日本の宇宙開発計画について (H2Aロケット、情報収集衛星など)
2004年2月25日 衆議院文部科学委員会
○池坊委員長
城井崇君。
○城井委員
民主党の城井崇でございます。よろしくお願いします。
大臣の所信に対して、通告に従って質問をさせていただきたいというふうに思います。
本日、私にとって、代議士の立場をお預かりしまして初めての質問でございます。
我が党の新人議員としては一番手、きょうは、先ほどのお話にもありましたが、切り結ぶ覚悟で、切り込み隊長として頑張ってまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さきの選挙では、私、次の世代の子供たちのためになる日本をということで訴えてくる中で、国会へと押し上げていただきました。
今国会では、最も若い文部科学委員として、この新鮮な感覚をぜひとも生かしながら責任を全うしてまいりたいと思っておりますので、大臣初め各位の真摯な御答弁をお願いしたいと思います。
さて、本日は、科学技術、特に日本の宇宙利用計画について、主に大臣にお伺いしたいというふうに思っています。
大臣は、ちょうど所信表明の中でも、宇宙研究開発を国の存立基盤の一つとして位置づけられておられました。
その根幹政策という割には、我が国の宇宙開発あるいは宇宙の利用開発計画といったものの全体像あるいは戦略といったものが、なかなか我々の目には見えてきていないという感じがしています。
種子島のロケットの打ち上げというものは、国民の目には一つのシンボルとして映っていると思います。
しかし、その全体像というものがなかなか見えてこない。
例えば、これまでのそういう技術の積み重ねの中で、技術的なスピンアウト、技術移転といったものがどんな位置づけとして考えられているか。
これまでも、我が国は物つくりの国として生きてきました。
今、日本各地でも、その技術の積み重ね、磨き上げる努力というものは続けられております。
それに対して私も敬意を表するものであります。
その中で、私、地元が北九州市、福岡にある北九州市というところでございます。
物つくりの町として生きてきました。
その物つくりの町に育った私から見ますと、この宇宙利用というものは、例えばロボット工学の分野、あるいは情報通信、あるいは医学、新素材といった物つくりの技術を積み重ねてきたからこそ、新しい変わっていくきっかけなり、あるいは宝の山なりというのを見つけていける大きな大きなチャンスになるんではないかというふうに感じております。
新技術を開発した暁の効果というものは、先日も報道にありましたが、青色発光ダイオードの例を挙げるまでもないというふうに思っております。
その中で、将来の飯の種としてある意味の先行投資ということの役割、この宇宙利用の計画においては大きいと思うんですけれども、今後の宇宙開発の展望を改めて大臣よりお示しをいただきたいというふうに思います。
お願いします。
○河村国務大臣
所信でも申し上げたところでございますが、宇宙開発というのは、一つのやはり子供たちにとっても夢を抱かせることでありますし、また国の発展の基盤といいますか、おっしゃるように、あれだけのロケットを打ち上げるという、そのことそのものが、やはりそうした物づくりの基盤が根底になければならぬわけでございます。
そういう意味で、この宇宙開発を進めるということはそういう大きな意味を私は持っておると思いますから、今度、宇宙開発事業団あるいは宇宙技術研究所が一体となった形で今進めておりますし、また、これも御案内のように、文部省と科学技術を行うところが一体となってやろうという仕組みもできたわけでございます。省庁再編の中でもそういうことを視点に置いてやってきたということであります。
その中で、ある意味では国威をかけて、こういう部分もあるわけでございますが、それだけ国民の皆さんが日本の物づくりを信頼して、そしてそれによっていろいろな夢を描くことができる、そういう意味で、私は、宇宙開発というものに国策としてこれからも取り組んでまいりたい、このように考えています。
○城井委員
ありがとうございます。
先ほどの決意というところを踏まえて、ぜひともお伺いしたい点がございます。
その決意を踏まえた上で、一つ、我が国がある程度早急に検討しなければならない、この宇宙利用計画を改めて考えていくに当たって検討しなければならないと思っていることがあります。
それは、先日、一月の十四日に米国のブッシュ大統領が発表されました新しい宇宙計画の件でございます。
報道によりますと、二〇一〇年までに、これまで日本も協力をしてつくってまいりました宇宙ステーションの完成を目指す、あるいは二〇一〇年までのスペースシャトルの引退、あるいは二〇〇八年までの多目的有人宇宙船、CEVの開発、二〇二〇年までの月への有人探査の再開、あるいは火星への探査といったものなどがその中には盛り込まれておったと記憶をしています。
この件に関して、アメリカのNASAのオキーフ長官は、この計画について数カ月の集中した議論の成果だというふうにおっしゃっておられました。
しかし、私、感じますに、実際のところ、意義やあるいは動機といったものに余り説得力がないんではないかというふうに感じていますし、また、大統領選挙が控えておって、連日報道が続いているというところもあります。
その部分でのパフォーマンス、あるいは、最近ちょっと報道でもありました、宇宙開発に積極的な姿勢を示している中国の姿勢、これへの対抗意識といったものが恐らくその部分の背景にはあって、今回の拙速な計画づくりになっているんではないかというふうに感じています。
しかし、アメリカのあの強いリーダーシップで国が運営されているという部分を見ましたときに、若干荒唐無稽には聞こえますが、実現する可能性というものがある、あるいは実現の方向に実際にそれが向かった場合に、その新計画が産業にもたらす波及効果というもの、これははかり知れないものがあると思っています。とりわけ、基礎的な技術の発達、先ほど私が冒頭申し上げましたように、この宇宙開発というものが、これまでも、例えば情報通信を初めとした技術の一つの突破口になってきたことは言うまでもありません。
今回の計画の中のもので一つだけ例を挙げて申し上げますと、例えば有人による月面基地の建設を当面の活動として行った場合に、その活動主体として恐らくロボットが使われるのではないかというふうに思います。
そうすると、これまでも割と我が国も取り組んできているロボット工学の部分、あるいは情報技術、医学といったところが、恐らくその技術革新の可能性として挙がってくるのではないかというふうに思います。
ただ、その場合に、一つ我が国として考えなければいけないのは、例えばそのロボット工学、これまでも、遠隔操作をいかに高度にしていくかという取り組みがありました。
あるいは、長い寿命のバッテリーを開発するというところも我が国が一歩リードをしているところでございます。
そういった日本の得意分野というものを頭に置きながら、今、米国から新しい計画が出されてきた、そのときに、そういう米国主導の計画というものが出てきている状況の中で日本としていかにかかわっていくのか、ここで大臣のリーダーシップとビジョンが必要になっていると思います。
大臣の見解をぜひお伺いしたいと思います。
○河村国務大臣
大事な御指摘だと思います。
宇宙開発部門においても、日本が果たすべき役割というのがあるんだと。アメリカは最先端を行きながら、それなりのまた果たし方をやっておるわけでございますが、先ほど御指摘の、アメリカのブッシュ大統領が、イニシアチブのもとで、宇宙探査についてかなり思い切った意欲的な内容でビジョンを発表されたということを私ども聞いておるわけでございます。
日本におきましては、昨年九月に宇宙開発に関する長期的な計画というものを打ち出しておりまして、これには、社会的要請に対応する地球観測分野あるいは通信・放送・測位分野、これに重点化をした衛星開発をやろうということが一点。
それから、H2Aロケットの標準型は民間へ移管をしていこう、民間活力をもっと増そうということ。それから、国際宇宙ステーションへの補給等のためのH2Aロケットの能力をさらに向上させる、これを開発する必要があるということ。
それから、国際宇宙ステーション計画へも日本として積極的に参加をしていこうということ。
こうした点を重点的に取り組んで、宇宙開発の戦略を進めていこう、こう思っておるわけでございます。
アメリカのビジョンが発表されたわけでございますが、これによって日本も大きく具体的に変更しなきゃならぬということは現時点ではないわけでございます。
しかし、日本は日本で果たさなきゃいけない部分がある。確かに、残念ながら、H2Aロケット、六回目にしてああいう事態が起きました。
この原因究明は今もうほぼめどをつけておりますが、これをきちっと発表して、この再開に進んでいかなきゃならぬのでありますが、少なくとも今日まで、このH2Aの部分については日本が最先端を行っていた、こういう部分もございます。
こういう面を特化して、やはり日本としての存在価値を示しながら、しかし、さらに世界全体の宇宙開発には日本の人材も活用する、訓練をしてそれに参加させる、こういうことが非常に大事なことでありますから、まさにこれは国際間の協力によって総合的な宇宙開発というのは進むだろうと私は思います。
ただ、アメリカ、中国等を見ておりますと、かなり軍事的な面というものも否定できない部分もあります。日本がそれに応じ切れない部分もあります。
しかし、日本には日本の役割というのはちゃんとある、そういう思いで、これからの宇宙開発には、先ほど申し上げましたいわゆる長期的な計画に基づいて着々と進めてまいりたい、このように思います。
○城井委員
ぜひ外圧にあおられない科学技術政策、宇宙開発でお願いしたいというふうに思います。
今お話で触れられた点でもう一つだけお伺いしたいと思います。宇宙ステーションの件でございます。
これまで宇宙ステーションの建設、日本としても既に三千億円以上投じておると記憶をしています。
最終的な総額は恐らく約五千八百億円に上るのではないかという試算があるとも聞いています。
しかし、先ほどのアメリカの新計画というものが現実味を帯びてきた場合に、このステーションの完成後はアメリカは手を引いてほかの参加国にお任せになるのではないかというふうにアメリカの態度を分析している声も上がっているという部分があります。
仮にアメリカが手を引いた場合に、ステーションにキックするその手段というもの、例えばソユーズのロケットといったものに非常に限られてくるという部分があろうかと思いますが、実際にステーションが完成した場合、年間には約四百億円の運用費が見込まれるというふうに思いますが、そうすると、アメリカが手を引いた場合、日本の負担の大きさというものはどさっと肩に乗っかってくるのではないかという懸念がございます。
この点について、大臣の御所見をぜひ伺いたいと思います。
○坂田政府参考人
国際宇宙ステーションのお尋ねでございます。
今の先生の御質問は、恐らく、今回の新しい米国の宇宙ビジョンに関連しまして、その中で、米国は二〇一〇年までしっかり責任を果たして宇宙ステーションを建設する、そして二〇一六年まで運用する、そういう趣旨の記述がございまして、それで、二〇一六ということで何かおしりが切られているかのごとき印象がございますものですから、そういうことがきっかけとなって先生の御質問になったのではないかと私ちょっと推察いたしましたが、実は先般、この宇宙ステーションに参加をしている各国の担当者がワシントンに集まりまして、アメリカの今回の宇宙ビジョンが出たことを契機として、これから各国間でどのように宇宙の協力を進めていくか、これは国際宇宙ステーションも含めまして、相談をいたしたところでございます。
米国側は、あの発表の中に二〇一六年と書いてあることをもって米国が宇宙ステーションの運用から手を引くということではなくて、とりあえず発表についてはああいう記述があるものの、引き続いてどのようにパートナーと国際宇宙ステーションをしっかり運用して成果を上げていくべきか、上げられるか、これは相談をしていきたい、こういう回答でございましたので、私どもは、米国が国際宇宙ステーションから手を引くというようなことはないであろう、ないというぐあいに考えておりまして、先ほど先生御指摘のとおり、この国際宇宙ステーションへの参加につきましては、多額の経費をもってこれまで進めてまいりましたので、しっかりと成果が上げられるように努力をしたい、米国についてもしっかり説得をして、いい成果を上げていきたい、このように考えております。
○城井委員
税収の厳しい折でございます。
ぜひとも負担増という部分には御考慮いただきながら取り組んでいただきたいというふうに思います。
さて、次の質問に移らせていただきます。
先ほど大臣のお話にも触れられましたH2Aロケットの件、ぜひお伺いしたいと思います。
昨年十一月の二十九日、残念ながら、六号機打ち上げに失敗しました。私も小さいころから宇宙が大好きで、特にこのロケットの打ち上げというものを見ながら育ったという記憶がございます。
しかし、この打ち上げ失敗というもので、宇宙科学に夢を膨らませてきた子供たちの期待というものは残念ながら裏切られたのではないかというふうに思っています。
世に言われるところの子供たちの理科離れあるいは科学離れといったところを踏みとどめるための一つの大きな方法ではなかったかというところでも、残念な気がしています。
そして、先ほど申しました新しい技術あるいは産業のパイオニアとしての国民の期待も大きかったがゆえに、この部分の損失、とりわけ、多額のお金をかけて積み重ねてきた部分が一瞬にしてなくなった。打ち上げだけでも百億円かかったと聞いています。その我々の税金、血税といったものが消えていってしまっているという声も厳然としてあるのが事実であります。
もう一つ加えて言えば、今回のH2Aロケットには情報収集衛星が二機積まれていたと聞いています。
この情報収集衛星の打ち上げの失敗ということによって、私自身も、この点、ぜひ我が国は実現をしていかなければならないと思っておりますが、国家としての日本の情報面での自立というところを図っていく上で大きくブレーキがかかってしまったというふうに感じております。
このH2Aロケット六号機の打ち上げ失敗について、大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。
○河村国務大臣
御指摘のとおりでありまして、私も種子島の現場に行っておりまして、十分後に、きちっと打ち上がったのでありますが、残念ながら、ブースターの切り離しがうまくいかなかったということで、ああいうことになりました。
これについては、まさに物づくりの根幹に触れるのではないかというような御指摘もありまして、全体として日本の物づくりの力が弱まったのではないか、こんな御指摘もいただきましたし、もちろん、あれだけの高額なお金をかけたものでありますから、この失敗というのは非常に残念なことだし、しかし一方では、ここまでやってきたことをこれで無にしてはならぬという思いもございまして、これをさらに、この原因だけはきちっと究明をして、次なる手をきちっと打って、再びそういう失敗を犯さないようにするということに今最大の努力をいたしておりまして、今、固体ロケットブースターの捜索をやっておりますが、これをつかまえれば最終的な原因がきちっと確定できる、こう思っておるところでございます。
これは、今回はやはり、このロケットを少し、百五十億かかったものを百億以内にしようというような方針を出して機材を新しく変えたとか、いろいろな問題もあったようでございます。
そういうことで、最終的な原因究明にはあと一歩というところに来ておりまして、近々はっきりできると思いますが、私としては、これによってこれまで積み上げてきたことがだめにならないように、原因だけはきちっとして、次の再開に向けて最大努力できるように、現場の皆さんが士気を失わないように、私どもとしてしっかりこれを支えながら、しかし原因究明、その再発防止策だけはきちっととらせるということをまず今最大の課題としておるところでございます。
○城井委員
ぜひ原因究明に関しては早期にお願いしたいというふうに思いますが、その際に一つ、やはり考えなければならないと思っていることがあります。
以前にも、このロケット関係の失敗のときに失敗から学ぶというところで質疑があったというふうに聞いています。
今回のH2Aロケットの打ち上げ失敗ということに関して、ある専門家はこのように言っています。
ぎりぎりの高性能化、問題を追求しようとする姿勢の欠如、外国との競争や国内の批判に負けてはならないあせりなどが重なって失敗に結びついたんではないか、だから、ロケットの開発過程全般を検証し、根底から出直すべきだと。
これは朝日新聞の二月十三日の記事に、桜井淳という専門家の方が言われておった部分でございますが、この部分、非常に大きな指摘をしているんではないかというふうに思っています。
というのは、これまでの成功の積み重ねという部分に、時間やお金がないというところを理由にしながら、若干あぐらをかいている部分が本当になかったのかどうか。
そして、今後の開発への取り組みというところ、設計の部分の発想から見直すという必要が本当にないのかどうかという、全体を見渡しての検証というものは、私自身も必要なんではないかというふうに思っておりますが、この点、いかがでしょうか。
○坂田政府参考人
ただいま大変大事な御指摘をいただいたと思っております。
先ほど大臣から、原因究明、これを徹底してやって、しっかりとした対策を立てること、これをきちんとやるつもりであるということ、お話ございましたが、私ども、現在、直接の原因究明、これは当然のこととしてしっかりやります。
それから、その原因究明を踏まえて、しかるべき対策、これも当然のこととして立てまして、その対策の検証をしっかりするために、今回、固体ロケットブースターが問題でございましたので、小型の固体ロケットブースター、あるいは実機の固体ロケットブースターを使いまして、対策の検証もしっかりやります。
それから、先生御指摘の、開発過程が適当であったか、妥当であったか、これは大変大事な部分でございますので、現在、原因究明とあわせまして、第一号機を打ち上げる前の段階、まさに開発過程のプロセスにおいて、どのような試験が行われ、そのときにどのような判断が行われ、それが適当であったのかどうか、これもあわせて現在調査中でございます。
それから、今回の直接の原因の究明ができましたならば、これはそう遠くない時期にできると思いますけれども、その後、H2Aロケット全体の再点検、いわゆる総点検と言っていいと思うんですけれども、設計上非常に重要な部分につきまして、再点検をしっかりして、もし直すべきところがあればしっかり直して、次の打ち上げに備えていく、そのようなことをやるつもりでございます。
○城井委員
この打ち上げ失敗の件でもう一点だけ伺わせてください。
これも、またある専門家のお話なんですが、我が国のロケット打ち上げ、これまでの失敗率というところでいうと約二三%というふうに数字を聞いています。海外諸国は、同様のロケット打ち上げで七%前後というふうに聞いておるわけでございますが、この失敗率の高さからくる技術の不安定さというものは、本当に実用の技術としてたえ得るものなのかという議論が、これは出てきてもしようがない部分があるのではないかというふうに思っていますが、この点について御所見が伺えればと思います。
○坂田政府参考人
失敗率のデータについて、最初にちょっと申し上げたいと思います。
私ども、一九六〇年以降の各国のロケットの失敗率といいますか、むしろ成功率の方のデータを持っておりますが、日本について申しますと、これは旧NASDA、それから現宇宙航空研究開発機構でございますけれども、設立が一九七五年でございましたのでそれ以降のデータを申しますと、三十七回の打ち上げのうち成功が三十三回でございます。八九・二%の成功率でございます。
それから、欧州の一つの例でございますけれども、一番典型的なアリアンというロケットがございます。これは1型から5型までございますけれども、一九六八年以降、総合計で百六十一回打ち上げておりますが、成功が百五十回ということで成功率九三・二%でございます。
それからアメリカ、アメリカは幾つかのロケットがございますけれども、例えば一番成功率の高いもの、デルタ型、これは1、2、3型全部合わせますと、一九六〇年以降、三百一回のうち二百八十四回の成功で九四・四。一番悪いのがアトラスというロケットで、一九六〇年から、三百二十二回打ち上げて二百八十一回の成功、八七・三%でございます。
ちなみに、中国の長征ロケット1、2、3、4号は、一九七〇年以降、七十四回のうち六十六回成功で八九・一。
ロシアが、一九六五年から、二百九十八回のうち二百六十四ということで八八・六%でございます。
一般的にロケットの場合は、百発以上打ち上がりますとかなり技術が成熟してまいりますが、最初の二十発ぐらいは大変各国とも苦労をしてございます。日本の場合、H2ロケットは七回しか打ち上げませんでしたが、五回成功、二回失敗しておりますし、それから、H2Aが今回まだ六回目でございますが、一回失敗した、五回成功ということであります。
その他、ロシア、米国等々、最初の二十回のうちの成功率を全部調べてみましても、一番悪いところは成功率五五%でございますし、一番いいところで九五%ということで、やはりロケット技術は大変高度な技術の集積で非常に厳しい条件下でこれを運用するということもありまして、やはりリスクがある技術ではないか。したがって、特に初期段階におきましては、一〇〇%の成功というものを確保するというのは非常に難しいと思います。
しかし、にもかかわらず、先生も先ほど来御指摘のとおり、ロケット全体はいろいろな技術の集積でございまして、これは開発することはいろいろな技術的波及効果もございます。
そういう面もあわせまして、私ども、日本の基幹ロケットでございますH2Aにつきましては、これをぜひ信頼性のあるものにすべく、今回の失敗も踏まえて、しっかり努力をしていきたい、このように思っております。
○城井委員
ぜひその詳細な数字、後ほどお届けいただければありがたいというふうに思います。
少しでも失敗率を下げていただきたいというふうに思います。最初二十回という部分、私も認識はしておるわけですけれども、ただ、今のこの限られた資源と人材の状況というところで申しますと、その部分の回数に本当に甘えていいんだろうかというところは、ぜひ真摯に受けとめていただければというふうに思います。
さて、続けて、余り時間がないんですが、短く質問をさせていただきたいと思います。
今回の打ち上げ失敗によって当面打ち上げはないようでございますけれども、再開のめどはいつになりそうでしょうか。
所信の中では、早期と書いてありますし、あとことしの後半という意見を聞いたこともあるんですが、いかがでしょうか。
○河村国務大臣
先ほどもちょっと申し上げましたが、今、原因究明をきちっとしたいということに最大の精力を費やしておるところでございまして、これをできるだけ早くはっきりさせたい。
三月上旬に入りましたら原因究明を発表したい、こう今思っておるところでございます。その結果を待って、これからの対策ということでありますが、いつなら再開できるということは、ちょっと私、今の時点では時期尚早だと思っております。
気持ちとしては、今御指摘のように、早く、ことしの後半にでもという思いはございます。
しかし、まずこの原因のところをきちっとした上で、これならいけるというめどが立つ、ちょっと今その点について明確にできない状況でございます。
○城井委員
今からする質問と関連をするんですけれども、ぜひ早期にというふうにお願いをしたいと思っています。
というのは、いわゆる今回のロケットは、ただ打ち上げる側ではなくて、それを打ち上げてもらうものを載せている、つまりユーザーサイドの側のニーズ、要請というものがかなりの程度考慮されなければならないと思っているからであります。
例えば、次期の気象衛星MTSATの打ち上げが今回の打ち上げ失敗によって延期をされているという部分がございました。
私も、国土交通省あるいは気象庁の方に今回の件でお話を伺いました。現在は、いわゆるゴーズ九号、あの中古の衛星をお借りして何とか運用しながら、その予備機としてこれまで使っていたひまわり五号を確保しているというような状況で、何とかぎりぎり気象の情報の確保というところには努められているという部分があります。
そういう状況をかんがみ、早期かつ万全の打ち上げ再開をぜひユーザーサイドからというふうなお声も伺っているところでございます。
それに加えて、本日お越しをいただいているかと思いますが、今回の打ち上げ失敗で二機を残念ながら失ってしまった情報収集衛星、これの運用に関しても支障が出てくるんじゃないかというふうに想像をしております。
内閣衛星情報センターの方、きょう来られていると思うんですが、ぜひその点について御所見を伺いたいと思います。お願いします。
○岸野政府参考人
お答え申し上げます。
今回の打ち上げ失敗で二機を失ったのは大変残念に思っております。
他方、情報収集衛星、これは我が国の安全確保及び危機管理に資する画像情報を収集するということが主目的でございます。
したがって、情報収集面で活用していくというニーズがございます。
これまで運用に向けてさまざまな準備を行ってきたわけでございますが、できる限り早い段階、本年の四月から現行の二機を使って定常運用を始めるということで、目下準備を進めているところでございます。
○城井委員
時間がないので最後にしたいと思いますが、先ほどの情報収集衛星の部分も四月から運用ということでしたが、本来でしたら四機の運用の予定というところで計画があったと思います。
しかし、その部分で今回の場合もう一つだけ考えておかなければならないと思っているのは、その二機プラス二機といったときに、その二機を同時に打ち上げるということを今回やっていたわけですけれども、このダブルローンチの部分、特に非常に機密性が高く、要するに秘密であるということ、そして非常にお金をたくさんかけてつくっているというものをまだ技術的に信頼が置けるかどうか微妙だというところで、今回のその二機同時打ち上げをしてきたというところは、若干そのリスクヘッジという観点から厳しい部分があるのではないかというところを感じています。そこの部分を最後にお聞きして質問を締めくくりたいと思います。
○岸野政府参考人
お答え申し上げます。
御案内のとおり、情報収集衛星導入に至った契機は、九八年のあの北朝鮮によるテポドン発射でございます。
限られた期間の間に衛星を開発し、打ち上げて運用まで持っていくということで、一つは時間的なニーズがあった。
それから、費用対効果で予算を効率的に活用しなきゃいけないという発想もございました。
そういった点をすべて踏まえた上で、最初の四機体制確立まではデュアルローンチ二回でいくということが適当というふうに考えた次第でございます。
それから、リスクというお話があったわけでございますが、実は、この準備の過程で、専門家の方々にリスクについて所見を伺ったことがございます。
その際は、最初の四機については二回のデュアルローンチで行う方が相対的にリスクが少ない方法だという結論が出ております。
○城井委員
最後に、衛星ロケット打ち上げ失敗の原因究明と、それから早期の再開を心からお願い申し上げて質問を締めくくりたいと思います。
ありがとうございました。
衆議院議員 きいたかし 福岡10区