異なる試験の成績に基づく相対評価を入試に用いるのは不合理で不公平ではないか 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

 

救済とは名ばかりで、新型コロナウイルス感染症の影響による学業の遅れへの配慮が足りず、公平性が担保されていないことが懸念されている、令和3年度大学入試共通テストについて文部科学省に追加質問をしまし、回答が届きました。

 

 

令和3年度大学入学共通テストに関する追加質問事項

(きいたかし)

異なる試験の成績に基づく相対評価を入試に用いるのは不合理で不公平ではないか。これまでの文部科学省の説明では異なる日程の試験の難易度が同等である保証がない。「等化」されていない異なる3つの試験セット(しかも二つは共通テスト、一つはセンター試験の出題方針によるもの)の得点(素点)の合計点を並べて上位から合格者を決めるのは不合理で不公平だ。問題形式や想定される平均点すら異なる「特例追試験」と共通テストの間に萩生田文部科学大臣が言う「不利益をもたらさない「制度設計」がある」と生徒に説明することはできないとの教員の声が相次いでいる。文部科学省は不合理で不公平な入試制度をごり押しするのか。

 

共通テスト日程を分けたことによる不合理・不公平について。本年は共通テスト導入の初年度でプレテストも不十分であったため、第一日程と第二日程のテストの内容が似ていれば似ているほど、後から行われる第二日程を受けた受験生が有利になる(第一日程しか受けられない浪人生は圧倒的不利になる)。一方、テストの内容が違えば違うほど、2つの試験セットの得点を比べて合格者を決めることの不合理・不公平が増す。共通テストを複数回行う今回の制度設計ではいずれにしても受験生は不利益を被る。文部科学省はこの受験生が不利益を被る制度設計を放置するのか。どう改めるのか。

 

(文部科学省)
共通テストの第1日程と第2日程は同じ問題作成者が作成するので同等との位置づけ。特例追試験は基礎的な学習内容の確認という点は共通テストと同趣旨だ。非常時の措置。出題方針も配点も試験時間も異なる特例措置だとあらかじめ周知する必要がある。共通テストと同等でないことで不利益にならないようにしてほしいと各大学に要請済み。

(大学入試センター)
「等化」を行うことは共通テストでは困難。

 

(きいたかし)

「共通テスト」と言いながら一部の受験生は第1日程しか選択できない。学業の遅れた受験生の救済と言いながら対象から除外される受験生を出すならその救済は不公平だ。公平性担保のために大学側が第1日程を指定せざるを得ない状況になるなら、それは文部科学省と大学入試センターの共通テスト日程の設定ミスであり改めるべきである。文部科学省はこれらの不公平や日程設定ミスをどう扱うのか。

 

「救済」や「2週間後の受験」につられて第2日程を選んだ場合、受けられない個別大学が少なからず出てくる。当日の病気等で特例追試験に回ったら準備も対策もしていないセンター試験のみ使用問題が出てくる。国が導入する今回の救済制度のために起こった複雑な情報戦についていけない受験生(特に進学校に在学していない生徒等)が犠牲になることについて文部科学省はどう対応するのか。受験生の自己責任で対応させるのか。

 

浪人生から見ても不公平との声がある。「現役のときに受けたのはセンター試験。新しく導入される「共通テスト」対策は自宅浪人ではできないと思って予備校に入ったけれど、コロナで休校が続いた。浪人生が第二日程を選べないのは不公平」との声だ。履修範囲を終えているとの前提だけで浪人生への配慮をしないのはかえって不公平を助長するのではないか。公平な受験機会を保障すべきではないか。

 

 

(文部科学省)
既卒者(浪人生)は履修すべき課程を修了しているとの前提。不利益を被らないように各大学に要請している。第2日程は第1日程の追試験も兼ねているので第1日程だけを大学が指定するということが起こることを想定していない。日程については国も適切に公表する。

 

 

(きいたかし)

「令和3年度大学入学共通テストの受験日に関する意向調査」について。校長による「学業の遅れ」認定には矛盾がある。意向調査では第2日程の受験希望について受験生個々の意向を確認するよう文部科学省から指示が来ているが、同じ高校に通い同じ授業を受ける生徒の「学業の遅れ」を学校長が個々の生徒について別々に判断することが認められるのか。また、「「うちは全員第1日程でいく」と教員に言われた生徒もいる」「学校で「第二日程だと私立大学を受験できない、学校の対策が遅れる」などと言われ、第一日程での受験に向けた圧力を感じている。学校から色々言われるのが嫌なので、第一日程を選ぶ空気になり、不満を口にすることができない」との情報提供があった。「教師としては、どちらかの日程に誘導すると、入試の結果が出た後で責任を問われるのではないかという恐怖を感じている」との情報提供も教員から多く寄せられている。結局、個人単位ではなく、学校単位の判断になるのか。どのように受験生救済になっているのか。

 

(文部科学省)
同じ学校でも生徒によって対応が分かれることはありうる。(選択科目など)履修状況が異なる生徒がいるため。

 

(きいたかし)

「令和3年度大学入学共通テストの受験日に関する意向調査」について。日程選択の判断を生徒がするには判断材料が不十分である。第2日程の試験会場が第1日程と同程度確保されるか不明である。国公立大の出願までにどの程度日程的な余裕があるかも不明である。(例年なら共通テストの実施日から2週間ちょっとの余裕)国公立大等の出願日程が示されない段階で共通テストの日程選択をさせるのは不合理である。受験生側の判断材料として少なくとも、国立大学協会の方針発表、国立大の日程発表、私立大の日程発表が示されたうえで意向調査をすべきである。受験生側の判断材料としての出願日程の明示について文部科学省は軽視しているのではないか。

 

(文部科学省)
現時点での意向を確認して事前準備をするための調査でその旨調査にも記載している。出願時には全員希望通り受けられるようにする。

 

(きいたかし)

第2日程を選択した場合の困難について。個別大学の2次試験日程は変更がないため第2日程受験者は進路指導をする間もなく国公立大の出願締め切りを迎えることになる。また例年私立大の一般選抜は1月末から始まるため、私大志望者は事実上第2日程を選択できない。共通テストで第1次選抜をする推薦型を受験する場合、体調不良等で特例追試験に回るとすでに入試は終わっていることになる。文部科学省の日程設定が原因で受験機会が奪われるのを看過するのか。学業の遅れの救済策を行うなら受験生全員が公平に利用できる制度にすべきだ。文部科学省はどう対応するのか。

 

(文部科学省)
各大学に第2日程、特例追試験で不利益を被らないように要請している。(追試験の設定や追加出願など)

 

(きいたかし)

特例追試験の受験科目について。外国語は英語以外選択不可、数学②の工業簿記も選択不可である。どこにすべての受験生を救済する公平性があるのか。文部科学省はマイノリティな受験生を無視するのか。

 

(文部科学省)
特例追試験は想定外の特別措置であり、少人数受験科目は対応困難。対象者には第1日程を受けるよう事前に周知する。

 

以上を踏まえて

(きいたかし)
大学入試は今年新たに始まる「共通テスト」と昨年まで実施されていた「センター試験」という出題方針が異なるテストが混在し、難易度を「等化」する努力もなされていないなど受験生からすれば不合理と不公平が残ったままだ。
これを子ども達の前に出せるのか。非常時なら何でもありなのか。これが公平公正というなら証拠を見せてください。

 

(文部科学省)
(沈黙)

 

報告は以上です。

3つに日程が分かれた共通テストについては、学びの遅れた受験生への救済のかたちをとっていても、これだけ不合理と不公平があっては救済になりません。

実施方式を従来の本試験(プラス病欠等の追試験)にした上で2次試験を含めた受験日程全体を1か月後ろ倒しにするのが学びの遅れに対応しつつ合理的で公平だと考えます。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区