資料集国会質問議事録

1. COP10の成果について(総理)
2. 個人献金の促進について(総理、財務大臣、総務大臣、国土交通大臣)
3. 対ロシア外交について(総理、外務大臣)
4. 事業仕分けについて(総理、行政刷新担当大臣)
5. 幼保一体化について(総理、少子化担当大臣)
6. 検察のあり方について(法務大臣)
7. 政府の機密情報の管理について(官房長官)

第176回国会 衆議院予算委員会会議録第6号(平成22年11月08日)より抜粋

(前文略)

○中井委員長 この際、城井崇君から関連質疑の申し出があります。近藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。城井崇君。

○城井委員 民主党の城井崇でございます。
 本日は、質問の機会をいただきありがとうございます。
 まず総理に、COP10の成果についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 先月、愛知県の名古屋市で開かれました生物多様性条約第十回締約国会議、いわゆるCOP10では、遺伝資源へのアクセスと得られる利益の配分をめぐって各国の間にかなりの意見の相違が見られて、交渉が決裂寸前であったというふうに報じられておりました。
 しかし、会議の最終盤で、議長国である我が国日本の努力によって、各国が歩み寄りを見せて、名古屋議定書の採択、愛知ターゲットの合意など、大きな成果を上げました。
 総理、私は、このことは日本外交の大いなる勝利であるというふうに考えております。COP10の議長でありました松本龍環境大臣を初めとする関係者の皆様の御尽力をたたえるとともに、総理の所感をお伺いしたいというふうに思います。

○菅内閣総理大臣 私も、全体としては、今、城井議員がおっしゃるように、大変大きな成果を松本議長のもとで上げていただいたと思っております。
 私も現地に出かけまして、地球の四十五億年の歴史の中で、四十億年前に地球上に生物が発生し、それからたくさんの種類の生物がふえてきた。これは、ある意味では奇跡的なことだ、宇宙の中でも奇跡的なことだ。それが、近年において非常に速いスピードでそういう生物の多様性が失われつつある。しかも、その原因が、多くは人間の活動にある。このままいったら、生物の多様性がなくなるばかりか、最終的には人間そのものもこの地球上に生存できなくなる、そういったおそれさえあり得るんだ、そういう立場であいさつをさせていただきました。
 そういう中で、大変難しい、厳しい議論ではあったと思いますが、夜を徹して行われた中で、議長の松本環境大臣のもと、ぎりぎりのところで議長案が提示をされ、それを多くの国が大きな一歩ということで合意をして、愛知目標、さらには名古屋議定書が決定されたことは大変喜ばしいことであり、大きな成果を上げていただいた、このように改めて感謝をするところであります。

○城井委員 ありがとうございます。
 この成果を大きく生かしながら、来るAPECにおきましても、総理の大きなリーダーシップをぜひ発揮していただきたいというふうに思います。
 こうした菅内閣における成果というものをもっともっと発信していきたいわけでありますけれども、我々国会議員が地元へ戻りますと、私どもには国民の皆さんの厳しい声を最近では多くいただいております。
 ここからは、そうした厳しい声を直接伝えながら、幾つか短く質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、個人献金の促進についてであります。
 総理、今、我々の政治姿勢、特に政治にかかわるお金の扱いについて、国民、有権者から、我々が本気で取り組む気があるのかということが問われています。
 最近、民主党で方針を出しました企業・団体献金の再開に関しまして、苦言ともいうべき多くの厳しい声をいただいています。直近の共同通信の世論調査でも、六七・九%がマニフェストに反しており問題と世論は受けとめています。
 もちろん、単純に企業・団体献金イコール悪だと言うつもりはないわけであります。また、衆院選のマニフェストのとおり、三年後をめどに企業・団体献金を廃止する、それまでの暫定的な措置であるということも理解をいたしております。
 しかし、そこに潜む危険性、特に、特定の人と癒着をするという、その政治の陥る危険性というものを考えますと、献金については個人献金中心に切りかえていくことが理想だというふうに考えております。
 とはいうものの、これまではその促進策が過去の政権も含めて十分に図られてはおりません。若手議員の大半も、何とか踏ん張りながらでありますが、やはり苦労しています。
 そうした中で、企業献金に頼らない政治活動を確立している議員もおります。内閣の中では、馬淵国土交通大臣がその方だというふうに聞いております。
 馬淵大臣、個人献金中心で実際に政治活動はどれだけ、どこまでやれるか、御経験をお聞かせいただきたいと思います。

○馬淵国務大臣 個人的な政治活動についてのお尋ねでございますが、現実に今日まで、政治家が企業献金を受けてきたという事実がございます。一方で、私自身は会社経営をしておりまして、利益を求める企業が見返りを求めるということは完全には排除できない、こう考えておりました。
 したがいまして、私自身は、政治活動の中で、一切の企業献金を受けない、さらには、企業献金の受け皿となりかねない政治資金パーティーを開かないというその思いで今日まで活動してきたわけです。
 大変恐縮でございますが、私自身は、子供のときから、軍人であった父から、渇すれど盗泉の水を飲まず、熱すれど悪木の下に憩わず、これは中国の猛虎行の漢詩にある一節でございますが、大変厳しく育てられたという思いがあります。
 その中で、個人献金は大変苦労します。インターネットなどの活用もございますが、基本的には、政治家が国民の皆様方、支持者の皆様方に一票を投じていただいたその思いと同様に、自律的な選択として政治を支える、政治を動かすというその思いを持っていただくことに、これは丁寧にお伝えをしていく以外にないと思います。
 私も浪人時代も含めて大変苦労いたしましたが、一人一人に伝えていく努力によって個人献金で政治活動を行うという可能性は私は無限に広がると思っておりますし、現にアメリカでは、オバマ大統領を初めとして、こうした個人献金のファンドレーズというものを進められております。この活動を、私自身は、広く政治家の皆様方に進めていただきたいという思いを個人的には思っております。

○城井委員 ありがとうございます。信念に基づく御苦労の話、私自身も強く共感するところであります。
 ただ、仕組みがなかなかについていっていないというふうに思っています。仕組みの工夫が十分ではありません。
 私自身も、この個人献金ということに関しましては、一月一口五百円、毎月個人の皆さんから浄財をいただく、名づけてワンコイン維新という名前で運動を今取り組みを進めています。
 毎月定期的に少額の浄財をいただくという仕組みでありますが、ただ、実際にやってみますと、これは現在の法律では個人寄附の扱いにはなりません。毎月定期的ということでありまして会費の扱いとなってしまいまして、税制上の優遇を受けることができないということになります。本来は、こういう広く薄く支えていただくことが成り立つような、そうした仕組みにしていくことが必要だ、少額寄附の税制上の優遇というものが必要なんじゃないかというふうに思うわけであります。
 また、そうした取り組みを進めていくに当たって、今、ネット献金というものが少しずつ進んでいます。大手のポータルサイトなどの取り組みもありまして、徐々にふえているわけでありますが、まだまだ仕組みのハードルもあって進んでいないのが現状であります。
 こうした少額寄附の税制上の優遇ですとか、あるいはネット献金のハードルを下げるということ、この個人献金の促進の仕組みを進めるに当たって課題等がどうかというところを、それぞれ所管に、総務大臣、財務大臣ということになろうかと思いますけれども、短く、その見解をお伺いしたいと思います。

○片山国務大臣 政治を国民が広く支える、政治家を支えるということは私は非常に重要なことだと思います。その意味で、個人献金、個人による政治家への浄財の寄附などを広げるということは大変結構なことだと思います。
 そういう意味で、一つの手法としてインターネットを活用するということがあります。これについては、現在の法制度では、インターネットによる個人献金を制約するということはございません。もちろん、個人献金一般で、寄附者の氏名とか住所とか職業とか、それから寄附金額とかそういうものがきちっと把握できれば、インターネットでも何ら問題はないと思います。

○野田国務大臣 個人が行う政治献金に対しては、国等への寄附と同様に、所得控除、寄附金控除の制度が設けられています。これは平成二十二年度の税制改正で、その適用下限額が今まで五千円だったものが二千円になりました。少しはそれを助長する動きにはなったんだろうというふうに思います。
 また、政党または政治資金団体に対する政治献金については、税額控除制度が設けられておりまして、所得控除と税額控除との選択制がとられているというのが実情でございます。
 私も、去年の総選挙まで民主党の政治改革推進本部の事務局長をやっておりました。三年後に企業・団体献金をなくしていく、あるいはパーティーも企業、団体からお金をいただかないようにするという法律をつくった役割を私は果たしておりますが、今、政府の立場としては、こういう御議論は、さらなる税制上の優遇措置を含めて、公党間での御議論を進めていただくことが何よりも大切ではないかというふうに思います。

○城井委員 ありがとうございます。
 やはり、今の御答弁からも仕組みの限界がまだまだあるというふうに思いますが、党は党の方でこれからも議論を進めていきますけれども、ぜひ内閣におかれても、その議論に資する取り組みをお願いしたいというふうに思います。
 この個人献金の促進に関しましては、総理、クリーンでオープンな政治ということを繰り返し申している我々であります。このことに関して、民主党の代表でもあります総理の御決意をぜひお伺いしたいというふうに思います。

○菅内閣総理大臣 国民の皆さんにもぜひお聞きをいただきたいんですが、今もありましたように、個人献金、私もそれが最も望ましいと考えて、できるだけそういう努力をしてまいりました。もう三十年以上前になりますけれども、亡くなられました市川房枝さんの選挙の折に、個人献金だけで千数百万円のお金が集まりまして、その内側でやったことが私の初めての選挙をお手伝いした中でありました。
 しかし、残念ながらといいますか、私も努力をし、かなりの割合は個人献金にお願いしておりますけれども、必ずしもそれが一般的に広がってこない。まして、政党に対する個人献金というものも、残念ながらそれほど広がってこない。そういう意味では、税制上の問題もありますけれども、なかなか難しい。インターネット献金も、私もいろいろやってきましたけれども、制度的には不可能ではありませんけれども、実質的には、そうした、アメリカのような何百万ドルなんという話にはほとんどなっておりません。
 そういった意味で、まずはこれは国民の皆さんに、やはり私たちが活動するのに、確かに三人のスタッフは国から費用が出ますけれども、三人では活動ができないわけですから、そういう費用をぜひ有権者の皆さんにも分担をしてもらいたい。もちろん、そのことのかわりとして政党助成金をいただいているわけですけれども、では政党助成金だけでいいのかという議論もあります。
 そういう中で、今問題となっています企業献金の問題もあって、私も企業献金が望ましいとまでは言いませんけれども、それによって政治が左右されることがあるような政治献金は望ましくない。そういう中で、個人献金が拡大するという期間的余裕を三年と見て、法律改正後三年間の経過措置としてマニフェストにうたったものに今現在従ってやっているということでありまして、百点満点ではないことはわかっておりますが、国民の皆さんにもそういった意味をぜひ御理解いただきたい。
 そして、今、城井さん自身が苦労されていることがある意味で国民の皆さんに理解されて、適正な個人献金が拡大できるように、私もいろいろ制度的な面を含めて努力していきたい、このように考えています。

○城井委員 ありがとうございます。
 総理、厳しい経済状況の中で、地方は大変疲弊をいたしております。そうした中で、身銭を切って浄財で政治を応援いただく方々が厳しい目で、また熱い期待で我々の取り組みを見ております。ぜひ、ともに取り組みを急いでいただくことをお願い申し上げて、次の質問に参りたいというふうに思います。
 続いて、対ロシア外交について、総理と外務大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
 メドベージェフ大統領の北方領土への訪問がありました。日ロ双方の発展を損ねる本当に残念な出来事だというふうに思っています。
 政府でも既にさまざまな対応をしていただいておりますが、お伺いしたいのは、一時帰国をしていた駐ロシア大使からの報告の内容。そして、外務大臣、通告はいたしておりませんが、大使を帰任させたというふうに伺っております。その意図も含めて御説明いただけますでしょうか。

○前原国務大臣 今回、メドベージェフ大統領が国後に訪問したということは、国後を含めて北方四島は我が国固有の領土であり、四島の帰属を確定させて平和条約を締結するという我が国の考え方からすると大変遺憾なことでございまして、抗議をしたところでございます。
 今回の背景について、どのような国内的な要因、あるいは他の要因を含めてあったのかということを直接聞くために帰任をいたしまして、一定のヒアリングは終わったということで、きのうモスクワに戻したということでございます。

○城井委員 国内的要因という点にも今触れていただきました。ロシアから見ますと国内向けのアピールということなのかもしれませんけれども、これを国内向けということで捨ておくわけにはいかないというふうに思っています。
 今回のことをきっかけにして、北方領土問題への対応において、領土問題が未解決なんだというその前提そのものを修正させるということをロシアにさせてはならないからであります。
 そもそも、このメドベージェフ大統領の訪問について、なぜ事前に察知ができなかったのか。それまでのロシアの言動にも兆しはあったんじゃないかということ。その情報収集やインテリジェンスの能力強化が必要なんじゃないかというふうに思うわけでありますが、外務大臣の御所見をお伺いします。

○前原国務大臣 新聞報道等で、あるいは午後の野党側の質問等でも、この問題を普天間の問題やあるいは尖閣の問題に結びつけて論じる向きがあるというのは承知をしておりますし、そのことについては私は否定はいたしません。
 ただ、この分析というものを客観的に、もう少しちゃんと見た方がいいと私は思います。
 先般、外務委員会でも私は答弁をいたしましたが、ロシアの政府高官等による四島訪問は二〇〇五年から極めて多くなっておりまして、今まで、副首相、外務大臣、国防大臣、あるいはサハリン州知事に至っては何度も訪問しているわけでありまして、それが二〇〇五年以降かなりふえてきております。
 なぜそこにそういった背景があるのかといいますと、資源の価格が上がって、石油や天然ガスの価格が高騰して、資源開発国であるロシアが財政的に潤って、今までは手のつかなかった一番端のクリル、千島列島あるいは北方領土、こういったところまでお金が来ることになってきた。
 二〇〇七年に、二〇一五年までの間のクリル諸島社会経済発展連邦特別プログラムということで、予算規模が合計八百十二億円というものが投入されて、第一段階はことしで終了します。第二段階は、来年から五カ年計画で、さらに国後、択捉、色丹を含めたところのインフラ整備、そして漁業資源、観光資源というところにお金がつぎ込まれていって、結果的には、我々が一番心配しているのは、経済的にまだロシアが北方領土に対してそれほどお金が行っていない場合には、そういったものをてこに領土交渉というものは行い得た面もあった。私も、この担当になってから、自民党政権がどんな領土交渉をやってきたのか、全部つぶさに研究をいたしました。いろいろな交渉をしていたということはわかりましたけれども、そのバックグラウンドの根底にはやはり経済的なてこというものがありましたけれども、逆に、北方領土のいわゆるロシア化が進んでいるということは、むしろこれは、領土交渉においては非常に我々にとって難しい局面を迎えつつあるということであるというふうに思っております。
 先ほど委員がおっしゃったような情報収集能力もさることながら、この北方領土のいわゆるロシア化というものがさらに強まっているところを踏まえて、北方領土の交渉そのものを根本的にやはり見直していくということは大事なことであって、私は、そういった観点からさまざまな取り組みを行ってまいりたいと考えております。

○城井委員 今ロシア化というお言葉がありましたけれども、むしろ、括弧つきですが、日本化と申しますか、我が国の主体的な取り組み、特にインテリジェンスも含めての不断の見直しというところがやはり重要であります。特に、対ロシア外交ということでいうと、やはり、難しいですけれども、硬軟織りまぜた対応が必要であります。
 トップダウンの国であります。ロシアにおきましては、やはり首脳会談での関係修復というところは欠かせないものになるというふうに思っております。APECなど、あらゆる機会をとらえて、我が国の一貫した抗議の姿勢はもっと発信をしていくべきであります。また、国際社会に訴えかけて、ともにロシアに自制を求めていくという枠組みはやはりつくっていかなければなりません。その上で、我が国は、四島の一括返還を求めるとともに、経済協力の見直しなど、日本が持つ外交カードを最大限使える形にしていくということ。日ごろからの北方領土とのビザなし交流の促進なども含めて、我が国の対応に重みと現実味をやはり与えていかなきゃいけないというふうに私自身は思っております。
 以上を踏まえて、要は、今後であります。今後の対応をどうしていくか。特に、APECという大事なところを迎えます。首脳会談等の取り組みも含めまして、総理、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○菅内閣総理大臣 ロシア、もともとはソ連と言われた時代に、六十五年前に、八月十五日の終戦の後に軍事的に占領されたところから始まっております。在住の日本人が全部日本に帰されて、そして、新たに別の地域からロシア人がそれらの島に強制的に近い形で移住をさせられたと聞いております。
 今、前原大臣からも背景についてもいろいろお話がありましたが、私も私なりに多少の調査をいたしてみました。そういう中で、ある時期までは、住んでいる人たちも、ソ連政府あるいはロシア政府の中央から見捨てられたような思いがあって、日本の支援に対して非常に意義を高く評価してくれておりました。やはり私が見るところ、橋本内閣のころ、エリツィン大統領でありましたけれども、そのころが、ある見方によれば、大きな変化をもたらす可能性があった時期ではないかという見方もあります。
 つまり、当時、エリツィン政権はスターリン批判的な姿勢をとっておりまして、スターリンがやったことをかなり自己批判いたしました。例えば、あのカチンの森のポーランドの事件なども、ソ連軍がやったことをかつてはナチのやったことと言っておりましたが、そういう意味で、スターリンのやった政策の見直しをやっていた時期に北方四島についての可能性が高まったという見方があったわけですが、その後、残念ながら、また機運がどんどん冷えて、今申し上げたような段階に至っております。
 一方で、資源的にいえば、ロシアは東に非常にウエートを強めておりまして、経済的な面でもこの地域を大変重視しております。
 長々と余り申し上げても、これ以上はやめますけれども、つまりは、全体的な絵の中で、歴史的にも、この六十年、百年の絵の中で今日どういう事態にあるかということをしっかり把握して、そしてこれからの大きな意味での戦略を立てていかなければなりません。
 例えば、中ロの関係においてもいろいろと指摘がありますけれども、しかし一方では、中ロの間でも経済的な問題で、例えばパイプラインを中国国内を通すのか通さないのか、いろいろな選択もあります。
 そうした資源外交の面で、一方では連携しながら、一方では我が国の要求をしっかりと伝えていく、こういったトータルな戦略が必要だと思っておりまして、ぜひ、今度のAPECのときにどういう形になるかということはありますけれども、単に一回の交渉や一回の会談でどうこうなるような問題でない深い問題でありますから、そうした六十五年にもわたる問題をしっかり踏まえて戦略を立てて、四島の返還のために全力を挙げたい、このように考えております。

○城井委員 ありがとうございます。
 今後、日ロ首脳会談も含めて、さまざまな機会をとらえながら、厳重な抗議とともに、ぜひ今後についての真摯な話し合いをお願いしたいというふうに思います。
 次に参ります。
 事業仕分けについて、総理並びに行政刷新担当大臣にお伺いをいたします。
 これまでの事業仕分けで、税金の無駄遣いのやり口やパターン、その発生原因、相当に世間に明らかにできたというふうに思っております。そうした中、第三弾の前半戦、十月の三十日に終了を見たところであります。
 特別会計を丸裸にして国民の皆さんの前に明らかにするというふうに言っておりました特別会計の仕分けの成果、行政刷新担当大臣、その成果についてまずお伺いしたいというふうに思います。

○蓮舫国務大臣 お答えいたします。
 先日行われた特別会計の仕分けでは、十八の会計、五十一の勘定すべてを対象にして、その保有している資産、中には埋蔵借金というものもございましたが、情報をすべて公開して行ってまいりました。
 成果についての御質問でございますが、まさに仕分け結果を受けて今改革に着手をしたところでございますので、現段階で成果がこれだとは明言はできないんですけれども、行政の透明化を飛躍的に高めた、これは大きな成果の一つだと思っています。
 これからの進め方なんですが、特別会計の中で行われている事業について仕分けを行って、その評価として、予算の圧縮であるとか見直しであるとか事業そのものの見直しと御評価をいただいたものに関しましては、行政刷新会議での審議を経て、各大臣のもとで再度御検討いただき、できる限り、可能な限り二十三年度予算に反映をしていくべく努力したい。制度仕分け、特別会計の仕分けそのものにつきましては改革の方向性をお示しいただきましたので、まさに特別会計法を担当する野田財務大臣、関係大臣と協議をして、検討をして改革を進めていく。
 いずれにしても、この国の限られた財源、税金が浪費されない、そういう国をつくるために努力していきたいと思っています。

○城井委員 ありがとうございます。
 行政の中身を見えるようにしていくというところでは今回の前半戦も大きく貢献をしているものというふうに思っておりますが、本番はまだまだ続くというふうに思っています。十一月の十五日からは後半戦の再仕分けの本番が参ります。あの仕分け結果はどうなったのかといった、仕分け結果の反映状況を知りたいという声は国民、有権者の中に大変多い、そのように感じています。その意味では、再仕分けは、事業仕分けをパフォーマンスで終わったとは言わせない大事な仕事であります。私自身も、仕分け人として国民の期待にこたえるべく、ともに頑張りたいというふうに思っております。
 この再仕分け、国民そして納税者の皆様にここを見てほしいという注目すべき点について、行政刷新担当大臣にお伺いしたいと思います。

○蓮舫国務大臣 お答えをいたします。
 これまで、事業仕分け並びに各府省にみずから行っていただいた行政事業レビュー、国丸ごと仕分けというものがあります。いろいろな角度から、税金の浪費があってはいけない、それを改めるための努力を行ってきているところなんですが、来年度の概算要求の中身を見ますと、これまで廃止と評価をされた事業が別事業としてゾンビ的に復活している疑いのあるもの、あるいは、本来削減すべき部分に、そこには手をつけずに、ほかの部分を削減して帳じりを全体的に合わせているといった疑いの例が指摘されております。
 行政刷新の私のもとで、こういうことがあってはならない、関係大臣と協議をして調整を行ってきているところでございますが、まずは、問題があると考えられるものにつきましては、各府省に対し確実な見直しを求めていく。その上で、なかなか見直しが進まない、問題があるのではないか、国民の皆様方の理解が得られない税金の使われ方という事業があるのであれば、再仕分けの対象として来週から行っていきたいと考えています。

○城井委員 ありがとうございます。
 総理を初め内閣の皆様には、これまでの行政刷新会議等を通じて洗い出してきた無駄遣いの見直し、ここはきっちりやり切るというところがやはり大きなポイントかと思います。ぜひこの点、お願いをさせていただき、次の質問に移りたいというふうに思います。
 続いて、幼保一体化についてお伺いしたいというふうに思います。
 現在、政府の幼保一体化ワーキングチームでの議論も始まりました。結論が固まっているかのような報道がありますが、私は、これは事実とは異なるというふうに思っています。また、小さなお子さんをお持ちの保護者の皆さんにもこの議論の現状はつぶさに伝わっているというふうには思っておりません。広報の強化も必要であります。
 幼保一体化は手段であるということ、子供第一なんだということ、幼稚園の幼児教育そして保育所の保育といった経験の積み重ねを子供たちのために生かす発展的な見直しにすべきということ、最低基準は国の責任でしっかり守っていくんだということなど、現場の声を十分に踏まえて、基本的な理念、哲学を固めつつあるというふうに伺っています。
 少子化担当大臣、現在の政府での取り組み状況、基本的な考え方をお伺いできるでしょうか。

○岡崎国務大臣 幼保一体化を含めました新たな次世代育成支援のための制度、財源、給付の包括的、一元的なシステムを構築するために、子ども・子育て新システムにつきまして、本年六月に少子化社会対策会議におきまして決定した子ども・子育て新システム基本制度案要綱に基づいて、現在、具体的な制度設計を検討中でございます。
 この幼保一体化につきましては、有識者、労使、地方団体、幼稚園・保育所団体、そして子育ての当事者の皆さんから構成されております幼保一体化ワーキングチームにおきまして議論を進めているところでございます。去る十一月一日に第二回目の会合を行ったところでございますが、その際には、委員の皆様たちが意見を持ち寄るための一つの素材といたしまして新しいイメージを指し示しまして、たくさんの御意見をいただいたところでございました。
 幼保一体化は、親の就労の状況にかかわらず、すべての子供たちに対して良質な教育あるいは保育環境を提供するものでございます。
 私は先日、東京にあります四谷のこども園を視察いたしました。この四年間、認定こども園として一年一年努力をしてきたその結果を、職員の皆様あるいは保護者の皆様から懇談をしていただきながら御意見をいただいて、すばらしい提言もいただいてまいりました。
 私は、これからもそうした丁寧な議論を積み重ねていくということ、議論を深めていくということにしっかり心を砕いてこのことを進めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。

○城井委員 ありがとうございます。
 今、検討状況をお話しいただきました。仕組みの具体的なつくり込みはこれからだというふうに認識をいたしております。ただ、過去何十年も、この件に関しては挑んでできなかった。それはなぜかといえば、役所の縄張りの争いがあったからではないか、そのようにも思っております。
 しかし、そのことをあげつらっても待機児童は解消されませんし、少子化で幼稚園の相当な数が統廃合を結局余儀なくされるという状況になります。財政危機の問題も考えますと、保育所も例外ではありません。一筋縄ではいきませんけれども、今だからこそ、幼保一体化の改革、道を切り開いていかなければなりません。
 総理、子育ての支援の今後の方向性、今幼保一体化のお話をいただきましたけれども、それを含めた子ども・子育て新システム、あるいはその裏表になりますワーク・ライフ・バランスの推進も含めて、総理御自身の口から、子育て支援に国は本気なんだということをぜひお示しいただきたいと思いますけれども、お願いできるでしょうか。

○菅内閣総理大臣 まず基本的に、我が国において、比較的高齢者に対するいろいろな福祉的なサービスは、まだまだ不十分な点もありますが、かなり充実をしておりますけれども、子供に対する点では、相対的にまだ水準がそう高くありません。また、私は団塊の世代の生まれでありますけれども、当時は一年間に大体二百万人の子供が誕生しておりましたが、今日はほぼ半分になっておりまして、このままいけば急激な、既に起きておりますが、少子高齢化、さらには人口の減少が起きてくることになります。
 そういったあらゆるところから考えて、やはり社会として子育てを支援するという基本的な考え方、まさにチルドレンファーストという考え方を戦略的にもとっていかなければならないときに、もう遅いぐらいでありますけれども、来ていると考えます。
 そういった意味で、今答弁もありましたけれども、子ども・子育て支援は内閣の最重要課題でありまして、ことしの一月に子ども・子育て支援の総合パッケージ、子ども・子育てビジョンを閣議決定いたしました。その中に、チルドレンファースト、社会全体の子育てという基本の考え方の中で、子ども手当といった現金給付、保育所の待機児童の解消、さらには幼保一体化を含めた新たな次世代育成支援のための包括的な一元的な制度の構築、さらにワーク・ライフ・バランスの実現など、バランスのとれた総合的な政策を講じることといたしております。
 その中で、待機児童に関しては、待機児童ゼロ特命チームも設置をし待機児童についての検討を始めたところでありまして、この子ども・子育てビジョンに基づいて、子供を安心して産み育てられる社会の構築、一方で、待機児童がなくなることによって働きたい女性により大きな可能性を広げるという、一体的に進めてまいりたい、このように考えております。

○城井委員 ありがとうございます。
 民主党の側でも、子ども・男女共同参画調査会におきまして、今幼保一体化の議論も進めております。そうした部分の提言も含めて、ぜひ現実味のある子育て支援の政策を一日も早く実現していきたいものであります。
 次に移らせていただきたいと思います。
 続いて、検察のあり方について法務大臣にお伺いしたいというふうに思います。
 検察の在り方検討会議が設置をされたと聞きました。メンバーも決定したというふうに聞いております。十一月の十日に第一回会議を持つというふうに伺っておりますけれども、問題は、いつまでに結論を得るのか、このことであるというふうに思っています。国民の関心は極めて高い。スピーディーな検討が求められております。法務大臣、いかがですか。

○柳田国務大臣 現段階でいつまでに提言を行うか、確たることを申し上げることは控えさせてもらいたいと思いますけれども、この検討会議においてはいろいろなことが検討される予定になっております。そういった意味では、できる限り頻繁に会議を重ねていただきたいし、十二月中には最高検の検証チームの結果も出るというふうに聞いていますので、その結果も踏まえて、できるだけスピード感を持って検討を進めていただきたいというふうに考えております。
 すぐできるものはすぐ結論も出るでしょうし、難しいものは時間がかかるかと思いますので、先ほど申しましたように、スピード感を持ってやるということだけはお答えできるかと思います。

○城井委員 ありがとうございます。
 控えたいということでありましたけれども、これは相当に急ぐべきだというふうに私自身は思っています。
 検察の問題点の洗い出しは、正直言って今に始まった話ではありません。これまでにも、民主党内においても相当に議論を尽くしてきている部分でもあります。そして、各地域におきましても、検察の仕事というのは日一日と進んでいくわけであります。その信頼を一日も早く取り戻していくために、一日も早い対応、取り組みというものをお願い申し上げて、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。
 最後に、政府の機密情報の管理について官房長官にお伺いしたいというふうに思います。
 先ほど、武正理事からも質問のありました尖閣のビデオの件であります。今手元に、本日の日経新聞の記事を持っております。見出しだけを読みますと、「尖閣ビデオ 海保、研修用に編集」などと出ております。総理、こういうことでいいんでしょうか。国土交通大臣、こういう記事がそもそもなぜ出るのか。真偽のほどは先ほどの答弁でありました。しかし、こういう記事が出てしまうきっかけを何かが与えているということは極めて問題だ、本当に大きな問題だというふうに私は受けとめているわけであります。
 特に、今回の問題で極めて難しいと思っておりますのは、いわゆるネット流出に対しての対策、特に先ほどの御答弁でも少し触れておりましたが、いわゆるデジタルデータの管理、この必要性、ここがなかなかに難しい。罰則だけでは踏みとどまらない。物理的な対策を講じていかねば防げない。ネットにつながないパソコンということになるんだろうけれども、そうした部分を含めて、これまでの情報流出を見ますと、例えば、流出した例の警察情報がありました。あのPDFのファイルは、そのデジタルデータの中身がかなり詳細になっているがために、文字でその中身を検索することすらできてしまうような状況であります。
 先ほど、ユーチューブを所管しているグーグルにその情報の提供請求をしたかという質問が武正理事からもありましたけれども、そうした部分も、今起こるというふうに想定された問題ではなくて、以前からこういうことはあるんじゃないか、そういうことを想定した日ごろからの部分とやりとりというところをやはり積み重ねておかねば、いざというときに問題が出てくるんじゃないか。政府の情報管理が怠慢じゃないかというふうに言われることが、我々はやはり心苦しいわけであります。
 そうした部分について、官房長官、このデジタルデータの管理、先ほどのお答えでは少し足りないというふうに思っております。ぜひ一歩、二歩と踏み込んだお答えをいただきたいと思うわけですが、お願いできるでしょうか。

○仙谷国務大臣 日々発展するといいましょうか、進歩するといいましょうか、ITの世界の情報技術というものが進んでいっているわけでございまして、当然、このシステムに対する政府情報の管理というものが考えられなければならないと私も思っております。
 平成十八年から、前々政権、前政権でも検討がなされてきたわけでありますが、追いついていない。我々も、政権を預からせていただいてから一年でありますが、そのことについての深刻かつ真剣な検討がやや弱かったのかな、こういうふうに今回の海保の問題あるいは警察の問題を含めて考えているところでございまして、前々、有識者会議等々もございましたので、この成果を総括といいましょうか検討した上で、早急に対応策が確定できるような検討委員会とでもいいましょうか、そういうものを早急に立ち上げたいと考えております。

○中井委員長 これにて近藤君、打越君、武正君、城井君の質疑は終了いたしました。

(後文略)

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