【衆議院本会議】政策が重複しており税金のムダ遣いの可能性?(文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律案) 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)
2020年3月17日 衆議院本会議
○城井崇君
立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの城井崇です。
私は、共同会派を代表し、ただいま議題となりました文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律案について質問します。
冒頭、一言申し上げます。
三月十一日で東日本大震災から九年となりました。
改めて、全ての犠牲者と御遺族に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
復興に尽力されている皆様にも、心から敬意を表します。
かつてない大災害を深く心に刻み直し、被災地の復興と生活再建に向けて、引き続き、党派を超えて不断の努力を続けていくことを誓いたいと思います。
一方、この三月十一日の鎮魂の日、祈りの日に、森まさこ法務大臣は、衆議院法務委員会及び参議院予算委員会において、東日本大震災時の検察の活動について、事実に基づかない、でたらめな虚偽答弁を繰り返し、検察の権威をおとしめ、国会を冒涜しました。
質疑中に離席した折、言いわけのためメディア取材をみずから呼びかけるなど言語道断。
発言撤回、厳重注意で済む話ではありません。
これでは国民も部下の方もついていけない。
法務大臣としての資質に欠けることは明らかです。
即刻みずから政治責任をとることを強く求めます。
また、安倍総理は法務大臣の任命責任をどうお考えか、明確にお示しいただくよう、あわせて申し上げます。
また、昨年十一月十六日に実施されました、学校法人加計学園が運営する岡山理科大学獣医学部獣医学科の推薦入試A方式で受験した韓国人留学生八名全員が不合格となり、うち実際に面接を受けた七名全員の面接試験の成績が五十点満点中零点であったことを文部科学省は認めています。
萩生田文部科学大臣は、この結果が適切であり全く問題ないという認識であるか、明快な答弁を求めます。
続いて、WHOからパンデミック宣言が出され、災害対応にも匹敵する新型コロナウイルス対策について三点お伺いします。
まず、休校要請解除の時期についてです。
萩生田文部科学大臣は、三月六日の衆議院文部科学委員会において、総理要請に基づく全国の学校の一斉臨時休業について、その解除時期を検討する旨答弁しました。
国内感染拡大防止という目的を教育現場も理解し、地域の実情に応じて九九%の学校が休校を実施しました。
感染防止のための物資も不足する中、学校現場も学童保育などの子供の居場所も各家庭も、ぎりぎりの努力を重ねています。
しかし、いつまで頑張ればよいのか、科学的にも政治、行政的にも、めどが示されていません。
文部科学大臣、国として要請解除のめどを示すべきです。
要請解除の時期の検討状況についてお答えください。
次に、新学期の対応です。
感染がピークを迎えたとの政府発表がまだありません。
春休みを超え、四月の新学期が国内感染期のさなかに当たる可能性が高いと考えます。
現場の混乱を最小限に抑えるためにも、四月の新学期以降の対応について、早目に対応方針の目安や対策、各種手続、対応の弾力化を国として打ち出すべきです。
文部科学大臣の見解を伺います。
三つ目に、学校休業等の各種自粛により休まざるを得ない人々への休業補償について、厚生労働大臣に伺います。
我々や当事者団体から、フリーランスや自営業への補填を求めてきましたが、ようやく緊急対応策の第二弾にフリーランスや自営で働く人の一部に対する休業補償が盛り込まれました。
しかし、その額は日額四千百円にすぎません。
会社を休んだ人の給料を補償する企業への助成は、最大日額八千三百三十円です。
フリーランスで働く人と会社で働く人に、なぜこれだけの差を設けるのか。
職業差別ではないか。
働き方改革といって労働者をフリーランスに置きかえることを勧めておいて、いざ問題が起きたら数千円とか十万円の融資で見捨てるのか。
お子さんがいる家庭、特に一人親が暮らせるのか、イベント自粛で仕事を失った方は暮らしを立てられるのかといったことをどのように検討したのか、明確にお答えください。
それでは、議題となりました本法案について、順次質問をいたします。
まず、そもそも本法案の趣旨として示された、文化についての理解を深める機会の拡大及びこれによる国内外からの観光旅客の来訪促進、文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進を現在の我が国で行える環境にあるかという点です。
確かに、我が国を訪れる外国人旅客は、昨年までは増加の一途。
しかし、新型コロナウイルスの感染症で、その状況も一変しました。
一部ではコロナ不況と呼ばれる今回の感染症拡大や各種自粛に伴う経済の縮小は、リーマン・ショックを超えるものとなりつつあります。
観光客は激減、飲食店やサービス業などは、三月では売上げが前年同月比七〇%減といった壊滅的な状況だという声があふれています。
こうした厳しい状況を踏まえて、感染拡大を防止しながら事業者や生活者を支え切り、感染拡大終息後の観光振興を旧に倍して迅速に取り組む必要があります。
外国人旅客の受入れ及び観光業の現状認識、それらの支援充実について、国土交通大臣、お答えください。
昨年末からの経済指標悪化とコロナ不況を乗り切るため、東京オリンピックを予定どおり行えないことも想定しながら、減収補償、給付、減税など、国民生活、日本の企業を直接支え切る大規模な経済対策を、三十兆円を念頭に、迅速に実行することを強く求めます。
本法案は、既存の政策と重なるものが多く、屋上屋を重ねています。
博物館等に対する支援は、既に文化庁において博物館クラスター形成支援事業が行われています。
また、観光庁に確認したところ、訪日外国人受入れ環境整備緊急対策事業や、ICT等を活用した多言語対応等による観光地の町歩きの満足度向上、公共交通利用環境の革新等といった観光庁所管の各種政策によって、法案で想定されている政策を実行できます。
共通乗車船券の認可、届出手続の緩和措置についても、既に外国人観光旅客の来訪の促進等による国際観光の振興に関する法律第六条等において同様の仕組みが運用されています。
このように重複している政策、例えば、先ほど指摘した共通乗車船券の発行などによる交通アクセスの向上に加え、地域ブランドの向上、海外宣伝、多言語化、WiFi、キャッシュレスの整備、バリアフリー化などは、国土交通省、観光庁所管の現行の仕組み、現行法や予算措置で実行可能であるということで間違いないか、国土交通大臣、お答えください。
あわせて、本法案で目指すとされる文化資源の保存、修復、防災、体系的収集、調査研究、専門人材の確保、育成は、文化庁所管の既存の法律や予算で対応可能であると考えますが、文部科学大臣の見解をお願いします。
あわせて、来年度予算に盛り込まれている博物館等を中核とした文化クラスター推進事業は、この法律がなくても予算が成立すれば実行可能か、文部科学大臣、お答えください。
こうした一つ一つの項目から、政策の重複による税金の無駄遣いをなくしていくことを政府に強く求めます。
また、準備期間も不十分です。
二〇二〇年のオリンピック、パラリンピックイヤーを契機にと法律案の概要の趣旨でうたっています。
一方、仮に本法案が成立しても、拠点計画や地域計画の認定は六月中との文部科学省の説明です。
東京オリンピックの開幕は七月二十四日。
認定後に残された準備期間は一カ月前後あるかないかで、地方での準備や国による予算執行は通常なら間に合いません。
本当に間に合うのか。
東京オリンピックが念頭にあるなら、なぜ昨年の臨時国会での閣法提出をしなかったのか。
文部科学大臣に伺います。
さきに触れたように、文化庁は、過去二年間、博物館クラスター形成支援事業として既に支援を行っています。
これらの申請件数及び採択件数、予算執行状況を具体的に教えてください。
そして、今回新たに本法案とともに一体で推進したいと文部科学省が言う博物館等を中核とした文化クラスター推進事業。補助事業者の対象は、博物館、美術館等の文化施設、博物館等を中核とした実行委員会等、補助金額は、予算の範囲内で補助対象経費の三分の二。
積算件数は二十五件、一件当たり最大五千万円補助との説明でした。
この二十五件のうち、既に予算要望を受けている件数は幾つありますか。
この二十五件はその数を踏まえた積算なのか。
この二十五件、一件当たり最大五千万円の支援で十分か。
平成三十年度社会教育調査によれば、博物館及び博物館類似施設だけでも全国に五千七百四十四施設もあります。
支援が届かない施設が相当数に上ることが想定されます。
国による支援の格差が広がることが前提なのか。
国が文化及び観光の振興、地域活性化を後押しするなら、国の認定の有無にかかわらず、できるだけ支援すべきと考えますが、文部科学大臣の見解を伺います。
今回の枠組みは、拠点施設を中核として文化観光を支援するとしていますが、施設展示等になじみにくい無形の文化的所産に対してはどのように支援するのか、文部科学大臣、御答弁ください。
文化活動を担う人材の育成、確保についてもお伺いします。
文化観光拠点施設の機能強化を図っていくにしても、専門的知識に精通した役職員や学芸員の育成、配置は不可欠です。
特に、文化活動の基盤を担う学芸員は十分に確保できているか。
人材の育成及び確保に係る支援についての今後の方向性及び具体策について、文部科学大臣、お答えください。
結びに、本法案の検討過程が不十分だという点を指摘します。
文化庁が文化施設を中心とした文化観光の在り方に関する検討会を設置したのは、昨年十一月。
検討会のまとめをつくったのは、翌十二月です。
一カ月の間にたった三度の会議開催でした。
議事録を見ても、文化観光のあるべき論の議論が中心で、他省庁の政策との重複や政策の効果などの検討も不十分です。
オリンピックに間に合うように、法案提出へ体裁を整えようとしただけに見えてなりません。
博物館等文化施設の振興は重要な取組であり、我々も推進するべきと考えますが、準備不足で時宜を得ていない今回の法案は、本来、見直すべきではないか。
新型コロナウイルス対策、国内感染拡大阻止を始め、ほかに優先すべき政治の仕事があることを申し上げ、私の質問を終わります。
○文部科学大臣(萩生田光一君)
城井議員にお答えいたします。
まず、岡山理科大学獣医学部の推薦入試についてお尋ねがありました。
岡山理科大学獣医学部の推薦入試に関する事案については、三月四日以降、事実関係の確認を行い、この間、大学の担当者を呼んで話を聞くなどしてまいりましたが、現時点においては、文部科学省として、まだ当該大学の入試の適否を判断できる段階ではありません。
推薦入試の合否判定のプロセス、特に面接の詳細な評価内容や質問項目などについて、依然として不明な点があることから、本日、文部科学省の担当者が大学を訪問し、これらの事柄について確認を行っているところでございます。
次に、要請解除の時期のお尋ねでありますが、今般の臨時休業の要請は、今がまさに感染の流行を早期に収束させるために極めて重要な時期であることを踏まえ、多くの子供たちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクをあらかじめ抑える観点から、三月二日から春季休業の開始日までの間、全国一斉の臨時休業を要請したものです。
三月九日に開催された新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では、依然として警戒を緩めることはできないとの見解が示されたところであり、当面は、円滑な臨時休業の実施を通じて感染拡大防止に全力を尽くすことが最も重要と考えております。
なお、今後、本専門家会議において、三月十九日を目途に新たな報告が出される予定であり、その内容も踏まえ、学校を再開するに当たっての目安について検討してまいりたいと考えております。
次に、四月の新学期以降の対応のお尋ねでありますが、当面は、円滑な臨時休業の実施を通じて感染拡大防止に全力を尽くすことが最優先ですが、四月から始まる新学期の対応については、三月十九日を目途に出される予定の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の報告も踏まえ、学校を再開するに当たっての目安について検討してまいります。
また、その場合における学校現場が求められる各種手続の弾力化についてもあわせて検討してまいりたいと思います。
次に、文化庁所管の既存の法律や予算で対応可能ではないかとお尋ねがございましたが、文化資源の保存、修復、防災、体系的収集、調査研究、専門人材の確保、育成については、既存の文化財保護法やこれに基づく予算措置等により対応してきたところです。
本法案では、このような既存の法律や予算による文化の振興を土台として、地域における文化観光の推進を図るための施策を行い、観光の振興と地域の活性化につなげ、これによる経済効果が文化の振興に再投資される好循環を創出することを目的としております。
このため、本法案では、多様な文化資源を有する文化施設の機能強化を図るため、新たに文化観光推進事業者との連携を制度として設け、地域の文化資源の魅力を来訪者にわかりやすく伝えること、また、文化施設に来訪者を引きつけるような積極的な情報発信、交通アクセスの向上、多言語、WiFi、キャッシュレスの整備などを行うことについて、法律上の特例措置を講ずるとともに、財政面の支援を充実することにより、推進します。
このような、文化施設に焦点を当てて文化観光の推進を図る取組は文化庁所管の既存の法律にはなく、また、これらの取組に対する予算の一層の充実が必要だと考えており、本法案を通じて着実に取り組んでまいります。
次に、本法案と博物館等を中核としたクラスター推進事業との関係のお尋ねでありますが、令和二年度予算案に盛り込みました博物館等を中核とした文化クラスター推進事業については、本法案における認定を受けた計画に基づき、博物館、美術館等の文化施設がその機能強化に取り組むための事業に対して支援を行うこととしております。
このため、本法案が成立しなければ当該予算の執行はできないこととなります。
次に、本法案が本年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に間に合うのか及び法案の提出時期がなぜ今国会なのかのお尋ねでありますが、本法案が成立した暁には、速やかに基本方針を策定し、六月下旬ごろまでに拠点計画や地域計画の認定を行い、文化施設のオンライン予約やキャッシュレス化、WiFiの整備等の観光旅客の利便性の向上、多言語による解説、紹介の充実などの文化資源の魅力向上などについて、大会期間にも間に合うよう速やかに、また、今後の継続的な取組としても推進していただくことを考えております。
政府としては、文化施設の機能強化と文化観光の推進の加速化は喫緊の課題であり、令和元年度の成長戦略等において、文化観光に関する法令上の措置等の必要性について盛り込んだところです。
また、国際的にも、昨年、国際博物館会議とOECDが共同発表したレポートにおいて、地域経済発展のために博物館の力を活用するなどが提起され、この内容が九月のICOM京都大会において議論されたところです。
このような背景のもと、文化庁が観光庁その他の関係省庁とも連携して検討を進めてきた結果として、本法案を今通常国会に提出するものであります。
次に、博物館クラスター形成事業の申請、採択件数及び予算執行額のお尋ねでありますが、平成三十年度は、申請件数が、採択件数とも八件、予算執行額は約一億二千万円でした。
令和元年度は、申請件数が九件、採択件数が八件であり、うち七件が前年度からの継続でした。
予算執行額は約二億円を見込んでいます。
次に、博物館等を中核とした文化クラスター推進事業における支援件数の見込みと認定されない地域や施設などへの取組のお尋ねでありますが、令和二年度に新設する、博物館等を中核とした文化クラスター推進事業については、今後募集を行うため、具体的な要望はいただいていませんが、これまで全国の百を超える自治体や文化施設との意見交換を通じ、文化観光拠点づくりに対する関心の高さを感じているところです。
このような地域のニーズの中から、文化施設、観光事業者、自治体等が連携して実際に作成する拠点計画や地域計画のうち、文化観光の推進に資する計画を認定していくことになります。
こうした地域の動向も踏まえ、来年度の支援件数としては二十五件程度になるものと見込んでおります。
支援規模については、従来からの支援メニューに加え、文化施設における収蔵資料の多言語化等の魅力向上、それを担う学芸員等の人材の配置、展示改修などの事業も想定して、一件当たり五千万円としたものであります。
認定されない地域や施設などへの取組については、まずは計画の認定を受けた二十五件を好事例として、他の文化施設や自治体においても文化観光の取組を促進できるよう、四月から文化庁に組織される文化観光担当の参事官において、個別の相談対応や支援を行ってまいります。
次に、無形の文化的所産に対する本法案による支援のお尋ねでありますが、本法案第二条第一項に規定するとおり、文化資源は「有形又は無形の文化的所産その他の文化に関する資源」としており、例えば祭りや伝統芸能等も文化資源に含まれます。
無形の文化的所産についても、例えば、祭りの伝承館や伝統芸能の保存館などにおいて、関連資料や映像記録等の保存、公開や歴史的、文化的な意義等も含めた解説、紹介を行うことが考えられ、このような取組に対して支援を行ってまいります。
次に、学芸員を始めとした人材育成及び確保に関する支援のお尋ねでありますが、学芸員等の博物館専門職員の人材育成については、文化庁において、中堅学芸員向け、新任博物館館長向け、博物館マネジメント層向けなど、多様な研修事業を実施しております。また、令和二年度からは若手学芸員等の海外研修事業を拡充するなど、多様なニーズに対応した人材育成に努めているところです。
さらに、大学における学芸員養成のあり方や多様な経験を経ながら専門性を磨いていくキャリアパスなど、学芸員の養成、採用、研修といった全体的なあり方については、昨年十一月に文化審議会に設けた博物館部会において今後審議をしっかりと進めてまいりたいと思います。
○厚生労働大臣(加藤勝信君)
城井崇議員にお答えいたします。
フリーランスで働く方への支援についてお尋ねがありました。
今般設ける新たな助成制度においては、正規、非正規を問わず、雇用されている方を対象とするとともに、従来の雇用施策では対象としていなかった個人で業務委託契約等で仕事をされている方にも対象を広げることとし、具体的には、その就業できなかった日について一日当たり四千百円を定額で支給するものです。
こうした方は、働き方や報酬の定め方が多種多様であり、実際支払われる予定であった金額の把握に難しさがある中で、迅速に支援する必要性も踏まえ、雇用保険における失業給付の日額上限、雇用保険の対象とならない方への給付、雇用されている方についても勤務実績によって支払い水準はさまざまであることとのバランスを考慮し、雇用者の上限額の半額程度を定額で支払うこととしたものであります。
また、収入の減収等により当面の生活費が必要な方については、社会福祉協議会が実施する生活福祉資金貸付制度に特例を設け、従来の低所得世帯に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による収入の減少等も対象とすることとあわせて、償還時に、所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができることとしたところであります。
○国土交通大臣(赤羽一嘉君)
城井議員に二問お答えさせていただきます。
まず、新型コロナウイルス感染症の発生に伴う観光産業等への影響及び支援策についてお尋ねがございました。
今般の新型コロナウイルスにより、多くの観光地では、団体宿泊客のキャンセルが発生し、予約もほぼゼロの状況で、倒産や一時的な休業を余儀なくされている方も出始めるなど、大変厳しい状況に置かれております。
そもそも、観光産業は、旅行業や宿泊業のほか、貸切りバス、ハイヤー・タクシー業や、飲食業、物品販売業など裾野が広く、地域経済全体に深刻な影響が出ていると認識をしております。
こうした事態に対し、国土交通省といたしまして、まず、一刻も早い感染の封じ込めこそが最大の支援策であるとの認識に立ち、関係省庁と連携し、業界の皆様にも御協力をいただきながら、感染防止、拡大防止対策に全力で取り組んでおるところでございます。
次に、事業継続のための資金繰りと雇用の維持の支援策として、セーフティーネット保証五号の対象業種に宿泊業を加え、雇用調整助成金の要件緩和を実施したところでありますが、今後も、事業者の皆様のニーズを踏まえ、申請手続の簡素化、迅速化、また、さらなる要件緩和、補助率の拡大、返済期間の大幅猶予、また、公租公課の減免など、政府部内で私自身もしっかりと求めていく決意で
ございます。
三つ目は、新型コロナウイルスの状況が落ちつき次第、間髪入れずに反転攻勢に転じるために、今この時期から個々の観光地の魅力を高め、広く内外からの観光客を受け入れるための環境の整備を着実に進めておくことが重要であると考えております。
とりわけ、地域ごとに育まれてきた豊かな文化資源は重要な観光資源であり、本法案により、地域で文化資源の保存や活用に取り組む方々と観光地域づくり法人、旅行業者、交通事業者などとの連携を深めるための環境を整え、文化資源を活用した観光を更に推進してまいります。
また、宿泊、日帰り旅行や地域の物産等の消費を強力に喚起する方策など、考え得る支援策を積極果敢に実行し、国内外からの多くの皆様に各地の観光資源を堪能していただけるよう、しっかりと準備を進めてまいります。
次に、文化観光の推進に関する国交省の現行制度についてお尋ねがございました。
本法案において推進する文化観光につきましては、閣議決定された観光立国推進基本計画におきましても、日本の歴史、伝統といった文化的な要素に対する知的欲求を満たすことを目的とする観光として明確に位置づけられ、観光政策の主要分野の一つとして推進されてきました。
国交省といたしましても、既存の法律の枠組みや予算措置等を活用し、観光地における交通アクセスの向上や海外宣伝、バリアフリー化などを通じてこの分野の取組を進めてきたところであります。
一方、近年、我が国の文化的な魅力を体験することを目的に訪日される外国人旅行者がふえてきており、我が国の美術館、博物館、寺社など各地域の文化施設に対し、外国人旅行者に魅力が伝わるような多言語表示、解説が不十分である、また、開館時間が短いなど、観光資源としての活用のための取組がおくれているとの指摘があることから、本法案により、地域の文化施設を文化観光の推進拠点として位置づけ、国土交通省、文部科学省を中心に、各省連携のもと、予算措置等を集中的、一体的に講じることにより、各施設における取組を強力に促進してまいります。
さらに、各観光地において、文化施設の関係者と観光地域づくり法人や旅行業者、交通事業者等、観光関係業者との連携が必ずしも十分にとれてきているとは言いがたい状況であることから、本法案の枠組みのもとで両者が一体となって、文化資源の魅力を実際の来訪者数の増加や旅行消費の活性化に結びつけていく機運を高めていきたいと考えております。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区