持続可能な地域公共交通、地方の鉄道の公共性を重視して計画的な公的資金を投入すべき 衆議院議員きいたかし福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)



2022年4月1日 衆議院国土交通委員会

 

○城井委員
持続可能な地域公共交通の在り方について伺います。
地域公共交通については、先ほども他の委員からの質問で議論があったところでございますが、コロナ禍を理由にした地方鉄道の廃線など見直しを視野に入れた国の検討会もスタートいたしておりますし、昨日の会議の話は先ほど大臣から御答弁のあったとおりでございます。
持続可能な地域公共交通の実現につながる具体策の実行に、是非、政府にも議論を急いでいただきたいというふうに思いますが、その議論に当たって是非盛り込むべき視点について、大臣に伺いたいと思います。
一つは、まず、ビジネスの視点や採算性だけでは片づけられない、移動を保障するインフラ整備や福祉の観点での政策的な整理と取組が必要だというふうに考えます。
持続可能な地域公共交通の実現やこうしたインフラ整備、福祉の観点、この必要性について、大臣はいかがお考えでしょうか。

 

○斉藤国務大臣
ビジネスや生産性だけでは片づけられない側面があるというのは、私もそのように考えております。地域住民の生活や経済活動を支える非常に重要なサービスです。
我が国においては、多くの場合、民間事業者が公共交通の運営を担っておりますが、委員御指摘のとおり、地域の足という公共性の高いインフラとしての性格があり、また、高齢者、障害者への対応など、福祉の観点も踏まえて、その在り方を考えていくことが重要だと認識しております。
また、鉄道に関して言うと、文化という側面もあるのではないかと、私、これは個人の考え方ですが、あると思っております。
地域の公共交通は、人口減少による需要減などに加え、新型コロナウイルスの影響によって非常に厳しい状況に置かれております。
地域の交通手段の確保を図るため、政府としてこれまでにない手厚い支援を行ってきているところですが、引き続き、民間の活力を生かしつつ、公共交通の公共性や福祉の観点も十分に踏まえながら、地域の足である公共交通サービスをしっかり支えていく、そういう基本方針でございます。

 

○城井委員
鉄道は文化、胸に刻みました。
ありがとうございます。
そこで伺います。
地方公共交通の担い手はたくさんありますが、今日は2つ、地方鉄道とタクシーについて伺いたいと思いますが、まず鉄道です。
事業者にとっての採算は、鉄道を評価する視点のごく一部にすぎないと思っています。
環境への効果もあると思いますし、教育や福祉、特に自動車を使えない人や高齢者の移動を支える効果、交通安全に貢献する効果、並行する道路の混雑緩和効果なども鉄道にはあります。
その一方で、地方の鉄道には多くの問題が起きています。
そこで伺います。
人口減少、少子高齢化、高速道路網の拡大、多頻度化、大規模化する自然災害による鉄道施設の被災などによって、特に地方路線において長期間の運休や駅、路線の廃止が相次いでいることに対する国の対応をどのように考えているか、大臣、お願いします。

 

○斉藤国務大臣
鉄道は、我が国の日常生活や経済産業活動を支える大量輸送機関として、公共性の高い重要な役割を担っております。
他方で、一部のローカル鉄道は、沿線人口の減少に加えマイカーへの転移、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化による需要の減少等により利用者が大幅に減少しています。また、自然災害の激甚化、頻発化により鉄道施設の被災や長期間の運休も生じているところです。
そうした中で、鉄道事業者においては、減便や駅の無人化、投資の抑制等のコスト削減策により路線の維持に努めているものの、一方で、地域公共交通としての利便性は大きく損なわれ、将来に向けた持続性も課題となっているもの、このように考えております。
そのため、まずは鉄道事業者と沿線地域が危機認識を共有し、改めて鉄道の大量輸送機関としての特性を評価した上で、相互に協力、協働しつつ、利用者にとって利便性と持続性がより高い地域公共交通を再構築していくための環境を早急に整えていく必要があります。
国土交通省では、その具体的方策を検討するための有識者検討会、これは、先ほど申し上げた検討会とは別の、鉄道のための有識者検討会を本年2月から開催してきており、今後、関係者の御意見をしっかり伺いながら、夏頃の取りまとめに向けて議論を進めていきたいと思っております。

 

○城井委員
今、大臣が答弁でおっしゃっていただいた2月から始まった検討会、報道にこんなふうに載りました。
コロナを理由に地方路線の廃止の議論を開始した、こういう報道でございました。
大臣の今おっしゃった部分、現実に対して持続可能性を追求するためのということで趣旨をおっしゃったと思うんですが、そこが今、世間の受け止めが少しずれている部分がある。
むしろ、ここはヨーロッパで取り組んでいるような形の部分をもっと前に出すべきだ。
つまり、コロナ禍においても鉄道を促進することを前に出す。特に、カーボンニュートラルに資する部分に着目して、ヨーロッパでは取組があるというふうに聞きました。
最重要政策との位置づけだと聞きました。この鉄道の多様な効果について、是非着目をしての取組をもっと推してほしいというふうに思います。
もう一点伺います。
都市圏、新幹線輸送や関連事業による利益を不採算路線に充当する内部補助によって、JRを始めとした鉄道、この地方路線は支えられてきましたが、コロナ禍もあり、内部補助の限界が顕在化しているというふうに考えています。
このことへの国の評価と今後の対策について、大臣、お願いします。

○斉藤国務大臣
JR旅客会社は、長年にわたり新幹線や都市部の黒字路線や関連事業と、そして地方部の赤字路線を一体として経営を行ってきております。
そのことで経営が成り立っているということなんですけれども、しかしながら、沿線人口の減少やマイカーへの転移等により利用者が減少傾向にあったところに、コロナ禍やそれに伴うライフスタイルの変化が追い打ちをかけて、新幹線や都市部も含め、全体的に利用者が大きく減少している状況です。
これにより、令和2年度に続き、令和3年度においてもJR旅客会社は大変厳しい決算状況となる見込みです。
そのため、各社においては、運賃・料金の見直しによる増収策や、減便や駅の無人化、投資の抑制等のコスト削減策を進めているところです。
国としても、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、これまで雇用調整助成金の支給や危機対応融資などの資金繰り支援を行ってきており、加えて、産業競争力強化法に基づく事業適応計画の認定を行い、会社の構造改革投資等への支援も行ってまいります。
また、引き続き会社の意見を聞きつつ、旅客需要の回復支援等についても必要な取組を進めてまいりたいと思っております。

 

○城井委員
ここまで、持続可能な公共交通をつくるには鉄道事業者の二つの側面、一つは民間企業という面、そして社会インフラとしての公の性質の持つ面ということに着目しながら質問しました。
ただ、これまでの日本での取組は、鉄道への公的資金の投入は基本的にありませんでした。
新幹線以外の鉄道整備費を見ますと、相鉄とJRの直通化と、あとは地下鉄整備ぐらいです。
そして、地方自治体でも、鉄道の利便性向上の予算がなかなか計上されていない。
小さな取組はできてきていますが、大胆な取組までは行っていないと。
鉄道が持つ公共的な面を重視しての、計画的な国による公的資金の投入、これはやるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

 

○斉藤国務大臣
本当に根本的なお問いかけかと思います。
我が国の鉄道事業の大半は、民間事業として効率的に運営が行われていますが、同時に、鉄道は、我が国の日常生活や経済産業活動を支える大量輸送機関として、公共性の高い重要な役割も担っている、このように考えております。
このため、利用者の減少等により、大量輸送に適しているという鉄道特性が十分に発揮できず、民間事業者としての運営が難しくなっていると考えられる地域においては、改めて、持続可能な公共交通をどうつくり、維持していくかについて、鉄道事業者と地域が協力、協働しながら検討していく必要があると考えております。
国土交通省としては、その具体的方策を検討するための有識者検討会を本年2月より立ち上げたところであり、この中で、国の関与や支援の在り方も含めて、幅広く検討してまいりたいと思っております。

 

○城井委員
とりわけに財政面での支援を含めてのお取組を是非お願いしたいというふうに思います。

 

衆議院議員きいたかし福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)