に関わった官僚OB、本田氏も山口氏も頻繁に連絡している点もこれまでの国土交通省による聞き取りと矛盾していると大臣に質しました。

第三者による証拠に基づく事実認定に照らすと、国土交通省による聞き取りに対して当該官僚OBはうそをついていたということになります。

面会のアポイントまでメールで確認されています。

複数の官僚OBによる組織的関与を認めるかと大臣に質しましたが、組織的関与を認めませんでした。

むすびに私から、ポイントは現在法規制がない「官僚OBによる組織的な天下りあっせん」、機密情報の入手を含めて省庁をかさに着て、省庁の許認可権限をちらつかせた官僚OBによる組織的な天下りあっせんを防ぐことだ、そのためにまず一部の内部調査にとどめず、客観的な全省調査を行うこと、これまでに発覚している事実を含めて内閣府の再就職等監視委員会に情報提供してあっせん規制に抵触するかどうかを調べてもらうことを国土交通大臣に求めましたが、大臣は両方とも拒否しました。

与野党の国土交通委員に「官僚OBによる組織的な天下りあっせん禁止のルール作り」を共に行う事を呼びかけて質問を終えました。


問題の重大さが改めて明らかになった質疑でした。

引き続き官僚OBによる省庁の許認可権限をかさに着た組織的な天下りあっせん禁止へ取り組みを強めます。

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)