資料集国会質問議事録

スポーツ振興くじ (サッカーくじ、toto)について

第161回国会 衆議院文部科学委員会会議録第5号(平成16年12月01日)より抜粋

(前文略)

○斉藤委員長 城井崇君。

○城井委員 民主党の城井崇でございます。本日も元気いっぱいに質問をさせていただきたいと思っております。
 まず、大臣、冒頭一問目、お聞きしたいんですが、私、やはり人間、引き際、やめ際が肝心だというふうに思っています。女性とのおつき合い、引き際が肝心です。たばこをやめるときにもやめ際が肝心です。政治家としての仕事もそうではないかというふうに日々感じることが本当にたくさんあるわけですが、この引き際、やめ際が肝心という点について、まず大臣、お考えをお聞かせください。

○中山国務大臣 突然の御質問でございまして、どきっといたしましたが、これは政治家のみならず、出処進退ということは常に大事なことだ、こう考えております。特に政治家、また大臣になりますと、もうそのことをいつも考えながら、大臣になりましたら、いつやめるんだということもいつも念頭に置いて、やはり言動には十分留意してやっていかなければいかぬなということを考えておるところでございます。

○城井委員 ありがとうございます。
 そこまでのお気持ち、お覚悟をお持ちの大臣でしたらきっと御賛同いただけると思うんですが、その引き際、やめ際が大事だというのを考えるときに、本日、ぜひ一緒にお考えいただいて、御決断をいただきたいということがあります。
 それは、文部科学省としてこれまで行ってきた政策で失敗したもの、この失敗した政策について決意を持ってやめていただくということをぜひしていただきたいということについて、本日はお伺いしたいと思っております。
 具体的には、二〇〇一年から全国販売の始まっておりますスポーツ振興くじ、ちまたにいいますサッカーくじ、いわゆるtotoであります。このtoto、先日も新聞含めての報道がございました。売り上げが非常にひどい状況になっております。そのために、本来、そもそもの目的であるはずのスポーツ振興のための助成、地方に対しての助成が中心ですけれども、この助成がもう既に成り立たない状況になっています。私、そういう状況を見ますに、この際、このtoto事業を即刻やめたらどうかというふうに思わざるを得ません。
 以下、細かい点を申し上げながら、なぜやめなきゃいけないかというところをぜひ御賛同いただければと思っております。
 まず一点目。そもそも、このtoto、始める前、導入前の仕組みとその売り上げの試算というものが間違っていたというふうに思っています。まず、この導入前の年間の売り上げ試算の額、そしてその根拠という点についてお聞かせください。

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十年に、旧文部省が民間の調査機関に委託いたしまして、スポーツ振興投票の実施に関するアンケート調査というものを実施したわけでございます。
 これは、十九歳以上の二千名を対象として、サッカーやサッカーくじへの関心でございますとかサッカーくじの購入の希望などにつきまして行ったアンケート調査でございますけれども、その結果を踏まえまして、年間の需要額を一千六百億から二千二百億というふうに推計したというふうに承知しているところでございます。

○城井委員 あきれて物が言えなくなってきているんですが、一千六百億から二千二百億という非常に甘い需要の試算に基づいて始まったこのtotoでございますが、さて、ここで現状を伺いたいと思います。
 今期の販売が終了したと聞いています。今年度の売り上げの金額、そして全国販売の始まった初年度と比較した場合の割合について教えてください。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 スポーツ振興くじはJリーグの試合の結果を予想するものでありまして、Jリーグのシーズンというのは、御案内のように、三月から十一月にかけて実施しておるわけでございまして、今シーズンが先般終了したところであるわけでございます。
 今シーズンの売り上げは、約百五十六億というふうになっているところでございます。これは、最初の平成十三年のシーズンの売り上げと比較いたしますと、約四分の一となっているわけでございます。
 今、年度の売り上げということでございますと、これは四月から翌年三月までの売り上げとなるわけでございまして、若干異なってくると思いますけれども、いずれにいたしましても、シーズンごとの比較ということでお答えしたわけでございます。

○城井委員 余りにひどい数字で、皆さんもお気づきいただいたかと思いますが、試算に比べますと十分の一です。初年度の売り上げから見ても、もう既に四分の一近くまで落ち込んでいるということになります。
 しかし、私の調べたところによりますと、本来の今年度の売り上げ、見込み額の時点では二百六十億円という数字が出ておりました。結果的には、先ほどありましたように、過去最低の百五十六億円ということであります。試算から十分の一、余りにもひどい結果だというふうに思っています。実際にこれまでも、二〇〇一年に約六百億円、二〇〇二年に四百億円、二〇〇三年に約二百億円、そしてことし、二〇〇四年が約百五十六億円という結果になっております。
 今のこの現状の売上金では、正直言って、いわゆる当せん払戻金、そして運営のための経費、この二つを差し引きますと、収益がほとんど出ないということになります。売上金から配分される来年度のスポーツ振興のための助成金、計算上、二年連続で事実上ゼロということになります。今年度こそ、助成金の執行の残金あるいは経費の削減などで五億八千万円の助成金を確保したというふうに聞いております。しかし、来年はもっと厳しい状況になるということは子供でもわかると思うんですが、来年度の助成金の見込みについて教えてください。

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申しましたように、くじの助成金は、前年度のスポーツ振興くじの売り上げによる収益を財源としておるものです。来年度の助成金の額の基礎となる今年度の売り上げというものはまだ確定していないわけでございますけれども、これまでの売り上げ状況から判断いたしますと、先生が今御指摘のように、収益を確保するということが極めて厳しい状況にあると考えております。
 そういうことから、来年度の助成金の額につきましては、いわゆる時効金でございますとか事業の執行残というものによることとなると考えておるところでございます。

○城井委員 この助成金の金額の決定については、大枠については計算式が決まっているはずです。そういう意味では、売り上げが確定した時点で金額が見えるはずですよ。
 おまけに言えば、今、具体的な金額が出てこなかったのでもう一回お伺いしますが、その執行残というものも今の時点で見えている金額があるはずですから、具体的に答えてください。もう一回お願いします。

○素川政府参考人 時効金につきましては、約一億円程度と推計しております。
 昨年度の執行残、これは補助対象事業ができなかったということで執行残になるわけでございますけれども、これにつきましては、一億から二億程度というふうに推計しているところでございます。

○城井委員 今の数字で大臣もおわかりになったと思いますが、時効金一億円、執行残が一億から二億ということですから、来年度は最大でも三億しか助成金の原資というものがないということになります。これでは、全国のスポーツ団体、振興助成を待っている人たちの、これまでのお約束をしている内定額を含めて、とてもじゃないけれども期待にこたえることはできないというふうに私は考えます。そうした本来の目的である助成金が、今御指摘を申し上げましたように、非常に惨たんたる状況にあります。そんな中で、この運営元である独立行政法人日本スポーツ振興センターが取っている控除率が五三%、払戻金が当面四七%となっているからであります。
 この日本スポーツ振興センター、売り上げがこれだけ低迷をしているのに、だれも責任をとっていない。職員が一人でも身銭を切って、営業努力を一人でもしたでしょうか。(発言する者あり)そうですか。建物が立派だという声もあります。文部官僚、役員、職員、給料が一人でも減りましたか。天下りの原資になっているという声も、結果としてなっているという声も、もう既にファンから上がっているわけですよ。
 そもそも、今、いわゆる理事を初めとする役員そして職員というのは何人いるんですか。その中で天下りしている文部官僚というのは何人いるのか、その人数についてお示しください。

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 役職員数でございますけれども、役員が、理事長、理事、監事、合わせまして七名でございます。職員数でございますけれども、四百名ということでございます。そのうち文部科学省出身の役員数でございますけれども、これは三名ということでございます。

○城井委員 では、その役員の給与金額は幾らですか。

○素川政府参考人 お答え申します。
 この役員等の給与金額につきましては、独立行政法人の役員の報酬、職員の給与水準の公表についてというガイドラインにより公表されているわけでございますけれども、それによりますと、理事長につきましては一千九百万円、理事、これは四人分の合計でございますけれども、約六千四百万円、それから監事、これは常勤でございますけれども、一千四百六十万円ということでございます。もう一人は非常勤でございますので、これは謝金になっているところでございます。

○城井委員 売り上げがあれだけひどい状況になって助成金がゼロなのに、理事長の給料は一千九百万ですか。国民が聞いたら怒りますよ。
 ちなみに聞きますが、職員の平均収入は幾らですか。

○素川政府参考人 常勤職員の平均給与、これは年齢で申しますと四十四・九歳ということでございますけれども、七百五十四万八千円ということでございます。

○城井委員 言うまでもありませんが、助成金ゼロの状況で四百名の職員の方の平均が七百五十四万八千円ですか。国民がどういう状況に今この不景気の中で置かれているか、よく御存じのはずですよね。
 ちなみに、そういったものを含めまして、同センターの一番広い意味で、最広義での人件費の総額は幾らですか。

○素川政府参考人 最広義の人件費、これは、基本給、諸手当等々すべて含んだものでございますけれども、四十七億九千二百万円ということでございます。

○城井委員 ちょっとあきれて物が言えない状況が続いておるのは皆さんも御承知のとおりと思いますが、人件費四十八億ですか。これだと、ほとんど、スポーツ振興というよりは職員振興と申しますか、天下り振興と言わざるを得ないんじゃないですかね。
 これだけ、どんなに売り上げが減っても、自分たちの給料とかだけ確保した上で問題を解決しようとしているから、改善策なんか出ないんですよ。民間を見習ってください。スポーツ振興に使われている額はほとんどゼロで、今、もしこれが民間企業だったらどうなりますか。売り上げ四分の一ですよ。倒産じゃないですか、倒産。
 このくじの売り上げ低迷の責任はだれにあるんですか、大臣。だれか一人でも責任とりましたか。お答えください。

○中山国務大臣 今いろいろとお話を聞きまして、本当に大変だなと思います。(発言する者あり)いや、これはサッカーくじだけじゃなくて、競輪、競馬、地方でやっているものも全体そうでございまして、もうやめようというふうなところもある中でございます。
 また、サッカーにつきましても、サッカー熱は盛んになる一方でございまして、なぜサッカーくじがこんなふうになっているんだろうと。私も、サッカーくじ、疑問に思いながらも、しかしスポーツ振興のためということで、やむを得ないのかなと思って賛成した一人でございますが、今いろいろと実態をお聞きしまして、これはえらいことになっているな、こう思うわけでございます。そういう意味で、いろいろと議連の方でもどうしたらいいか本当に深刻に考えていますし、中央教育審議会の分科会でもいろいろと改善策等を考えているようでございます。
 確かに、こういったシステムをやっていく上にはある基礎的な人数は必要なのでございまして、減らせないのかなと思いますし、減らせる部分もあるんだろうと思います。しかし、何はともあれ、売り上げをふやすということをまず考えなきゃいけないんじゃないか、やはり当面は前向きに考えていくべきかな、そんなことを考えておるわけでございまして、何とか売り上げが伸びていくような方策を、ひとつ皆さんで知恵を出して考えていかなければいかぬ、私も一生懸命考えていきたい、このように考えております。

○城井委員 大臣、大変だなとかやむを得ないとか言っている場合じゃないぐらいひどいというのは、後からもう少し御指摘申し上げますので、ぜひお酌み取りいただければと思うんです。議連とか中教審の議論を待っていてはおさまらないぐらいひどい状況になっています。どれぐらいひどいかというのをこれからもう少し御指摘しますが、先ほど言った助成金が既に深刻な影響が出ているということを少し申し上げたいと思っています。
 実際、都道府県の体育協会の多くで今実施をされているスポーツ事業への助成金、これはストップをしています。あるいは、オリンピックのメダル候補、先日のアテネ・オリンピックであれだけ活躍をした人たちですけれども、そういった人たちを含めたJOCの強化指定選手に支給される助成金も、支給停止あるいは支給対象者を絞るという動きがもう既に出てきているわけです。totoを導入したために逆に運営が苦しくなったという地方の体育協会の声が非常にたくさんたくさん我々のところにも聞こえてくるわけですよ。
 地方の助成先が今どれぐらい干上がってきているか、厳しい状況にあるかということをどれぐらい認識されているのかというその認識についてお聞かせください。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 スポーツ振興くじの売り上げ減少に伴う助成金額の減少によりまして、地方のスポーツ関係団体におきましては、例えば事業の重点化とか他の事業、補助金の活用を行わざるを得ないとか、一部事業を縮小するとかというようなことを行わざるを得ないというふうになっている状況は承知いたしております。
 私どもといたしましては、スポーツ振興くじによる助成が不安定になり、このような団体にこれ以上の影響を与えることがないように、くじの売り上げ増に努力してまいらなければいけないというふうに考えておるところでございます。

○城井委員 理事長が一千九百万もらったり、職員が平均で七百五十万もらっているうちは、努力をしているというふうには私は言えないと思うわけです。
 この地方に対する助成、選考過程もちょっと不透明になってきているというふうに思っています。実際、本来ならば、どれぐらい大切か、その重要度で判断をすべき助成事業、これに、驚くなかれ、売り上げ貢献度、どれぐらいその売り上げに貢献をしたかという売り上げ貢献度という尺度を加える計画があるというふうに聞きました。これは本当ですか。

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 助成の選考に関しましては、日本スポーツ振興センターに置かれました外部有識者から成る助成審査委員会の意見を踏まえて、事業の継続性とか緊急性、重要性等を勘案して助成を行っているところでございます。
 先生今御指摘のありました、地域における売り上げ貢献度ということでございますけれども、実は、昨年度決定されました審査委員会におきまして、地域のスポーツクラブの活動助成に当たりまして、人口千人当たりのくじの売り上げ状況、これは都道府県別でございますけれども、それを若干その指標といたしまして加味したということでございまして、今年度につきましてどのような指標を設けるかということはまだ決まっておらないわけでございますけれども、計画があるということではなくて、昨年度の指標として一部使ったということでございます。

○城井委員 ということは、昨年行われたということで申しますと、これだけある意味で割り当てをされて、売り上げに貢献をするために一生懸命頑張っても、助成がほとんど出ないですとかゼロですとかという状況になっているということですよね。そういうことだったら、最初から、そのスポーツ団体にしても、自主的な事業等で頑張ろうというふうにするわけですけれども、そもそも、それが成り立たないから公的な助成があったはずで、ある意味でそういう弱みにつけ込んで割り当てをするようなやり方というのはいかがかというふうに思いますが、この点についてどうですか。

○素川政府参考人 売り上げ貢献度という尺度、これは全体の一割程度のシェアといいますか、そういう評価になっているようでございますけれども、これは、当該補助金を受ける団体がどれだけ購入したかということではなくて、その地域全体でどのような売り上げの実績があったかということをその指標にしているということでございます。
 そういう意味におきまして、地域のスポーツ振興について、ある程度このようなことを反映させるということについては特に問題なことではないんじゃないかというふうに考えております。

○城井委員 地域全体に割り当てるということは、その後に何が起こるかというところまで想像がつかないんですか。それぞれノルマになるんでしょう。ノルマを課してという形になるんじゃないんですか。そういう、ある意味で逃げ口上みたいなことを言われても困るわけであります。この余りにもひどい割り当ての分に加えて、これは、はっきり言って、仕組み的にも最初から不備がありました。その点を御指摘申し上げたいと思います。
 このくじの導入に関して、システム構築あるいは機器の設置というものについて三百五十億円の初期投資が必要でございました。これを毎年の売り上げの中から七十億円ずつ五年間で返済をする計画がある、立てていたというふうに聞いています。しかし、今年度は、この七十億円を、結局、売り上げが上がらなかったということで捻出することができない、来年度以降に繰り越すということになったと聞いています。今後二年間でこれを上乗せ返済する予定だということのために、来年度以降の経費負担というものは一層苦しくなるわけです。これらの点についてはどのようにお考えになっているわけですか。

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、平成十三年から始まりました第一期の契約におきまして、受託金融機関におきまして初期投資経費として約三百五十億を支払ったということでございまして、これは日本スポーツ振興センターにおいて償還していかなきゃいけないということになっているわけでございます。これにつきまして、売り上げの減少によりまして償還が順調に進んでいないという状況がございます。売り上げの減少によりまして償還をめぐる状況というのはより厳しくなっているということは、事実でございます。
 私どもといたしましては、日本スポーツ振興センターと連携いたしまして、各種のキャンペーン等を通じてこのくじに関する売り上げの増加に努めるということの中で償還計画を考えていく、また、所要経費につきましてもその節減を図ることで未償還金を償還するということができるようにしていきたいものと考えているところでございます。

○城井委員 実際、独立行政法人に対する管理監督責任も、一義的には文部科学省にあるわけです。もちろん、その長は大臣です。大臣、今も御説明いただきましたように、いわゆる果実である助成金が生まれないんですよ。その助成金を生まない上に、先ほど明らかになりましたように、初期投資のローンも払えないわけです。会社だったら倒産です。これを破綻と言わずして何と呼ぶんでしょうか。大臣、お考えをお聞かせください。

○中山国務大臣 まさに、そういう意味では危機的な状況にあるというふうには認識するわけでございます。
 しかし、長年にわたりましてこのサッカーくじの設立に当たってこられたたくさんの方々の思いもあるわけですけれども、それがこういう形になっている。やはり、システムに欠陥があるのか、そういったことも含めて、どうしたらいいのかということは本当に皆さんで……

(発言する者あり)

○斉藤委員長 不規則発言はお控えください。

○中山国務大臣 ということで、今不規則発言がありましたけれども、いろんな売り方もありますし、いろんなことをまた考えられるんじゃないかと思うわけでございまして、まさに今そういった状況にあるということを考えながら、しかし、では、これをやめてもいいのかというふうな逆の発想からどうしたらいいんだということを考え、先ほど申し上げましたように、今サッカーは非常に盛んになっていましてサポーターもふえているわけでございますから、サッカーくじのサポーターをいかにふやすかということを真剣に考えなきゃいかぬ、このように考えているところでございます。

○城井委員 大臣、やめてよいのかというお答えで申しますと、やめてよいと思います。スポーツ振興の助成、支え方もほかに方法がありますから、我々から後ほど御提案しますので、ぜひそこはおやめいただくという方向でお考えいただければと思います。
 というのは、今の売り上げを伸ばそう伸ばそうとする場合にも、結局、今肝心の顧客の中でのtotoに対するなぜ買わないかという理由のところ、先日もセンターの方で調査を行われたということを聞いておりますが、この部分がもうかなり致命的なレベルにまで達しているというところがあります。
 その理由なんですが、少し細かく申しますと、私の分析でも大きくくくって十個ほどあります。その点、何点かお伝え申し上げながら、ぜひおやめいただくということを御決断いただきたいと思うんです。
 まず、一番目の理由としては、このくじは正直言って当たりません。当たらないから、その結果、当たらないを繰り返すことで当たる気がしないに至っているわけです。
 実際、totoは今百六十万通りのくじの組み合わせがあります。二十六回実施で七回しか一等が出ていません。新しくできたtotoGOALというゴール数を当てるものも百六万通り。これは宝くじと同じレベルなんですが、昨年の三十八回中、全部的中の一等が結局出なかったという一等当せんなしが十二回もあるんですね。全然当たらないんです。
 しかも、一般の方々の御意見を聞きますと、今Jリーグのチームは二十六ありまして、チームが多過ぎて予想ができない、しかもtotoのくじの当て方がよくわからない、というか存在すら知らないというような状況になるわけであります。totoGOALに至っては、引き分けの導入で予想が非常に難しくなったのに文部科学省はこれで全然策を講じていませんし、当たりやすいと宣伝している割にはもっと難しい予想になっているというところがあるわけですが、当たらないというところに対してまず根本的な問題があると思うんですが、この点、どうお考えでしょうか。

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 このスポーツ振興くじにつきましては、制度設計の段階におきまして宝くじ並みにするということで、百万通りといいますか、一等が百万分の一であるということが、これは射幸心をいたずらにあおらないという観点からあえて一等の確率というものを百万通り以上にするということが議論されたわけでございます。そういうようなことで、今、totoにつきましてもtotoGOALにつきましても、百五万通りもしくは百六十万通りということになっているわけでございます。
 いずれにいたしましても、日本スポーツ振興センターが行ったアンケート調査におきましては、そもそも当たらないということについて、購入頻度とか購入金額が下がった理由の高い位置にあるわけでございます。そういうことから、現在、私どもの方ではより当たりやすいくじについて検討してまいりたいと考えているところでございます。

○城井委員 先ほど射幸心をあおらないという言葉がありましたが、当せんを目指す心というのはまさに射幸心じゃないかというふうに思うわけで、既に文部科学省自身も自己矛盾に陥っているというところを指摘させていただきたいと思います。
 この当たらないという部分に加えまして、もう一つ致命的なところがあります。それは……(発言する者あり)ぜひお聞きください。配当が余りに安過ぎるというのを二番目に挙げさせていただきたいと思います。
 実際に買っているファンというのは、当せん金を目当てに買っているというのは間違いないわけですし、外れてもスポーツ振興に役立てればいいというふうに考えたわけです。でも、先ほど御指摘申し上げましたように、当たりにくい上に、当せん金は安い、助成金にもならないとなれば、だれも買わなくなるのはもう言わずもがなだというふうに思うわけであります。
 全体的に見ると、一等当せん金が大体数百万円から二千万円前後となるケースが多いわけですけれども、この金額は、高額だけれども人生が変わるほどではないという微妙な金額だというふうに思います。それだけで集客と売り上げが望めるという域には達していないというふうに思うわけですが、この配当が余りにも安過ぎるという点について、いかがお考えでしょうか。

○素川政府参考人 配当につきましては、全体の配当の枠と実際に当たった数の割り算でございますので、必ずしも理論値でいくわけではございませんが、先生御指摘のように、特に平成十三年度、最初のころには延長Vゴール方式をとっていたということで、当たる確率というのが非常に高かったというようなことで、これにつきましては平成十四年度から、Vゴール方式ではなくて、その他ということで、引き分けを含むその他の分類を統一した結果、低額の当せん金が少しは少なくなったということでございます。
 いずれにいたしましても、最高当せん金額ということにつきましては、平成十六年度より従来の一億円から加算金がある場合には二億円としたということでございますけれども、この配当金につきましてくじを買う方の一つのインセンティブになっているということは十分認識しておりますので、この点につきましても十分配慮してまいりたいと考えております。

○城井委員 今、当せん金の上限について触れられましたが、実際にもう一回、売り上げのグラフ一覧表をぜひ後ほど見ていただきたいと思うんですが、当せん金の上限を引き上げた後にも、残念ながら売り上げ低迷に変化は起こっておりません。問題は上限ではないというところもあわせて御指摘をしたいと思いますので、後ほど御検討ください。
 この理由の三つ目ですが、購入が非常に面倒くさいという声が大きく上がっています。実際、十三試合も予想させて用紙に書き込む労力をかけさせている割には宝くじと同じぐらいに当たる確率が低いというのは先ほど御説明があったとおりです。これだけ難しいと、素人さんはまず近づきません。
 おまけに、実際にくじを売る売り場が非常に場所が限られています。余りに顧客の利便性に配慮がないというふうに思っています。実際に販売を行っているのが、金券ショップ、宝くじ売り場、携帯電話ショップ、ガソリンスタンド、あと最近、会員さんの限定でコンビニが始まりましたけれども、その多くが都市圏の繁華街に偏在をしているわけであります。地方によっては、車で数十キロ行ったガソリンスタンドに行かなきゃならないわけですよ。その上で、ガソリンも入れなくてサッカーくじだけ買いに来たのかと店員に文句を言われたという例すら起こって、顧客に嫌な思いをさせるというのはどういうことなのかというふうな話すら聞こえてくるわけです。
 売り場が限られているのに加えて、実際に売り場たる販売店、現在、収支が見合っていないという深刻な問題があります。この販売店の支出が、今、端末リース料と通信料を加えた支出が収入の売上手数料よりも圧倒的に多いというふうに聞いています。この支出としての端末の貸し出しの総数と、その一台当たりの端末リース料それから一台当たりの通信費、あわせて販売店一店舗当たりの売上手数料、どうなっているのかお聞かせください。

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 販売店の端末の貸出総数、これは本年の九月現在で約四千八百台でございます。一台当たりのリース料、これは専用端末で年間十二万円、そして通信費につきましては年額が八万円ということになっているわけでございます。そして、販売店一店舗当たりの売上手数料は売上額の五%というふうになっているところでございます。

○城井委員 今、売上手数料が五%というのがありましたけれども、私ちょっと、これは何%出てくるかわからなかったので、いろいろ計算をしてきました。
 そうすると、開始当初の売り上げですと、三%でとんとん、これはぎりぎりもうけなしということになります。でも、今年度、〇四年度の売上水準と店舗数から見ますと、どう見積もっても、二五%以上の売上手数料がなければ最低限の経費も出ません。ある意味で、それだけ販売店にしわ寄せをしているという状況があります。
 便乗する効果や本業の売り上げが伸びるどころか、むしろ迷惑をしているのではないかというふうに思うわけですが、採算がとれている販売店というのは実際にあるのか、あれば幾つか、それは全体の販売店数の何%になるのかというところをお聞かせください。

○素川政府参考人 お答え申し上げます。
 販売店につきまして、それぞれ採算がとれているかどうかということを全体の調査はしておりませんけれども、一定の推計によりましてお答え申し上げたいと思います。
 今お話しいたしました、リース料と通信料を合わせますと年額二十万円ということでございますので、売上額の五%ということが手数料といたしますと、そこから導き出せる計算式といたしまして、年間約四百万円の売り上げが一種の収益の分岐点というふうに推計される、想定されるのではないかというふうに考えられます。
 そういうことで、年間四百万円以上の売り上げの店舗ということを見てみますと、約四分の一が黒字の状況ということでございます。

○城井委員 四分の三が赤字ということだと思いますが、いかにひどいかというのを、大臣、おわかりいただいたかと思います。
 このように、今幾つか、十個のうちで挙げた状況の中でも相当にひどい状況にある、それはあくまで仕組みの不備だけではなく、運営の面でもかなりひどい状況になっているというのをぜひぜひ御理解いただきたいというふうに思っています。
 もう一点お聞きしますと――もう余り時間がないのでこれで締めますが、というある意味で、指摘して余りある問題点を踏まえて、大臣、やはりこれはやめることを含めて真剣に御検討いただくということが、私は先ほどの御答弁からしてもかなり確信を持って必要だというふうに思うわけですが、大臣、御見解をお聞かせください。

○中山国務大臣 今、城井委員からるる御説明いただきまして、先ほども言いましたように、危機的な状況にあるなということも認識しましたが、今、いろいろと御説明いただきましたように、この仕組みだとか運営方法だとか、あるいはくじの多様化とか販売方法だとか、いろいろなことを工夫していけば、むしろこれはこれから明るい展望が開けるなと逆に激励をいただいたような感じがあるわけでございます。
 先ほども申し上げましたけれども、これだけサッカー熱が盛んになってきているわけでございます。サッカーを楽しみながら、自分がサッカーくじを買うことがスポーツ振興にもつながっているんだと言えば、そのことがわかっていただければ、もっともっとこのサッカーくじを買う若い人たちもふえてくるのじゃないかなとむしろ激励されたような思いでございまして、もう一回こういうことについては前向きに検討させていただきたいな、このように考えておるところでございます。

○城井委員 時間がなくなりましたので最後にしますが、大臣、先ほど言った、こういう部分は工夫できるのではないかと大臣がお考えの部分、実はこの導入の前の国会審議で、それをやってはならぬということで国会審議の中でわざわざ見送りをして、規制をかけた部分でございます。そういう意味では、今、文部科学省は国会審議に付することなく政省令の改正で改革までいこうというふうにしておると聞いておりますけれども、ある意味で、事業の改廃を含めてかなり根本的な議論を国会でやってからでなければ、小手先を繰り返すと、第二、第三の例えばグリーンピアのようなああいう形になってしまうのではないかというふうなところを強く強く御指摘申し上げたいと思っています。
 こういう課題の責任は、一義的には文部大臣、そして法案を提案して審議してきたこの文部科学委員会にもあるということを最後に御指摘申し上げて、早急に私のやめてほしいという考えを検討していただくことを要請して、質問を終わります。ありがとうございました。

(後文略)

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