寒波や大雪で電力需給がひっ迫への対応について「電力現場の自助努力が限界を迎えており国の責任でもっと事前対策をやるべき」 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2021年2月12日 衆議院予算委員会
○城井委員
続きまして、寒波や大雪で電力需給が逼迫した件について経済産業大臣にお伺いいたします。
必要な電力確保に向けて、非常時のバックアップ体制が取れていたかという点を心配しました。
NHK報道でも紹介されましたが、今年1月の電力使用率は、ピーク時には、沖縄電力を除く九電力会社で、五つが99%、残りも95から98%というぎりぎりの状況でした。
経済産業省の説明では、電力会社間の融通指示等により安定供給に必要な予備率3%確保、こうした説明でございました。
ただ、実態が本当にそうだったかと現場からの声を聞いて思っています。
例えば、電力会社の関係者からは、世界のLNG液化プラントの相次ぐトラブルなどの影響もあって、元々需給逼迫の状況にあったLNG燃料の在庫不足に対して、桁違いに高い値段で市場から追加で買って対応したとか、途中で故障することを心配しながら、老朽化で休止した火力発電所を無理やり動かしてしのいだとか、数十台の高圧電源車を系統接続してピーク時に対応した、これは過去にほとんど例がなかったそうであります、こうしたこと、建設中の試運転発電所も使った、こんな話でした。
動いている数少ない原子力発電所の供給力貢献もあったと聞いています。
こうした、ぎりぎりの対応について、今後、国はどうするのか。
特に、このLNGは、事前に長期間備蓄するのは、なかなか民間企業では困難だというふうに聞いています。元々休止、廃止の方針だった原油や石炭を燃やすタイプの低効率の老朽火力をこれ以上使うのか、こういう気持ちでもあります。
いつ壊れるか分かりませんし、カーボンニュートラルにはそもそも反するということです。
ですので、電力安定供給の中心を担える、そしてCO2排出を最小限に抑えられる最新鋭の高効率火力発電へのリプレースですとか、少なくとも、国による節電要請やBCPとしての計画停電の事前準備など、事前の体制は国も協力すべきではないかというふうに思うわけですが、これはやっていただけますか。
○梶山国務大臣
委員御指摘の今回の電力需給の逼迫におきましては、火力発電所のフル稼働や調達環境が厳しい中での火力燃料確保といった電力事業者の尽力とともに、電力広域機関からの各電力会社への最大出力での運転指示や地域間での機動的な電力融通指示、地域間連系線の運用容量の拡大などの取組により安定供給を確保できたものと思っております。
この取組は、東日本大震災での経験を踏まえて、電力システム改革を進める中で、日本全体の安定供給を確保する仕組みとして構築したものであります。それが適切に機能し、結果として安定供給に必要とされる予備率3%が確保をされ、政府による節電要請や計画停電には至らなかったものと考えております。
ただ、委員御指摘の、報道機関から、99%という数値が幾つかの電力会社に出ていたということでありますが、これは多分、でんき予報という形で各社のホームページに出されているものでありますけれども、私もちょっと不思議に思って、確認をいたしました。供給電力量がリアルタイムではないということなんですけれども、需要はリアルタイムということでその数値が出るということなんですけれども、誤解を与えるようなホームページ上の表示というものもやはり改善をすべきであるという思いを持っております。
それらも含めて、今回の事象に関しまして、燃料供給も含めてどうしていくか検証をした上でしっかりとした対応をしてまいりたいと思っておりますし、3%を切った場合には節電要請とかそういう形になりますけれども、そういった仕組みの再確認も含めてしっかりと対応してまいりたいと思っております。
○城井委員
是非よろしくお願いしたいと思います。
事業者には供給力の確保義務はありますが、方法自体は任されています。ただ、前日までに供給力が把握できない不安定な新電力があるのも事実でございます。
事業の予見性が高まりませんと、仮に既存の電力会社に何とかしろとねじを巻くにしても、今日これぐらい使いそうですということが前日にならないと分からないということでは準備のしようがないというのが現場の声かと思います。
是非よろしくお願いしたいと思います。
併せてお聞きしたいと思いますが、発電施設を持たずに、市場から電力を買って、そして、市場が高騰したときにはその金額を利用者に価格転嫁するような一部の新電力に対する懸念が利用者から示されています。卸市場に依存し、そして付加価値を生み出さない、転売屋だというふうに怒りの声をぶつける声もあります。
こうしたところを安易に救済するのが本当にいいのかどうか。電力の自由化の目的や国の生命線たる電力の安定供給に役立たない点に照らすと、国の支援は、既存の電力会社であれ、再エネ事業中心の新電力であれ、発電施設を持った事業者中心に行うというのが筋ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○梶山国務大臣
小売の自由化の実施によりまして新電力の参入が進んで、再エネ電力などメニューが多様化をしてきております。
消費者はニーズに応じてそれらを選択できるようになるなど、一定の利便性、成果が出ているのも事実だと思っております。
他方、スポット市場価格と連動した電気料金メニューを提供する新電力が存在をし、今回の市場価格高騰の中、一部の消費者がそれまでの水準と比べて高額な料金請求を受ける可能性があるといった課題が存在をしております。
このため、経済産業省では、消費者向けの窓口設置や注意喚起に加えて、新電力に対しまして支払いに関する柔軟な対応を要請するとともに、支払いの分割や猶予など消費者の負担を軽減する措置を行い、その旨をホームページや料金明細書等で周知している新電力に限って、送配電事業者に支払う一月分の精算金を五か月に分割して支払いができる措置を講ずることにしたところであります。
あくまでも最終の消費者に対して配慮ができているかどうかということを基準にしたいと思っております。
なお、今回の市場価格高騰に対しましては、何ら次善の策を講じなかった事業者もいた一方で、自ら発電所を保有したり、相対契約や先物市場の活用をするなど、手間やコストをかけて事前のリスクヘッジの対策をした事業者がいたことも事実であります。
こうした中で、何ら次善の策を講じなかった事業者だけに着目して市場参加者に対し市場取引の結果を遡及的に見直すような措置を講ずることは、慎重に考える必要があると思っております。
電力市場においては、小売自由化が始まって5年ということで、改善すべき点もあると思っております。
今回の事象を教訓に、包括的な検証を実施の上、消費者の方々が不利益を被らないように、安定供給の確保や先物市場を含めた市場制度の在り方、また、体制などについても、私どもの政府の体制においてもしっかりと検証を深めてまいりたいと思っております。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)