高大接続改革、特に新しい大学入試共通テストにおける英語の民間試験の利用について 衆議院議員 きいたかし 福岡10区 (北九州市門司区・小倉北区・小倉南区)

2018年6月6日(水)衆議院文部科学委員会 

○冨岡委員長

次に、城井崇君。

 

○城井委員

国民民主党の城井崇です。

本日は、私から、高大接続改革、特に新しい大学入試共通テストについて、きょうも林大臣に集中してということでお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 まず、英語の民間試験の利用についてお伺いをいたします。

使うとされております民間試験は、ケンブリッジ英語検定、TOEFLiBTテスト、IELTS、TOEIC、GTEC、TEAP、TEAPCBT、そして四技能に対応するという前提での英検、この八種類であります。

この利用について、まず、知らない人が多いという状況であります。知っている人に聞きますと、心配、懸念が尽きないという状況であります。文科省の担当職員などが全国に説明に回っているようでございますが、それを聞いた教職員など関係者から不安の声が後を絶たない状況です。

以下、具体的に質問をいたします。 平成三十五年までに、英語において、民間のこの資格検定試験とこれまでのマークシート式の共通テストが併存することから、その間、受験生は、双方の準備が必要となり学習上の負担がふえる、こうしたおそれがございます。

この負担についてまず、大臣、どうお考えでしょうか。せんだっての質疑でお答えいただけなかったと思うので、改めてお伺いしたいと思います。

 

○林国務大臣

グローバル化が急速に進展する中で、英語によるコミュニケーション能力の向上が課題となっておりまして、高等学校の学習指導要領でも、英語四技能を総合的に育成することが求 められております。

これを踏まえまして、二〇二〇年度からは、聞く、読む、話す、書くの四技能の総合的な能力を適切に評価するため、共通テストの枠組みにおいて、既に大学入学者選抜でも活用されている資格検定試験の結果を、大学入試センターが一元的に集約し各大学に提供することにより、その活用を一層促進することとしております。

一方で、高校関係者等の意見や、制度の大幅な変更による関係者への影響を考慮しまして、大学入学共通テストの英語試験についても、今お話がありましたように、二〇二三年度までは並行して実施することとしております。

二〇二〇年度以降の大学入学共通テストにおける英語の方は、この四技能の民間試験が活用される方針を踏まえまして、例えば発音ですとかアクセント、語句整序の問題、こういうものは出題をしないという形式での試行調査、プレテストを実施するなど、資格検定試験と一定の役割分担を行うということも検討しておりまして、必ずしも学習面において大きな追加の負担が生ずることとはならないというふうに考えております。

 

〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕

 

○城井委員

これからまた、逐一御指摘を申し上げたいと思いますが、今回の大変更で、特に受験生に対する負担や不公平というものがかなり生ずるという状況になるので、この点をぜひお考えいただきたいということできょうは御質問を申し上げたいと思っておりますので、ぜひお願いしたいと思います。

続いて、民間試験の出題の内容についてお伺いいたします。 この民間試験の出題には高校の学習指導要領の範囲の外の部分があるということを、先日、三月三十日の質疑でお伺いをいたしました。

内容が高校の学習実態と異なるからというのが私自身の認識です。大臣からは、学習指導要領は最低限の大綱的基準であるとか、より高度な内容を学習することが多く行われているとか、高い英語能力を習得した生徒を評価する仕組みを用意しておくことが必要、こうした答弁でございました。

一方で、平成三十年三月二十七日の大学入学希望者学力評価テスト(仮称)検討・準備グループ第十二回、これは政府内での会合でありますが、この中では、文部科学省の担当者は民間試験と学習指導要領との整合性はあるというふうに答えているということでございます。

私が心配をしておりますのは、より高度なことを学んだ人を評価する仕組みはあったとしても、おのおのの民間の試験の中での範囲外のところで、整合性がない部分で異なる部分が相当ある、この部分をどう見るかということを大変心配いたしております。

そうした状況で、今回の英語の民間試験利用で正当に比較をして評価をすることができるか。 そもそも、この成績比較で問題があるというふうに思っています。

本来ですと、高水準で標準化をしておかなければなりませんが、今回の今とろうとしている手だてではこの高水準の標準化は難しいというふうに見ております。

おのおのの英語の民間試験の難易度や目的などが異なるために、英語の民間試験の成績を正確かつ公平に比較できる体制を整備する必要があります。 しかし、今回示されておりますのは、入試で使うには裏づけが乏しい対照表が示されているだけです。

この対照表はCEFRと略されますが、外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠というのが正式名称だそうであります。この対照表はたびたび書きかえられております。また、厳密な第二言語の指標としては使えないというのが専門家からの意見であります。

このように、入試での利用を想定していないこの対照表を目的外使用しようとしていると言って差し支えないというふうに思っています。 今のままでは、大臣、同じ生徒でも受ける試験次第によっては成績評価が違ってしまう、変わってしまうということが起こり得るのであります。

この点も、文部科学省の担当者がこれまでの検討会議や、あるいは全国の説明会で認めているところであります。この成績の評価が変わり得るというのは全く不公平だというふうに考えます。

大臣、この厳密な比較というのには今の仕組みですと無理があります。不公平が生ずるのは明らかです。ここが乗り越えられないから、例えば東京大学が、民間試験の結果を不採用にしようとか、やっぱり使おうと、現場の教授からあれは根本的にだめだから考えろという意見が上がったりということが起こっております。

西日本新聞によると、九州の大学十九の大学に伺いましたら、この新テストの採用をすると明言したところはございませんでした。

現場は混乱しております。このまま進むんでしょうか。この比較の精度を上げること、そして仕組みの整備について、大臣、いかがお考えでしょうか。

 

○林国務大臣

大学入学者選抜におけます英語の資格検定試験の活用やその方法については、まずアドミッションポリシーにおいて各大学が判断をすることになりまして、実際に大学独自で比較表を設けて活用している例もあるということでございます。

一方、入試センターでは、各資格検定試験の結果の比較に資するように、各試験のスコア等に加えて、外国語の能力をはかる国際的指標である、今お話しいただきました、CEFRの六段階評価をあわせて各大学に提供する予定にしております。

そのため、各資格検定試験の実施団体におきまして、欧州評議会の定めるルールにのっとりまして、試験のスコアとCEFRとの対応関係について専門家による検証を実施するということ、それに加えまして、その検証体制、検証方法等についてホームページにおいて公表する、さらに、その上で、文部科学省に専門家も参加した作業部会を設けて、これら全体のプロセスが適切であるということについて専門的見地から確認をし、公表したところでございます。

文科省としては、このCEFR、対照表の更新を必要に応じて行っていくとともに、英語四技能の評価のため、資格検定試験の活用促進に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

 

○城井委員

そもそもが、今回使われる民間試験は目的が違います。TOEICはビジネス英語でありますし、TOEFLは北米の大学や大学院の留学、IELTSは英語圏への留学や移住といったぐあいであります。 目的が異なる上に、高校の学習実態を踏まえていない。

日本生まれの英検やGTECですら同じ状況であります。この点はぜひ踏まえていただきたいというふうに思います。

また、高校の授業が、今のままですと、民間試験対策に偏るおそれも大きいというふうに思っています。対策のための教材が、教科書より有効とされかねません。こうした本末転倒とならないように、しっかり見ていただきたいと思います。 もう一点、御指摘を申し上げます

費用負担の問題です。 経済的格差が受験生を直撃します。英語の民間試験の受検料負担が新たに加わることによりまして、受検料のみならず、事前学習の段階から受験生の経済的負担が増大することになります。このことを先日の質疑でも私から指摘をしました。

大臣からの答弁では、試験機会を二回に絞る、低所得世帯の検定料は各試験団体において配慮を検討、そして、実施会場の追加や検定料値下げ等の配慮を求めたいということでございましたが、民間試験業者への依頼内容ばかりであります。 実際には、大臣、受検料は何と二団体がその後値上げをいたしました。

値下げ団体はありません。 民間業者が会場をふやすかなと思って見ておりますが、ごくごく限られた状況であります。

一方、国の取組がまだ見えていない。唯一、大臣から触れられましたのは、大学入試全体の受験料負担について、その軽減について、調整中としながらでしたが、先ほどから議論のありました新しい経済政策パッケージにおいて、低所得者に対する給付型奨学金の中で、大学等の受験料が措置されるという御答弁でした。

この大学の受験料以外で、民間試験のこうした受検料、どこまでサポートされるのかということを具体的に御説明いただけますでしょうか。

 

〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕

 

○林国務大臣

今回の大学入試英語成績提供システムに参加することとなる資格検定試験は、英語四技能を総合的に評価するものとして社会的に認知されて、一定の評価が定着しているとともに、現在でも高等学校教育や大学の初年次教育の場でも活用が進んでいる民間の試験ということでございますので、練習のための受検回数を制限する、これはなかなか難しいかなというふうに思っております。

四技能は、これまでも学習指導要領に定められてきましたので、高等学校の授業により身につけることができるようにすることが重要である、こういうふうに考えておりますが、今回の提供システムでは、高校関係者等の意見も踏まえて、受検者の負担を少しでも軽減する観点から、共通テストの枠組みで入試そのものとして活用する資格検定試験については、受検回数を二回に限るということを原則としておるところでございます。

また、大学入学共通テストの枠組みにおける英語の資格検定試験の活用に当たっては、受検者の実施場所とか検定料の負担に配慮するために、受検時期、回数を高校三年の四月から十二月までの事前に登録された二回に限るということにしております。

また、低所得世帯の受験生の検定料につきましては、各試験団体において配慮することを検討すると聞いておりますし、文部科学省としても、現在、全国の高校に対して実施している受検ニーズの調査等を踏まえて、実施会場の追加や検定料値下げ等の配慮を引き続き求めていきたいと考えております。

今お触れいただいたように、大学入試全体の受験料負担の軽減としては、具体的内容は最終調整中ですが、経済政策パッケージにおいて、低所得者層に対する給付型奨学金の中で、大学等の受験料が措置されるということでございますので、居住地、どこに住んでいるかとか家庭の経済状況にかかわらず大学進学ができるために、しっかりと引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

 

○城井委員

民間試験の受検料は、先ほど申し上げたように、大臣、値上がりをいたしております。

更に言えば、事前の家庭学習を含めた部分での費用もかかってくるということになってくるということを踏まえての対応をぜひお考えいただきたいということを改めて申し上げたいと思いますが、この事前学習の機会でも大きな格差が生じてくるという部分について、大臣、この点を解消するためにお取り組みいただけますでしょうか。

 

○林国務大臣

先ほど申し上げましたように、事前学習の機会で大きな格差ということ、練習のための受検、こういうことというお問合せだというふうに思いますけれども、先ほど申し上げましたように、今度参加することになる資格・検定試験は、社会に認知をされまして、一定の評価が定着をしております。

また、高等学校教育とか大学初年次の教育の場でも、また留学される方、いろいろな用途で使われておる民間の試験でございますので、練習のための受検回数を制限するということは困難であろう、こういうふうに思っておりますが、先ほど申し上げましたように、入試そのものとして活用する資格・検定試験は受検回数を二回に限るというのは先ほど御答弁したとおりでございます。

 

○城井委員

大臣、一定の認知というのは少々言葉が過ぎていると思っています。

理由は、公開テストをやっていないけれども、今回の民間試験導入から公開テストをやりますという試験が幾つもあります。

ぜひ御確認をいただきたいというふうに思います。その意味では、実績というふうなところで足りないけれども、ルールを操作することで超えさせた部分が今回の試験に幾つもあるということはぜひ確認をいただきたいというふうに思います。

さらに、もう一点申し上げますと、地域間の格差が影響してきそうだということを指摘せねばなりません。

自宅と英語の民間試験の会場との距離などによって受検機会に格差が生ずるおそれが極めて大きいと思っています。

例えば、首都圏では選択肢が多い状況になりますし、地方ですと、受検場所が少ない上に、追加負担、交通費なんかも含めて大きい状況になる、これも不公平だというふうに思います。

例えばでありますが、九州地方を見たときに、全種類の試験が実施されるのは福岡県のみであります。

こうした地理的な要件による不公平が生ずるという状況になりますけれども、大臣、この点はどうされますか。

 

○林国務大臣

大学入学共通テストにおいて活用される民間の英語資格・検定試験については、大学入試センターが構築するシステムへの参加に当たり、以下の要件を満たしていることが確認をさ れております。

原則として、毎年度全都道府県で実施をする、検定料について、経済的に困難な受検生に配慮するということでございます。

文科省としても、全国の高校に対して実施している受検ニーズの調査等を踏まえて、実施会場の追加ですとか検定料値下げ等の配慮を引き続き求めていきたいと考えております。

さらに、大学入試全体の受験料負担、これは先ほど御答弁申し上げましたように、新しい経済政策パッケージにおいて大学の受験料が措置されるということになっておりますので、こうした取組を通じて、どこに住んでいるか、また家庭の経済状況にかかわらずしっかりと進学ができるように、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

 

○城井委員

続きまして、大学入試の英語成績提供システムに参加申込みをしている実施主体についてお伺いいたします。

この実施主体が正確かつ公平な運営を行うことをどのように担保するかが極めて重要だと思っています。

これまでですと、民間試験はただの能力診断だったかもしれませんが、今回のものは入学試験でありまして、その人その人、生徒生徒の人生が大きくかかわってくるという重大な中身になってきます。

大臣も御承知かと思いますが、今回の八種類の試験の実施主体は、それぞれの英語の民間試験のその裏には、特定の企業があり、運営に当たっています。

一部民間企業の影響力が極端に大きくならないようにするための国の取組が欠かせないと思っています。

この点、大臣、どのようにお考えでしょうか。

 

○林国務大臣

英語の資格・検定試験の実施主体につきましては、継続性のある組織や経営体制、試験の実施体制等に関する第三者を含めた自己評価等を参加要件として、大学入試センターにおいて確認が行われた結果、本年三月に、七団体、二十三試験の参加が公表されたところでございます。

各参加試験につきましては、今後、センターが毎年度の実施状況を確認するとともに、万が一、参加要件及び協定書等で約する内容を満たしていない可能性があると認める場合には、改善案及び改善状況の提出を求めることとしております。

さらに、改善を求めた事項につきまして、一定の期間内に改善される見込みがない等の場合には、当該試験の参加を取り消すというふうになっております。

文部科学省としては、大学入試センターと協力いたしまして、これらの確認を通じて、資格検定試験の実施主体による正確かつ公平な運営の担保に努めてまいりたいと考えております。

 

○城井委員

続きまして、記述式の問題の導入についてお伺いいたしたいと思います。

この点についても大きな懸念がございます。 採点に当たって、多くの受験生の答案を正確かつ公平に短期間で採点できる体制を整備する必要があります。

しかし、この採点者の質の担保など、かなりハードルが高いというふうに思っています。

整備ができるでしょうか。大臣、お考えをお聞かせください。

 

○林国務大臣

大学入学共通テストにおいては、受験生の思考力ですとか判断力、表現力、これを適切に評価するために、これまでのマークシート式問題に加えて記述式問題を導入する予定としております。

この記述式問題の採点につきましては、採点者に対する研修の実施などに加えて、受験者一人の答案を複数の採点者が採点いたしまして、それらの採点が不一致であった場合、上位者が判断することで採点ミスを防ぐ、いわば多層的な採点を行うなど、その処理能力や信頼性、実績を有する民間事業者を活用するとともに、大学入試センターにおいても必要なチェックを行う予定にしております。

また、昨年大学入試センターが実施をいたしました二〇一七年度の試行調査、いわゆるプレテストでございますが、ここにおきましては、国語で約六・五万人、数学におきまして約五・五万人の答案を約千人の採点者で採点いたしましたところ、当初十五日と予定していた最初の採点は十日で終了するという結果を得たところでございます。

この結果を踏まえながら、改めて本年十一月には十万人規模の試行調査を行う予定でございますので、引き続き、大学入学共通テストの円滑な実施に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

 

○城井委員

もう一点お伺いいたします。 この記述式問題の難易度が高過ぎる場合ですが、一部の優秀な受験生しか得点できなくなることから、大学入試共通テストの選抜性そのものを低下させるおそれがあるというふうに考えています。

例えば、記述式の結果がせんだっての試行テストでは何と正答率〇・七%というようなこともありまして、これでは一体何を選んでいるのかということになります。

この点について、国の見解をお聞かせください。

 

○林国務大臣

大事な問題だ、こういうふうに思います。 二〇二〇年度からの共通テストでございますが、記述式問題を導入して、解答を選択肢の中から選ぶだけではなくて、みずからの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述をする、こういった思考力、判断力、表現力を評価する予定にしております。

今お話のあった記述式問題の難易度についてでございますが、大学入試センターが二〇一七年度に実施した試行調査の結果を踏まえて、例えば国語については、記述式問題三問の難易度のバランスに配慮しつつ、最も難易度の高い問題で正答率が三から四割程度になるように作問を行って、その問題でこの十一月に行う試行調査を実施して検証をしていく予定、こういうふうに聞いております。

受験生、今御指摘があったように、やはり基礎的な学力を適切に評価するものでございますので、そのために質の高い問題が作成されることが重要であると考えておりまして、二〇二〇年度の大学入学共通テストの実施に向けて、引き続き大学入試センターを支援してまいる考えでございます。

 

○城井委員

第二回の試行テストについて一点お伺いさせてください。参加校の選定はどのようにされているかという点であります。

学校現場や予備校の関係者からお話を伺いますと、参加校リストの中では、参加校の選定基準が地域でばらばらになっているんじゃないか、ある地域では成績上位校で選抜チームを組んで試験を受けさせる、ある地域ではそうした配慮がなく選定されている、こうした状況が見受けられるというのが学校現場からの意見でありました。

アンバランスな上に、抽出になっていないという意味では、試行にすらなっていないのではないかというふうに思います。

今後、試行テスト等があるならば、この点を踏まえての対応がもちろん必要であるというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

 

○林国務大臣

昨年十一月の試行調査におきます協力校の募集に当たっては、大学入試センター試験への各高等学校の志願者数をもとにセンターが基準をつくりまして、各教育委員会に募集人員を提示したところでございます。

この基準の作成に当たっては、センター試験の志願者数を踏まえながら、特定の学力層に偏らないよう募集人員の上限を設定するなど、多様な学力層となるよう努めたほか、試行調査は地域的な傾向を把握するためのものではありませんけれども、各都道府県、少なくとも一個ずつは対象となるように配慮した、こういうふうに聞いております。

各教育委員会では、この募集人員をもとに、高等学校を選出した上で、大学入試センターにおいて人数を調整して、最終的に協力校を選定したところでございます。 なお、今回の試行調査では、解答に必要な場面や条件の設定として、どの程度までの複雑さが可能かを検証できるように作問を行ったところであり、その結果、先ほど委員からもお話がありました、国語の記述式の正答率が〇・七%、極めて低い問題も出てきたところでございますので、これを踏まえて、本年度行うこととしている試行調査では、記述式の問題も含めて、先ほど申し上げましたように適切な難易度となるように十分考慮することとしておるところでございます。

 

○城井委員

続いて、新テスト導入に伴う調査書についてお伺いしたいと思います。

この導入に伴って調査書の仕組みも変わることになるというふうに聞きました。

行動記録をタブレットなどで入力する仕組みだというふうに聞きました。

システムは個人負担を求める、都道府県教育委員会単位での生徒の個人負担であります。

地域によって、仕組み、名前のつけ方は異なるというふうに伺いましたが、クラッシーという民間企業の仕組みを用いるというふうに聞いています。

大臣、これは何で一社独占ということになっているんでしょうか。

民間企業から学校側に、使わないとだめですよということで利用をせかされているというふうにも学校現場から聞きました。

情報流用も心配であります。 こうした点について、大臣、いかがお考えでしょうか。

 

○林国務大臣

この調査書でございますが、高等学校の校長の責任で作成をし、大学に紙媒体で提出されているものでございまして、受験生の主体性などをより適切に評価するため、二〇二〇年度大学入学者選抜から、記述内容がより具体的になるよう項目を整理する等の改善を予定しております。

さらに、現在、文部科学省では、個別選抜において主体性などをより適切に評価できますように、生徒の学習成果を電子データでやりとりすることを可能とする仕組みの構築のための調査研究を大学に委託し、民間企業の参画も得つつ、生徒の学びに関するデータであるポートフォリオと大学ネット出願システムとを統合したジャパンeポートフォリオの開発を行っておるところでございます。

一方で、高等学校では、生徒が学びを振り返ること等による教育の質の確保や向上の取組が見られておるところでございまして、学校によっては、ICTを活用したさまざまな民間サービス、この中には今委員からお話のあったクラッシーも含まれるわけでございますが、さまざまな民間サービスを利用しているところもございますが、開発を今しておりますジャパンeポートフォリオでは、これらさまざまな民間サービスの利用の有無にかかわらず、希望する全ての高等学校が活用できるシステムになっておるところでございます。

また、ジャパンeポートフォリオにおいては、全てのデータを暗号化しておりまして、開発に参加している民間企業においても、情報セキュリティーマネジメントシステムに関する国際認証規格、ISOの27001番、ISMS、及びプライバシーマークを取得しているなど、情報を適切に管理、運用しているもの、こういうふうに考えております。

 

○城井委員

ジャパンeポートフォリオについてはまた改めて別の機会にと思いますが、一点だけ大臣に確認をと思います。大学入試の浪人生に対する対応であります。

大学浪人生には、今回のこの記録は作成されないのではないかというふうに聞きました。

浪人生対応をしないというふうに文部科学省の官僚が明言しているというふうに学校現場から聞きました。

大学の受験機会について不公平が生ずることになると考えます。

公平な受験機会を保障するためには、当然、このジャパンeポートフォリオを含めた調査書についても浪人生対応をすべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

 

○林国務大臣

この調査書は、浪人生の分も含めまして、高等学校の校長の責任で作成をし大学に提出されるものでございますので、特に不公平を生じるとは考えておらないところでございます。

今お話にもありましたジャパンeポートフォリオについては現在開発中でございますけれども、ジャパンeポートフォリオを大学入学者選抜に活用する大学におきましては、浪人生や参加していない高等学校の受験生など、その利用の有無にかかわらず公平公正に入学者選抜が実施されることが重要であると考えておりまして、ジャパンeポートフォリオを利用していない受験生が不利益をこうむらないよう、各大学に対してその旨指導してまいりたいと思っております。

 

○城井委員

以上の私からの質問を踏まえてです が、新テストについては大幅な見直しがかなり必要だというふうに考えます。

高大接続システム改革会議の場でこの議論はされてきたと思いますが、私が取り上げたようなこうした部分の実質的な議論は残念ながらありませんでした。公開の場からインナーに移ってから仕込んだものが相当数ございました

大臣、ぜひ御確認をいただきたいと思います。

新テストの最初の受験者の高校生活が始まったばかりであります。

二〇二四年からの全面的な民間試験利用を考えますと、国として立ちどまって見直せるぎりぎりのタイミングだというふうに考えます。

私からは、以下の提案を申し上げたいと思います。一つは、英語の民間試験利用に関して、高校の学習実態を踏まえること。

そして、民間試験のハードルを低くし、ウエートを小さくすること。

三つ目には、公平な受検機会を確保すること。

四つ目には、民間試験の実施活用の事後検証を速やかに行うこと。

そして五つ目には、将来的に試験を一本化することも視野に入れながらですが、英語四技能をはかる試験開発を、センター試験英語のノウハウも生かしながら、国、地方で行うこと。

特にこの五つ目は、韓国では一回やろうとして失敗しているそうでありますので、よくその失敗を踏まえてやっていただきたいと思いますけれども、この五つを私から提案を申し上げたいと思います。

見直しを含めて、大臣、ぜひお取組をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○林国務大臣

質疑を通して、また最後にも貴重な提言を賜りましたので、先生の御意見も踏まえながらしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 

○城井委員

終わります。ありがとうございました。  

衆議院議員 きいたかし 福岡10区