原子力損害賠償制度と民法第七百九条(不法行為による損害賠償)に関する質問主意書 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

平成三十年十一月二十七日提出

質問第八十号

原子力損害賠償制度と民法第七百九条(不法行為による損害賠償)に関する質問主意書

提出者 城井 崇


 

原子力損害の賠償に関する法律(以下、「原賠法」という。)は、原子力事業者に無過失・無限の賠償責任を課すとともに、その責任を原子力事業者に集中し、賠償責任の履行を迅速かつ確実にするため、原子力事業者に対して原子力損害賠償責任保険への加入等の損害賠償措置を講じることを義務づけ、賠償措置額を超える原子力損害が発生した場合に国が原子力事業者に必要な援助を行うことを可能とすることにより被害者救済に遺漏がないよう措置する等の、原子力損害賠償制度について定めており、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百九条(不法行為による損害賠償)の特別法として位置付けられている。

そこで、原子力損害賠償制度と民法第七百九条(不法行為による損害賠償)に関して、以下質問する。

 

一 原子力損害の賠償について、被害者によって、一般不法行為の成立要件である、加害者の故意又は過失、権利の侵害、損害の発生、侵害行為と損害発生との間の因果関係が立証される場合には、原賠法に基づくのではなく、民法第七百九条に基づいて、被害者が加害者に対して、不法行為による損害賠償の請求を行うことができるか、政府の認識を明らかにされたい。

 

右質問する。

 

 


 

平成三十年十二月七日受領

答弁第八〇号

 

内閣衆質一九七第八〇号

平成三十年十二月七日

 

内閣総理大臣 安倍晋三

衆議院議長 大島理森 殿

 

衆議院議員城井崇君提出原子力損害賠償制度と民法第七百九条(不法行為による損害賠償)に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

 

 

衆議院議員城井崇君提出原子力損害賠償制度と民法第七百九条(不法行為による損害賠償)に関する質問に対する答弁書

 

一について

原子力損害賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号。以下「原賠法」という。)第二条第二項に規定する原子力損害(以下「原子力損害」という。)に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百九条の規定に基づく損害賠諸請求を行うことができるか否かについては、個々の事案に応じて、裁判所において判断されるものと考えるが、一般には、原賠法は民法上の不法行為責任の特則を定めるものであるから、原子力損害に関する賠償責任の要件を定める原賠法第三条第一項の規定が適用されるべき場合においては、民法第七百九条の規定の適用が排除されるものと認識している。

 

衆議院議員 きいたかし 福岡10区