建設業における墜落・転落災害の防止に関する質問主意書 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

 

 

令和二年十二月一日提出

質問第七〇号

建設業における墜落・転落災害の防止に関する質問主意書

衆議院議員 城井 崇


建設死亡災害における墜落・転落災害が占める割合は、約四十パーセントとなっている。

例えば、国土交通省直轄工事においては安全対策として、①本足場については手すり先行足場によることが義務化されており、国土交通省によれば当該足場からの墜落・転落災害による死亡事故は発生しておらず、②足場の点検は、十分知識・経験を有する者(足場の組立て等作業主任者能力向上教育受講者、労働安全コンサルタント(土木又は建築)、計画作成参画者資格取得者、仮設安全監理者資格取得者、施工管理者等のための足場点検実務研修受講者)による点検を重点対策として実施しており、③足場の費用は積算基準により明確化されている。しかし、民間工事においては、国土交通省直轄工事と同じ安全対策が講じられていない場合もある。

国直轄工事・民間工事にかかわらず、全ての建設工事の現場における建設工事従事者の安全を確保するため、建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律及び建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する基本的な計画に基づき、建設業における墜落・転落災害を防止するための安全対策が講じられるべきである。

そこで、建設業における墜落・転落災害の防止に関して、以下質問する。

一  国直轄工事・民間工事にかかわらず、足場は手すり先行足場とするために、政府において必要な措置を講ずるべきと考える。政府の認識を明らかにされたい。

二  国直轄工事・民間工事にかかわらず、足場の安全点検は、当該組立・解体者以外の「十分な知識・経験を有する者」(四種類)により実施し、その際、足場種別ごとのチェックリストを使用することとするため、政府において必要な措置を講ずるべきと考える。政府の認識を明らかにされたい。

三  国直轄工事・民間工事にかかわらず、足場の費用は、安全確保に必要な経費として明確に積算基準に組み入れるために、政府において必要な措置を講ずるべきと考える。政府の認識を明らかにされたい。

右質問する。

 


内閣衆質二〇三第七〇号

令和二年十二月十一日

内閣総理大臣 菅 義偉

衆議院議長 大島 理森 殿

 

衆議院議員城井崇君提出建設業における墜落・転落災害の防止に関する質問に対し、別途答弁書を送付する。

 

 

衆議院議員城井崇君建設業における墜落・転落災害の防止に関する質問に対する答弁書

 

一について

 厚生労働省においては、「足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱の改正について」(平成二十七年五月二十日付け基安発〇五二〇第一号厚生労働省労働基準局衛生部長通知)の別紙「足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱」(以下「推進要綱」という。)の別添において「安衛則の確実な実施に併せて実施することが望ましい「より安全な措置」等」として手すり先行工法の採用を示しており、公共工事であるか民間工事であるかを問わず、労働基準監督機関による建設現場に対する指導等において当該工法の積極的な採用について働きかけているところである。

 

二について

 厚生労働省においては、推進要綱において、足場の点検に当たっては、「点検実施者は・・・十分な知識・経験を有する者を指名するとともに、点検に当たっては足場の種類に応じたチェックリストを作成の上、これを活用すること」及び「点検実施者は、足場の組立て等の作業に直接従事した者、当該作業の作業主任者及び作業指揮者等の当事者以外の者とすること」としており、公共工事であるか民間工事であるかを問わず、労働基準監督機関による建設現場に対する指導等において当該足場の点検方法の積極的な活用について働きかけているところである。

 

三について

 国土交通省が発注する公共土木工事及び公共建築工事においては、「「土木工事工事費積算要領及び基準」について」(平成二十八年三月十四日付け国官技第三百四十七号国土交通事務次官通知)の別紙「土木工事工事費積算要領及び基準」及び「「土木工事工事費積算要領及び基準の運用」の改定について」(令和二年二月十三日付け国官技第三百二十八号国土交通省大臣官房技術審議官通知)の別紙「土木工事工事費積算要領及び基準の運用」並びに「公共建築工事積算基準額の改定について(通知)」(平成二十八年十二月二十日付け国営積第十八号国土交通省大臣官房官庁営繕部長通知)の別添「公共建築工事積算基準」及び「公共建築工事積算基準額の改定について(通知)」(平成二十九年三月十七日付け国営積第二十九号国土交通省大臣官房官庁営繕部長通知)の別添「公共建築数量積算基準」において、御指摘の「足場の費用」は「直接工事費」に計上しているところである。

 また、建設業法(昭和二十四年法律第百号)第十九条の三において不当に低い請負代金による請負契約の締結が禁止されており、国土交通省においては、民間工事も含めた建設工事の請負契約において、御指摘の「足場の費用」も含め、適正な請負代金の額が定められるよう、取引の適正化に向けて、「建設業法施行令の一部を改正する政令等の施行について(通知)」(令和二年九月三十日付け国不建第百七十三号国土交通省不動産・建設経済局建設業課長通知)等の別添「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」により、建設業者団体等に対して周知を行っているところである。

 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)