文部科学大臣は記述式問題導入中止の決断を  衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

 

2019年11月27日 衆議院文部科学委員会

 

○橘委員長

次に、城井崇君。

 

○城井委員

国民民主党の城井崇です。

きょうも質疑の時間をいただきました。

ありがとうございます。

大臣にきょうも直接議論を申し上げ、そして、ぜひ決断をいただきたいというふうに思います。

きょうもよろしくお願いしたいと思います。

まず、英語民間試験の問題について質問したいと思います。

きょうはお手元に資料をお配りしております。

ごらんください。白紙答案にいわゆるCEFRのランクづけがついてしまうという問題であります。

高校での多くの利用が見込まれていたGTECのライティングの試験において、きょうお配りしたものがそうなんですが、白紙答案でCEFRのランクづけがついたり、日本語で答えているのに英語のライティングのCEFRのランキングがついたりということがなっています。

一ページ目が白紙の答案一問目、二枚目が白紙の答案二枚目です。そして、めくっていただいて三枚目のところに、ライティングは当然白紙なので零点というふうに書いてありますが、このCEFRのレベルはPreA1というふうに書いてあります。

じゃ、このPreA1って何ですかという、CEFRレベルの解説がその下段に表として書いています。

ライティングのところだけ消さずに置いておりますけれども、アルファベットの大文字、小文字や単語のつづりを意識しつつ、自分についてのごく限られた情報、名前、年齢、住所を書くことができるという力が、この人には英語力がありますよという説明なんですが、白紙のどこで英語力がはかれるのかということであります。

英語力を認める記述をしているわけであります。

どこに英語力が認められるのか。

このように、英語力をまともに判定できない試験がなぜ公的試験で使われるように国が認定をしたのか。

認定した側の責任も大きいと考えますが、大臣、見解をお聞かせください。

 

○萩生田国務大臣

欧州評議会では、CEFRの段階の一つとしてPreA1の存在を認めており、PreA1は、A1に至る前の段階の指標となるレベルと定義されていることを踏まえ、GTECにおいては、A1に満たないものは全てPreA1と表記して結果を返却していると承知をしています。

GTECにおいては、スコアが零点であってもPreA1と表記することとしており、御指摘の資料についてはこれに該当するものと考えております。

 

○城井委員

ほかの英語民間試験では、測定不可という取扱いです。

つまり、英語力が認められないということになっているわけでありますが、この表記では、誤解を広げるような形に結果としてなっていると言わざるを得ないというふうに思います。

大臣、加えてもう一点。今ほどお示しした三ページ目や六ページ目に、GTECのオフィシャルスコア証明書というものをつけておりますが、この下の部分に、CEFRレベルについて小さな文字で説明が書かれています。

ここに問題があります。

GTECの運営会社が独自に作成したキャンドゥーステートメンツというんですが、これについて、欧州評議会が設定したものを日本語に訳したというふうにしています。

これは事実ではありません。

そもそもが独自作成でありまして、翻訳ではありません。

これは不当表示であります。

このような不当表示をしている試験がなぜ認定されたのか。

ここにも問題がありまして、認定した側も問われるというふうに、大臣、考えますけれども、大臣の見解をお聞かせください。

 

○萩生田国務大臣

GTECのオフィシャルスコア証明書においては、読む、聞く、書く、話すの四技能ごとに、CEFRレベルに基づきコメントが表示されますが、証明書に記載されている注釈には、CEFRのキャンドゥーステートメンツ、英語でどのようなことができるかをあらわしたものをGTECの出題形式に合わせて日本語に訳したものと記載されており、欧州評議会が設定したものを日本語に訳したとは記載していません。

このため、GTECの注釈の内容は不当表示には当たらないと考えております。

 

○城井委員

日本語に訳したと書いてあるんですよ。

それをしんしゃくして書き直したと書くのが筋じゃありませんか。

日本語に訳したと書いていますよね、大臣。

お答えください。

 

○萩生田国務大臣

GTECの出題形式に合わせて日本語に訳したものですと記してあります。

 

○城井委員

意訳したなら意訳した、独自につくったなら独自につくったと書くのが筋じゃありませんか、大臣。

こんないいかげんな書きぶりの試験を認めるわけですか。

この影響は極めて大きいですよ。

例えば、今この白紙や日本語で記述したものがあなたの英語力ですというようなことで認められていくようなことがこのまま続きますと、受験資格だけに英語民間試験を利用している大学は、成績要件は問われずに、その試験業者にお金を貢いだら応募できる、こういう異常な実態になります。

大学側は、こうした実態を知らずに、学校で実施できるというGTECを指定する大学がふえる予想だということであります。

そもそも、学校で受けられない浪人生や高卒認定者は不利になります。

こうした異常な事態を、大臣、見逃すんですか。

お答えください。

 

○萩生田国務大臣

御指摘のような実態はないと考えております。

英語の資格検定試験については、英語四技能試験情報サイトにおいて、試験団体や試験の概要に係る情報が提供されているところであり、各大学は、これらの情報をもとに、大学入学者選抜においてどの試験を活用するかについて、各大学の判断により決定することとなります。

文科省としては、各大学が英語の資格検定試験を大学入学者選抜において独自に活用する場合には、それが円滑に行われるよう、浪人生や高卒認定者も含め受験生にその情報を速やかに提供することが必要と考えております。

このため、英語の民間試験について、各大学の令和三年度大学入学者選抜における英語の民間試験の活用の有無、活用方法等について、十二月十三日を目途に方針を決定し、公表いただくよう各大学に要請したところであり、その情報を取りまとめて、ホームページ等を通じて受験生に提供することとしております。

 

○城井委員

白紙答案で英語力を認めるような試験をそもそも国が認定するのはおかしいということを改めて申し上げたいと思います。

次の質問に参ります。

もう一点だけ英語民間試験について伺います。

大学入試英語成績提供システムの運営大綱が廃止をされたことにより、このシステムは導入延期ではなくて廃止が決まったという認識でよいかということ、そして、この運営大綱の廃止までに使われた国の税金、予算が幾らかということ、そして、この政策変更の責任は誰がとるかという点、大臣、お聞かせください。

 

○萩生田国務大臣

今回、大学入試英語成績提供システムについて、来年度から導入を見送り、延期することを決定しましたが、システム自体をどうするかについては、今後大学入試で英語四技能をどのように評価するか、その仕組みも含め、一年を目途にしっかりと検討してまいりたいと考えております。

他方、令和三年度大学入学者選抜に係る大学入試英語成績提供システムの運営大綱については、来年度の対象としたものであることから廃止することとし、全国の国公私立大学や高等学校の設置者等に対して周知をしたところです。

なお、大学入試英語提供システムの導入に向けては、これまで共通ID発行のためのシステム構築等に係る契約を既に行っており、その金額は約十二億四千万円となっております。

今回の大学入試英語成績提供システムの導入見送り、延期の判断は私の責任で行ったものですが、延期をすることを判断せざるを得なかった要因等を十分に検証した上で、大学入学における英語の四技能評価をどのように行っていくべきか検討していくことが文科大臣としての何よりの責任だと思っておりまして、私のリーダーシップで、責任を持って全力で取り組みたいと考えております。

 

○城井委員

大臣の責任ということで確認をさせていただきました。

続いて、記述式問題導入についてお伺いしたいと思います。

大臣、請負業者の採点のアルバイトの方々から、実際に採点をどのようにやっているか、複数情報を寄せていただきました。

現状をお伝えしたいと思います。

まず、経験者の大学院生、一度や二度ではない方からのお話です。

採点ミスのクレーム数によって各高校を色でランク分けし、クレームの多い高校には質の高い採点者を割り振っている。

最近、学力評価研究機構から登録者に一斉メールが来た。

共通テストの採点者は未定、取材を受けるなとの内容。

かつて、請負業者の模試の採点をしたことがあるが、一回練習させただけでいきなりアルバイトに採点させるので、採点ミスが続出した。

採点リーダーなる採点者も、もちろん大学生のアルバイトだ。

昼休み明けは、眠気から居眠りをしているアルバイトも多く、白紙に丸をつけるようなミスも日常茶飯事だ。

採点ミスが発覚しても、高校からクレームがない限り、やり直しなどは一切しない。

とにかく、採点の精度よりも、納期に合わせることだけに躍起になっていた。

採点基準などを持ち出せてしまう程度のセキュリティーだ。

持ち出し厳禁といっても、何らかの拍子で過って持ち帰る採点者もいる。

入試問題の採点にたえられるレベルではない。

シフト制は組まれているものの、出勤、退勤自由、無断欠勤もある程度許容されるというお気楽なアルバイトを売りにしていたので、アルバイトも入れかわり立ちかわり採点会場を出入りしていた。

アルバイトは昇給などが一切ない時給制なので、真剣に採点している学生はほとんどおらず、ベネッセの採点バイトは椅子に座って時間をお金にかえる作業と言われていた。

プロフェッショナルとはほど遠いアルバイトの実態だ。

これが大学院生の経験者の方からの声であります、大臣。

もう一つ御紹介します。この方も、一度や二度ではない経験者の大学生からです。

この学生は、プレテストの採点にも加わっています。

答案を見て、採点に迷うことも少なくなかった。

自分の採点結果が全て正しいか自信がない。

そして、採点会場に集まったのは大学生が多かったが、途中で居眠りをしないようにという注意もあり、全員が同じようなモラルや責任感を持って取り組むわけではないので、受験生が気の毒かなと思う。

自分も採点基準がよくわからなかったりして、二割から三割くらいは基準どおりに採点できているか自信がない。

ただでさえ、記述式の採点は個人の主観が入ってしまう。

マニュアルは、一回説明されても、それに対して理解不足な部分がどうしてもあったりすることもある。

マニュアル自体が説明された段階で余りはっきりしていなくて、次に説明しますと言われたままになっていて、何となく、マニュアルがよくわからない、ふわっとした状態だけれども、答案が来たから採点をやるときもある。

個人的に眠かったり集中できなかったりして、基準が曖昧になったり、マニュアルどおりにできていないような気がすることもある。

もともとの解答自体がむちゃくちゃで、マニュアルどおりに無理やり当てはめて採点することもあるので、そうなると、基準と合っているかは微妙。

毎回新人を募集しており、マニュアルに対する理解や採点のシステム的な質問まで聞こえ、ふなれな感じがする。

普通にアルバイトとしてお金を稼ぐためにやっている人が多いと思う。

社員の方が寝ている人を起こして、二回寝ていたらその日は帰ってもらうという決まりもある。

大臣、こういう状況です。

ここまで申し上げたのは、大臣がこれまでの答弁で請負業者を選んだ根拠の一つに挙げられたのが、これまでの模擬試験での採点実績があるからということをおっしゃったわけです。

ところが、今申したような率直な実態があり、お二方とも、いわゆるさくっと短期の未経験者アルバイトじゃない方です。

こういう中核、主力になるだろう方々からこうした声が聞こえてくることに、私は大変強い危機感を持ちました。

契約や守秘義務でどうにかなるレベルではありません。

大臣、今の率直な情報をお伝えしました。

見解を聞かせてください。

 

○萩生田国務大臣

まず、先生がヒアリングした方がどういう属性の方かというのは、ちょっと私、確認できませんが、しかし、先生が公のこの委員会の場でわざわざ御披露するんでしょうから、そこは素直にそのお話は受けとめてまいりたいと思います。

その上で、御指摘の事柄は、大学入学共通テストの記述式問題の採点業務とは直接の関係はないものと認識しております。

文科省として直ちにコメントする立場にありませんが、共通テストの記述式問題の採点業務については、仕様書に基づき、重要な事柄はセンターと事業者との協議をしながら進めることとされているとともに、現在、大学入試センターにおいて、採点者への事前研修の実施、組織的、多層的に採点を行う体制の構築、高校の協力を得て採点結果を検証し、一連のプロセスを改善するための準備事業の実施に取り組み、採点の質の向上に努めているところです。

文部科学省としても、記述式問題の出題や採点方法については、どのような改善が可能であるか、さまざまな方策について検討しているところであり、大学入試センターとも連携を密にしながら、円滑な実施に向けて努力をしてまいりたいと思います。

 

○城井委員

大臣、大臣が採点実績を見てこの請負業者を選んだという答弁をおっしゃったので、その実績の部分がこれだけひどい状況ですよということをお伝えをしているわけです。

この点を、こうした実態を国として確認せずに、この採点請負業務をこのまま進めるんですか、大臣。

 

○萩生田国務大臣

冒頭申し上げましたとおり、その方が、城井先生にお話しされた方がどういう属性の方でどういう仕事をされている方というのはちょっと確認できませんけれども、しかし、こういう公の委員会の席で御披露されるんですから、きっと、先生は確信を持って、あるいは確認をとった上でそのお話を聞いているんだと思いますが、私としては、現段階ではその確認はできませんから、そういう意味では、お話を真摯に受けとめてしかるべき対応をしてまいりたいなと思っています。

 

○城井委員

今、お二方の紹介をしましたけれども、実際に確認をとった上で今回のお話を申し上げています。

公の委員会の場ですから、私も責任を持った発言はせねばならぬというふうに思いますから、そんなでっち上げたような話をするような、そんな私ではありません。

その意味で、このお二方の話が実態かどうかも含めて、確認をして前に進むべきだというところをぜひ踏まえた上での取組をお願いしたいと思います。

次に参ります。

採点者についてであります。

請負業者が出した文書で、先ほどの他の委員とのやりとりもありましたが、大学在籍者、大学院在籍者、学士、修士、博士といったこうした方々が採点者の属性としては当たるはずだとこれまでの文書でも確認をしています。

また、大学教員、講師や請負業者の職員、そして臨時採用の職員といった方々も当たるというのがこれまで確認のできているところであります。

大臣、きょうの答弁にもありましたが、来年の概算要求で、この採点者の積算人数として七千七百三十五人を上げていただいておりますし、文科省からも私にも提供がありましたが、こうした属性を含めて、この七千七百三十五人の根拠、そして確保見込みを教えてください。

 

○萩生田国務大臣

採点事業者がどのような属性の採点者を確保しているかについては、必ずしも当該業種の他社が公表していない中にあって、学力評価研究機構に対して当該情報の開示を求めることは、他の企業との公正な競争が阻害されるおそれがあることから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

概算要求分は、採点者及び採点監督者の合計として七千七百三十五人分の経費を積算しております。実際には、各採点者の出勤日数や勤務時間が異なるため、共通テスト本番の採点者数については、採点に関する準備事業の検証も踏まえ、採点事業者と協議した上で決めることになりますが、現時点においては八千人から一万人程度となるのではないかと想定をしております。

採点事業者の業務につきましては、契約金額の範囲内で適切に実施されるものと認識しております。

 

○城井委員

大臣、属性を問うておりますのは、他業種への配慮ということが大臣としてはあるようですが、国会の側から、税金の使い道として、今回のこの記述式問題のチェックをしていくときに、あの一月の下旬から二月の頭という、大学生、大学院生としてはめちゃくちゃ忙しい時期に人数を集めるとおっしゃっているから、じゃ、学士、修士、博士の方々は、あるいは在籍者は何人いるんですかと、在籍者の割合が大きければこの仕組みは成り立たないと思うから確認をしたいと申しているわけであります。

そして、先ほどの、教員、講師、請負業者職員、臨時採用職員といった部分については、先ほどから申し上げたアルバイトの割合がどれぐらいかがわからなければ、その採点の質に対する影響がどうかというのを国会としてチェックができないから申し上げているんです。

この在籍者の部分、大学、大学院の在籍者の部分と、臨時採用職員の部分だけでも示していただけませんか、大臣。

 

○萩生田国務大臣

私が知っていて答弁していないんじゃなくて、現段階で、私の手元では、その属性はわかりません。

 

○城井委員

大臣すらこの情報をチェックしていないのであれば、採点者の質を確保していますなんてことは口が裂けても言えないというふうに思います。

この点、極めて重要だと思います。

採点者については、もっと問題があります。

例えば、試験実施後の採点者は、正答例や採点基準や採点マニュアルに触れることになります。

この採点者の中に、例えば請負業者グループを含む人たちが入った場合に、採点業務上知り得た情報を明示的に扱わなくても、その人物が頭の中で持って帰った情報でもってつくる模擬試験や参考書は、実際の採点業務内容が反映されるはずだというふうに考えます。

ベネッセ側の模擬試験や参考書の作成担当者が実際の採点作業に従事することを禁じていないからであります。

また、採点者となった者が請負業者やそのグループ会社に就職するケースもあり得るし、これを禁じていません。

これらの利益相反の可能性を放置するならば、記述式問題の導入は行うべきではないというふうに考えます。

大臣、いかがでしょうか。

 

○萩生田国務大臣

採点事業者が担当する業務については、例えば、採点マニュアルの作成、採点者の育成、採点作業、採点システムのプログラムの開発などのノウハウについて、採点事業者が従来から保有しているものを活用して実施するものであるため、採点業務終了後も採点事業者が保有するものと考えています。

そのため、採点事業者が保有するノウハウについて、採点事業者みずからの事業に活用することは禁じられていませんが、採点事業者が共通テストにおける記述式問題の採点業務に伴って大学入試センターから得た一切の情報については、業務請負契約書第七条の規定によって、守秘義務が課せられるとともに当該採点業務の目的以外では使用できないこととされております。

文部科学省としては、大学入学共通テストに対する国民の方からの信頼を得ていく上では、公平性、公正性を確保することは極めて重要であると考えています。採点者が、採点業務中だけでなく事後においても採点にかかわる情報を他に開示することがないよう、採点者に提出させる誓約書において事後も含めた守秘義務についても担保させるよう、大学入試センターと連携しつつ対応してまいりたいと考えております。

 

○城井委員

大臣、くしくもおっしゃったように、その請負業者にそのノウハウなどの権利は残るんですよ。そこは極めて大きな問題だというふうに思います。

もう一点、伺います。

採点時の予想外の正答への対応について、これまで大臣と何度かやりとりしましたが、大臣は、採点の品質チェックと採点基準のアップデートを混同しておられるというふうに考えます。

二人から三人の採点体制で、きょう答弁もありましたが、品質管理専門チームをつくったりする、こうしたものを活用して予想外の正答を現場で発見するということをやっていくんだと思います。

ただ、それができても、その情報を新たな正答として採点基準に加え、そして、多数の採点者に二十日間でその情報を正しく共有して、五十万枚と見込まれる答案の全てと照らし合わせることは、物理的に不可能だというふうに考えます。

仮に、四十九万九千九百九十八枚目に意外な正答が見つかった場合に、誤って間違いとしたかもしれないそれまでの四十九万九千九百九十七枚を全て見直さなきゃいけないということになります。

極端なことを言っているように聞こえますが、採点というのはそういうものだ。

前半に丸をつけても、後半に丸をつけても、同じ基準でやらなきゃいけないというのは当然のことだというふうに思いますが、大臣、この点はどうしますか。

 

○萩生田国務大臣

仕様書では、採点基準は、受験者等の答案を踏まえ、採点基準策定委員会において更新、確定されることとされていますが、仮に、採点の過程で新しい類型の答案が見つかった場合には、採点基準が見直しされるものと認識しています。その上で、採点期間中の毎朝の採点業務開始前の周知などの機会を通じて、全採点者に対し、変更内容が徹底されるものと承知しています。

なお、採点事業者においては、採点の後半でそのような見直しを行うことを避けるため、採点開始後の早い段階において全ての答案に採点者が一度は目を通すように採点全体のスケジュールを組むことで、新しい類型の答案が後から発見されることがないようにしていくものと承知をしております。

 

○城井委員

では、大臣、今の御説明に照らしながらですが、仕様書七ページの(3)①「採点基準、採点マニュアルの確定」、そして②の「採点」によりますと、試験実施後の採点基準策定委員会で採点基準を確定させるとしております。

採点中に新たな意外な正答が出てきた場合に、採点基準を改定、更新しないのかということであります。

これは改定、更新すべきですし、その新たな採点基準をもとに全答案の再チェックが正しく行われなければ、採点の公正性は担保されません。

少なくとも一人がチェックするといっても、見逃したものをどうするのかというところについては、その責任を本当にとれるのかという点、大臣、今のままですと、採点の公正性は担保されませんが、いかがお考えでしょうか。

 

○萩生田国務大臣

仕様書では、採点基準は、受験者等の答案を踏まえ、採点基準策定委員会において更新、確定されることとされていますが、仮に採点の過程で新しい類型の答案が見つかった場合には、御指摘のとおり採点基準が見直されるものと認識をされております。

 

○城井委員

採点基準を委員会で確定した後に意外な正答が見つかった場合はどうしますかと聞いております、大臣。

もう一回お答えください。

 

○萩生田国務大臣

採点基準策定委員会において更新、確定されますので、その都度更新、確定されるという予定です。

 

○城井委員

それでは確定になりません、大臣。

それでは確定になりません。都度更新するのはわかりますが、確定とおっしゃっているんですから。

確定後にまた更新するんですか。そのようには仕様書には書いておりませんが。お答えください。

 

○萩生田国務大臣

新しい答案が見つかった場合には、仕様書では、採点基準は、受験者等の答案を踏まえ、採点基準策定委員会において更新、確定されることとされていますが、仮に今御指摘のような採点の過程で新しい類型の答案が見つかった場合には、採点基準そのものが見直しをされるものと認識をしております。

 

○城井委員

仕様書には書いていませんので、もう一度確認をいただきたいと思います。

続きまして、採点者の事前研修について一点伺います。

この事前研修で、これまで、本番の試験問題を使わないということでした。

ただ、本番と類似しないものを使うのでは、研修自体やる意味がありません。

なので、類似した問題を使うということになると思います。

ただ、類似した問題が出るということが事前にわかりますと、事前の研修の段階でわかりますと、これは問題の予告に当たるというふうに考えます。

一種の漏えいです。

仮にプレテストを使うにしても、プレテストの作問傾向が出題予告そのものとなります、大臣。

これも情報漏えいに当たると思いますが、いかがお考えですか。

 

○萩生田国務大臣

採点者の事前研修については、仕様書において、大学入試センターと事前に協議した上で必要な研修プログラムを採点開始日までに完了することとされております。

この事前研修では、採点の手順やシステム操作に関する研修や、試行調査の試験問題を用いた採点演習などを行うと承知しています。

試験実施前に、実際の試験問題はもちろん、採点基準や採点マニュアルを始め、試験問題を類推できる情報を使用することはありません。

また、事前研修で使われる資料については、あらかじめ協議の中で大学入試センターにおいて確認することとなります。

こうしたことを通じて、試験問題を類推できる情報も含めて管理が徹底されることとなっており、事前研修を通して情報が漏えいするとの御指摘は当たらないものと考えております。

 

○城井委員

もう一点、伺います。

二〇一六年三月三十一日に高大接続システム改革会議が最終報告を出して散会した後、非公開の検討に移りました。

その後に最初に出てきたのが、二〇一六年八月三十一日の高大接続改革の進捗状況についてでした。

その中で、幾つか記述がありますけれども、一つは、質、量ともに極めて限定的でということ、そしてもう一つは、精緻な採点もできないということを、この中で記述式問題について文部科学省自体が報告として認めています。

こうした、質、量ともに極めて限定的で、精緻な採点もできないものと文部科学省自身が認めているものを導入するというのは受験生のためにならないというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。

 

○萩生田国務大臣

自己採点に必要な国語の資質能力、すなわち自分の回答が正答の条件を満たしているのかどうかを客観的に判断する力は、従来から小中高等学校の国語科の指導の中で育成が図られており、また、受験指導については、従来から進路指導の一環として実施されているものと承知しています。

大学入学共通テストにおける記述式問題については、多様な学力層の大量の受験生の解答を短期間で正確に採点する必要があるという前提のもとで、一定の思考力、判断力、表現力を適正に評価できるよう、大学入試センターにおいて、これまで実施した試行調査やフィージビリティー調査で得た知見も踏まえ、作問の創意工夫がなされるものと考えております。

また、大学入試センターが行った調査研究によれば、数式を書かせる程度であっても、同一又は同様な内容の問題について記述式で出題した場合とマーク式で出題した場合を比較すると、記述式の方がマーク式より正答率が低くなる傾向が見られるという調査結果もあり、みずから記述して表現する力を育成する上で、大学入学共通テストに記述式問題を導入する意義はあるものと思われます。

 

○城井委員

大変残念な答弁であります。

国の共通テストであるにもかかわらず、同一内容の答案を同一得点と採点するという、試験としての最低限の公平性が担保できるか、そこができないということをきょうの質疑でも確認させていただきました。

大臣、見切り発車をしますと、採点ミスや自己採点のミスで受験生に実害が出ます。

受験生をこれ以上実験台にしてはいけません。

記述式は個別大学の二次試験に任せて、共通テストでは導入中止をお願いしたいと思います。

毎年五十万人の受験生、その家族、高校関係者、大学関係者が固唾をのんで見守っています。

大臣、記述式問題の導入中止の決断をお願いしたいと思います。

最後に一言お願いします。

 

○橘委員長

大臣、時間が参っております。

よろしくお願いいたします。

 

○萩生田国務大臣

きょうも、さまざまなきちんとした現場感覚の御意見をいただきました。

一つ一つ受験生の不安の払拭をする作業を今続けさせていただいておりますので、努力を続けたいと思います。

 

○橘委員長

時間が終わっております。

 

○城井委員

終わります。

ありがとうございました。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区