特定船舶の導入支援で国際競争力を確保できるか 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区) 



 

2021年4月16日 衆議院国土交通委員会

 

(特定船舶導入計画認定制度の創設について)

 

○城井委員

続いて、海運関係についても伺います。

まず、特定船舶導入計画認定制度の創設についてお伺いしたいと思います。

船社への支援は国際競争力の確保が目的とされますが、今回の特定船舶の導入支援によって、どのようにして十分な国際競争力の確保につながるのか。

特に、国土交通省として船社や船主における特定船舶の潜在的需要をどのくらいと見ているのかを含めて、大臣の見解をお願いします。

 

○赤羽国務大臣

今回、海運事業者らが特定船舶を導入する計画を国土交通大臣が認定するという仕組みを創設いたします。

そうした場合は、日本政策金融公庫を活用した長期かつ低利融資、また日本船籍船に係る固定資産税の軽減措置の拡充等も措置は講じられることとなっております。

国内造船所で建造される船舶のうち、特定船舶の要件を満たす船舶は、現在、2017年度から2019年度の平均でいいますと約2割ございますが、今回の支援措置を通じて、2025年を目途に、特定船舶の導入、約3割の普及を目指してまいりたいと考えております。

 

○城井委員

続いて、特定船舶以外の船舶について伺います。

今回の特定船舶の指定の仕組みが、船社や船主において、特定船舶に該当しない船舶は低価格な海外の造船所を優先して選ぶことのきっかけになってしまうのではないかとの懸念にどのように対応するのか、特定船舶建造に強みがある我が国造船業の競争力にも影響するのではないか。

大臣はいかがお考えでしょうか。

 

○赤羽国務大臣

余りそういうふうには考えておりません。

先ほど申し上げましたように、船舶の発注は、船価のみならず、建造船の品質を踏まえての、総合的に判断されるものだというふうに考えております。

そうした観点から、我が国の造船事業者によるコスト競争力の強化、加えて、優れた性能の更なる磨き上げが図られ、これは特定船舶に限らないで底上げがなされる、特定船舶以外の船舶についても、顧客にとって魅力度の高い船舶の建造が可能となることが私は重要だというふうに考えております。

そうしたことを目指して、本法案に基づく事業基盤強化計画とこれに関連する予算、税制、財政投融資等の支援制度の活用で、造船事業者の事業再編ですとか生産性向上等を強力に推進して、我が国造船業の競争力強化を図ることとしております。

こうした取組は、特定船舶以外の船舶につきましても、我が国造船所における受注の促進につながるもの、こう考えております。

 

○城井委員

続きまして、特定船舶導入と海外の荷主との関係について伺います。

我が国外航海運事業者において、三国間輸送の割合が年々増加をいたしております。

そのため、海外の荷主の意向の影響力が大きくなっていますが、我が国外航海運事業者が特定船舶を導入したいと考えても、低船価とそれを基にした低運賃を志向する海外の荷主とぶつかり、利害調整が難しい状況が増えるのではないか。

先ほどからコスト以外の要素も大事だというふうに大臣はおっしゃっていただいているわけですが、そうはいっても、海外の荷主の話になるとコストの話に戻ってくるという部分がある。

この特定船舶導入と海外の荷主との関係について、大臣はどのように考え、対応されますか。

 

○赤羽国務大臣

特定船舶の導入が我が国の造船の競争力を低下せしめて、結局、三国間の輸送が取れなくなるというようなことは、そういう単純な図式とは余り考えておりません。

もちろん、価格競争力というのは大変大事だというふうには思っておりますが、他方で、我が国の海運事業者から、船舶を導入するに当たって、海外荷主の意向に応じて建造する造船所を決定するといった例は少ないというふうに我々は聞いておるところでございます。

いずれにいたしましても、ちょっと同じような答弁、繰り返しになって恐縮でございますが、今回の新しい支援によりまして、我が国の海運事業者が高性能、高品質な船舶である特定船舶を円滑に導入できるようになることは、海外も含めた荷主に対しまして、安定的かつ良質な国際海上輸送サービスを提供することができて、荷主にとっても有益であるというふうな認識をしておりますが、こうした認識が海外の荷主の皆様にも定着できるようなビジネスに対する努力というのは、当然、民間部門でやらなければいけないことだというふうに認識をしております。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)