義務教育の改革案 (河村私案)、 ITER (国際熱核融合実験炉)計画について
第161回国会 衆議院文部科学委員会会議録第2号(平成16年10月27日)より抜粋(前文略)
○斉藤委員長 城井崇君。
○城井委員 民主党の城井崇でございます。
まずは、私からも、一連の台風そして地震などの被害に遭われた皆様に対しまして、お悔やみとお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。
さて、本日、私から冒頭お伺いいたしたいのは、ここ最近議論伯仲、そして先ほども出ておりました義務教育の問題についてでございます。
ちょうど国会が開かれておりませんでしたことしの八月の十日に、河村前文部科学大臣より「義務教育の改革案」、いわゆる河村私案というものがペーパーとして発表されました。この改革案についてまず大臣にお伺いをさせていただきます。
前大臣が発表されたこの案に示された各種アイデアを含めまして、現在の大臣も引き継がれるということなんでしょうか。文部科学省の今後の基本的なスタンスと考えてよいのかどうか、大臣からお答えをちょうだいしたいと思います。
○中山国務大臣 そのように考えております。
○城井委員 ありがとうございます。
この改革案、実際に出てきたときに内容を含めまして余りにも唐突だったということがありまして、聞き及びますと、文部科学省の中でも、一体このアイデアはどこでつくられたんだろうかということで、つくられた部署すらわからないというような声もあるわけでございますけれども、引き継がれてはおるということでございますので、それを前提にもう一つ質問させていただきたいと思っております。
具体的な内容についてお伺いしたいと思っておるわけですが、まず、この案にございます一番目の「義務教育制度の弾力化」、そして四番目にございます「国による義務教育保障機能の明確化」という二つの点でございますけれども、一方である意味でこれまでの枠組みを崩していくという、そのもう一方で機能を明確にしていくということでございますが、実際これは矛盾をしないでしょうか。どのように具体的に両立をしていくのかという点について、大臣、お願いします。
○中山国務大臣 河村プランというのが唐突に出てきた感があるかもしれませんが、実は、御承知のように、中央教育審議会におきましても、教育改革全般について議論しているわけでございまして、その中で義務教育のあり方ということについて検討していくべきだということからこの河村プランというのが出てきた、私はこのように考えているわけでございます。
それで、この義務教育の枠組みの問題をどう考えるかという話だと思うんですけれども、これにつきましては、やはり子供の発達段階というのが大分変わって速くなってきていることもありまして、義務教育のいわゆる到達目標をどうするかということ、それの明確化ということと、九年間の義務教育の中でどういった形でカリキュラムを組んでいくかというようなことについてもう少し弾力的に考えていこう、こういうふうな話だというふうに私は理解しているわけでございまして、その中で義務教育の国庫負担制度についてもしっかりと保障していかなければいかぬ、そういうような絡みで検討されている、私はこのように考えております。
○城井委員 今、義務教育費国庫負担についても触れられましたけれども、この改革案にもその表現がございます。「義務教育費国庫負担制度については、義務教育の根幹を支える財源保障としての役割を明確にし、地方の自由度を更に高める観点から改革。」とあるわけでございますけれども、ある意味で実情を踏まえながら弾力化をしていくということでございましたが、今実際に例の三位一体改革の議論を含めまして行われているところを見ますと、現在提起されている全国知事会の皆さんからの提案に対して文部科学大臣として対案を出しようがないというコメントをされたということを伺っておりますし、また先日の文部科学省の説明で見ますと、三位一体改革が進めば、実際に、この義務教育関連ということで申しますと、アイヌ対策とそれから僻地対策の予算としての十億円分しか文部科学省の手元には残らないという説明が私ども民主党にもございました。
そういった意味で申しますと、先ほどの説明を含めました、今大臣がお話をされているいわゆる教育論の観点からの部分がかなり現実味を帯びたものでないと、そういった議論に対して対抗していくのは厳しいのではないかというふうに感じるわけであります。
それにあわせまして、ここが文部科学省として非常に弱い点だと私が思っておりますのは、その教育論のところに余りにこだわりを持ち過ぎる余り、今議論のまないたの上にのっている財政論の部分、そして分権論の部分といった観点について、文部科学省として、いわゆる文部科学省内の予算の中では対案が出しようがないにしても、そのほかのところを含めてきちんと対案を示していくということがなければ、これまでも再三おっしゃられております義務教育に対する国の責任というものを果たせないのではないかというふうに思っています。
私ども民主党でも、いわゆる文部科学省内の予算だけではなく、そのほかも含めて、今回の教育論を実現していくために必要な予算のあり方というものを具体的にも提示してまいりたいと思っておりますので、この点についてはまた次の機会に譲らせていただきたいというふうに思っております。
では、次の質問に移らせていただきます。
次に伺いたいのは、ITER計画、いわゆる国際熱核融合実験炉の計画についてでございます。
このITERについてですけれども、大臣所信にもございました、日本への誘致に向けて引き続き最大限の努力ということでございました。ただ、その問題を見ますと、今いわゆる建設地を決める政府間交渉が膠着状態にあるというふうに聞き及んでおります。
政府はこれまでに、ITER計画を青森県六ケ所村に建設候補地として国内誘致を閣議決定して、その後に交渉が続いているということを承知しているわけでございますが、実際に、日本の国内でこの問題について今でも、ITER計画はエネルギー政策としてはリスクが大き過ぎるのではないか、研究としてもお金がかかり過ぎるという声もございます。
私から見ますと、このITER計画、ある意味で、においはするけれどもいつまでたっても出てこないウナギのかば焼きみたいなところがあるのではないかというふうに思っています。ある方が言いますと、実はたれすらないんじゃないのといううわさもあるわけですが、もう少し細かく言うと、この今のITER計画の取り組み、私から見ますと、余りにも危険でむだが多いのに、政府サイドが楽観的過ぎるのではないかということ、そして、非常に大きな額の税金が投入される割には、その理由が国民にきちんと説明されているか、足りない、そんなふうに思っています。そして、誘致活動を進めていくに当たっての外交戦術というものが余りにも不器用だ。こういった点からいうと、実は、今のこの計画の状況はかなり末期症状にあるのではないかというふうに思っています。
今後、誘致活動を一層強化するにしても、あるいは別の選択肢を考えていくにしても、いま一度このITERの誘致について国民の理解をきっちりと深めていくということが必要であるのとともに、この計画自体の再評価というものをすべきときだというふうに考えております。この点について、まず大臣、お願いします。
〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
○中山国務大臣 今お話がありましたように、ITER計画というのは、世界で初めて本格的な核融合反応を実現するもので、人類にとって究極のエネルギーである核融合に向けて重要なステップになるもの、このように考えておるところでございまして、今お話がありましたように、本当に大丈夫か、そういった懸念もあるわけでございますけれども、私どもとしては、まだ基礎的な段階にあるということで、その実現までにはITER計画を含めて着実な研究開発が必要である、このような認識を持っているところでございます。
そして、今後、ITER計画と並行して核融合の材料の研究等を進めまして、三十年程度で核融合発電の実用化にめどがつけられるのじゃないか、このような見方をしておるところでございます。
こういった意見を踏まえまして、今現在、六極でできるだけ早くITER計画の実現を目指して我が国としても努力しているわけでございますが、外交交渉がちょっと下手ではないか、こういうような御指摘もあったわけでございますが、御承知のように、先般我が国から新しい提案を出したところでございまして、それらに基づきまして今交渉が進められている、このように承知をしておるところでございます。
○城井委員 今の御説明ではまだ国民は納得できないのではないかというふうに思っています。もう少し踏み込んだ点を大臣にお伺いしていきたいと思っております。
まず、先ほどの非常に大きな金額がかかってしまうという巨額の負担の問題についてでございますけれども、現在、ITER計画、総事業規模が一兆三千億円と言われています。非常に大きなお金だと思っています。これをもし日本に誘致した場合に日本が負担するべきお金というものは、先ほどの三十年間ということになりますと、総額で七千億円に上るというふうに言われています。
今までの科学技術関係の予算を見ますと、あのニュートリノ研究のスーパーカミオカンデ、初期の段階から含めても百十億円かかったというふうに言われています。巨大電波望遠鏡をつくるというあのALMA計画についても、三百億円というお金。正直言って、このITER計画の七千億円と比べると比較になりません。それぐらい大きなお金だ、膨大な出費だというふうに思っています。
さらに、ただでさえ少ない科学技術の予算であるのに、今回ITER計画を本当に進めてしまうと、その大部分をとられてしまうのではないかというふうに思うわけです。しかし、よく見てみますと、ほかの国につくれば、我が国の負担というものは約四分の一で済むということでございます。
ただ、そういう大きな負担を背負ってでも進めた場合に、もし三十年後に成功すれば、その後の原型炉ですとかあるいは実証炉を経て、本当に実現をすれば、将来の核融合発電の市場規模は大体七百兆円ということを原子力研究所の方が試算をされているのを聞きましたし、周辺技術のすそ野の広さですとか、あるいは日本の科学技術自体への信頼というものも高まるということならば、この投資に見合う成果という期待をおっしゃる方もおられるかもしれません。
しかし、先ほどの三十年ということをおっしゃる前に、それまでも、特に、自民党においてこのITERの推進議連の現在は顧問をされているかと思いますけれども、加藤紘一議員、非常に積極的に進められてきたと聞いておりますが、この方をして言わしめても、約二十五年前、核融合は三十年後に実用化できるというふうに言っているわけでございますが、先ほど大臣がおっしゃったように、これから三十年またかかってしまうというのはある意味逃げ水ではないかということをこの自民党の加藤議員も指摘をされています。
その時間自体が、ある意味でいつまでたっても出てこないウナギのかば焼きという状況が続いているというのとともに、技術自体についても、ノーベル賞を受け取られた小柴東大名誉教授によりますと、ITERで大量に出る高速中性子への対応ですとか、あるいはそれに伴って大量に出る放射性廃棄物の処理というものをどうするかということを考えると、はっきり言って税金のむだ遣いではないかという指摘すらあるわけでございます。
我が国の技術レベル、先ほど基礎的な段階という言葉もございましたけれども、ある意味で、実態に見合っていないのならば、この大きな投資に踏み切るに当たっての現在の我々が置かれている状況というのはかなり現実味が乏しいのではないかと考えるわけですが、この点を踏まえても、大臣は本当に三十年後に核融合の実用炉が実現するというふうにお考えなんでしょうか。お願いします。
〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
○中山国務大臣 今御指摘ありましたように、総経費七千億円というふうなことも言われているわけでございまして、もし日本に誘致された場合にはホスト国としてその相当部分を負担するということになるわけでございますが、具体的な負担額については、現在、六カ国でその建設地を含めて協議中であるというふうに承知しているわけでございます。
そこで、今委員が、果たして三十年後にちゃんとしたものができるのかという御質問でございます。
これにつきましては、私も確たることを言えるわけじゃないんですが、先ほど言いましたように、やはり今の我々が使っているエネルギーというのは有限でございまして、次のエネルギー源を何に求めるか、これは人類共通の課題だと私は思うわけでございます。この核融合というものが究極のエネルギー源であるというふうに今言われているわけでございまして、それについて日本が責任を持って、もちろんほかの国と一緒になりながらですけれども、先頭を切って頑張っていくということは非常に大事なことではないか、私はこのように考えておりまして、今いろいろな国に働きかけて、ぜひとも日本に誘致できるようにということで頑張っているところでございます。
○城井委員 お気持ちと頑張りは非常によくわかるわけですが、国民に対して説明をするときに、やはりお金の面で、予算の面でリアリティーがなければ、結局それは単なるかけ声でしかなく、そしてむだ遣いにしかならないというふうに思うわけであります。
そういった意味で、もう少し今のいわゆる予算の面について、あと二点ほどお伺いをしたいと思っております。
まず、ことしの六月の六極次官級会合で、我が国がそれまでの負担金をさらに一〇%上積みをするという方針を提示しています。競っているEU側も同額を提示したために膠着状態に陥っているわけでございますが、今後も日本として、状況によってはこの日本側の負担金というものをさらに上積みをする用意があるのかどうか。この点、大臣、お願いします。
○中山国務大臣 今協議中でございまして、今おっしゃいましたように、日本が新しい提案をしているところでございますが、できるだけ早期に関係六極の合意によりまして我が国への誘致が実現するように最大限努力していくつもりでございますが、その際、これ以上負担をふやすということを考えるのではなくて、ホスト国と非ホスト国の役割分担などについて知恵を出し合いまして、欧州を初め関係国と粘り強く話し合うことによって解決策を見出していくことが必要である、このように考えております。
○城井委員 そうしますと、その最大限の努力の中には、負担を上積みするという選択肢はないということでよろしいですか。
○中山国務大臣 そのように考えております。
○城井委員 もう一つお伺いをさせてください。
この予算についてですけれども、当初から、出資は原子力予算の範囲を超えないというふうに言明をされているわけでございますけれども、その方針は今後も堅持をされるんでしょうか。
○中山国務大臣 このITER計画につきましては、平成十四年五月三十一日の閣議了解におきまして、「他の科学技術上の重要政策に影響を及ぼすことがないよう、既存の施策の重点化、効率化を図り、原子力分野の予算の範囲内で確保すること。」とされておりまして、ITER計画に係る経費については、今後ともこの方針に沿って適切に確保してまいりたいと考えております。
○城井委員 今、大臣がおっしゃったその閣議了解のところでも、その根拠となっている総合科学技術会議からの意見のペーパーにも、先ほどの重要政策に影響を及ぼさないという点を含めて五つの留意点がございました。この中にも、予定外の経費の増加がないようということも指摘がありますので、その点、ぜひお含みおきをいただきながら進めていただきたいと思っております。
そういった点を頭に置きながら考えますと、まず誘致ありきということではなく、やはりそういう予算の面含めまして、我が国として、戦略的な視点、そしてリスクマネジメントの視点というところからも見ながら、今回の、今突っ走っている状況だけではなくて、ほかにもきちんと幾つかの政策オプションを持ちながら進んでいく必要があるのではないかというところがあるというふうに思っています。そのために、今回、再評価が必要なのではないかということを申し上げているわけです。
ただ、その選択肢が必要だというふうに思う中で、今進められている誘致活動、とりわけ外交の場が舞台になっているわけでございますけれども、これが、先ほど御指摘申し上げましたように、非常にお粗末きわまりないと言ってもしようがないぐらいの状況にあると思っています。対戦相手のEUがある意味で二枚舌のような外交をされている一方で、我が国はどうか。非常に正直過ぎると思いますし、弱気過ぎるのではないかというふうな指摘もあるわけであります。
さきの十月の二十日の毎日新聞によりますと、このITERの建設地問題で、EUが日米韓の三カ国抜きでフランスに独自建設をするということを想定した予算案を作成していたことがわかったというふうな報道がございました。
例えば、先ほど言ったほかの選択肢といったときに、フランスに対抗している我々からしますと、日米韓、今応援していただいているアメリカと韓国と共同する形で独自に建設をするという選択肢を交渉カードとして持っているんでしょうか、いないんでしょうか。この点、大臣、お願いします。
○中山国務大臣 御指摘のように、EUが単独でこのITERを建設するということを想定した検討を行っているという旨の報道を受けまして調査しましたところ、フランスの中にそのような議論があったということを確認いたしました。仮に、欧州が単独でITERの建設を行うとすれば、これまで六極で築いてまいりました協力の枠組みを欧州が崩すことになるわけでございまして、これは大変遺憾なことであると考えております。そうすれば、ITER計画自身はもとより、科学技術の国際協力全般にもはかり知れない影響を及ぼすこととなりまして、思慮深い行動とは言えません。
日本といたしましては、このITER計画は基本的に六極協力枠組みの中で進めていくべきものと考えておりまして、これにつきましては、各国とも共通認識を形成しながら、できるだけ早期に六ケ所でのITER計画実現に向けて最大限の努力を行っていくということでございます。
今後、御指摘ありましたように、三カ国でどうかというふうなことにつきまして、交渉カードにつきましては、今後の交渉に差し支えますので、この場でお答えすることは差し控えたいと考えております。
○城井委員 では、この点についてはお答えいただけるのではないかと思うんですが、実際、今カードを仮に見せないとしても、せめて今の交渉過程での相手の動きの情報については当然つかんでおかなきゃならないはずですけれども、今回のこのフランスから出た独自案が作成されているという状況を当然事前に御存じでしたよね。事前に御存じだったかどうか。この点、お願いします。
○坂田政府参考人 お答えいたします。
先ほど大臣からお答えいたしましたとおり、単独といいますか、ヨーロッパが日米韓を抜きにして建設を進めるというような考え方が、フランスの方でそういう議論があり、それらの議論がEUの中に議論用として提起された経緯があったということを私ども確認いたしましたけれども、それは新聞報道の前ではございません。新聞で報道されたことを機に私ども調査いたしました結果、そのような議論があったことを確認いたしました。
ただ、この情報につきましては、九月の二十四日に実はEUの閣僚理事会がございましたけれども、その前にフランスがそういう議論を提起したということでございました。しかし、先生もあるいは御存じかもしれませんが、九月二十四日の閣僚理事会では全くそのようなことは決定されておりませんので、一つの見方ではございますけれども、必ずしもそういう単独行動がいいというぐあいにヨーロッパの中でコンセンサスがあるとも言い切れないというぐあいに私どもは見立てております。
○城井委員 実際のフランスの独自建設案がいいか悪いかという話ではなくて、我が国が外交を進めていく上で必要な情報をきちんと得られているかどうかというところの方が今の段階では非常に問題だと私は思っています。
特に、今のお答えからしますと、いわゆる報道の前にはその動きをつかんでいなかったということがはっきりしたと思うんですが、その点については今の理解でよろしいですね。
○坂田政府参考人 私が申し上げましたことは、報道された内容そのものの確認につきましては報道後でございますけれども、欧州が日米韓とは例えばたもとを分かって、そして独自に建設を始める、そういう可能性といいますか、そういう懸念といいますか、そういうものにつきましてはかねてより私どもは持っておりまして、そのために、例えば日本を支持してくれております米国あるいは韓国とともにどのように対応するか、あるいはまた、そういう問題について、一応フランスといいますかカダラッシュの方を支持しておりますロシア、中国がどのように考えるか、決してそういうような欧州の動きは好ましくないということで常々議論をしてまいりました。
私どもが確認しておりますのは、中国あるいはロシアも含めまして、そのような単独の行動は決してよくない、やはりこのITERの問題につきましては六極で実現を目指すことが一番大事なことである、こういう点につきまして、中国あるいはロシアも含めて私どもは確認をとっておりますので、そのような方向で今後とも対応していきたいと思っているところでございます。
○城井委員 そのあたりのことも踏まえながら何点かお伺いしたいと思っておりますが、先ほどの御答弁の中にも少し触れられていたと思うんですけれども、日本が、九月の会合でEU側に、いわゆる非ホスト国でも十分なメリットが得られる枠組みを提案したというふうに聞いているわけでございますが、その提案の部分、実際にEU側から何らかの反応があったんでしょうか。そして、その反応があったとすれば、それに対する日本の評価というものはどうだったか。大臣、お願いします。
○中山国務大臣 九月に欧州に対して、ホスト国と非ホスト国の役割やメリットができるだけ近づくような新たな提案を行ったところでございます。この提案につきましては、欧州以外の他の参加国にも説明いたしました。各国から、日本の真剣な対応を多とするとの評価を得ております。
今月に入りまして、欧州からは本提案に対する対案が示されましたが、双方の考えが一致する点、一致しない点がありまして、今後とも欧州と協議を継続するということになっているところでございます。
○城井委員 次回の六極次官級会合の日程というのはいつになっているんでしょうか。
○坂田政府参考人 今大臣からも御答弁がございましたとおり、日欧それぞれの提案をもとにいたしまして日欧間での協議を継続することになっております。また、他の四極の反応もしっかりとこれから確認しながら進める必要がございます。したがって、そのあたりを十分見きわめまして、今後、六極による次官級の会合をいつやるか考える必要がある、決定する必要がある、このように考えております。
○城井委員 実際に、次の交渉のとき、非常に大きな山場になるというふうに思うわけです。恐らく政府サイドからはオプションについては詳しくは語れないと思いますので、私の方から、恐らくこういうことが考えられるだろうということを具体的に申し上げて質問したいと思っております。
実際に、先ほどのフランスの独自案というのは、今回の交渉の決裂を見越しての話だろうというふうに思うわけであります。その点をきちんと考慮した上で、日米韓による独自建設というものが本当に可能なのかどうかということはしっかりと詰めておくことは選択肢の一つとしてあるだろうと思うわけです。そのほかに、若干楽観的にはなりますけれども、日本とフランスとどちらに決まるにしても六カ国の協力体制を続けるというオプション。そしてもう一つ、これはいわゆる分散型ということになるかもしれませんが、建設自体をフランスに譲って分析センターを日本に置くという分散した考え方というのも一つ選択肢としてはあるんだろうというふうに思います。
先ほど御指摘を申し上げたように、七千億円というのは非常に大きなお金です。かつてこれだけの金額をかけた科学技術予算があったかというふうなところを考えますと、非常に慎重に当たるべきだろうというふうに思うわけであります。
そういった考えと、そしてオプションを頭に置きながら、いずれにしても、次のところ、具体的には、十一月の下旬の恐らくEU理事会のあたりでEU側が何らかのアクションに出てくるというふうに考えるわけですが、今私が挙げた三つの点を含めて、日本としてどのオプションを優先して取り組んでいくというお考えがあるかという点を大臣にお伺いしたいと思います。
○中山国務大臣 我が国といたしましては、人類の将来のためのエネルギー開発というITER計画の計画等にかんがみまして、基本的に現在の六極の協力枠組みによりましてITER計画を進めていくことが重要と考えております。
今後とも、欧州を初めとした関係国との協議を粘り強く進めながら、六極により六ケ所村でのITERが実現できるよう、最大限努力してまいりたいと考えております。
○城井委員 今までの御説明で国民は本当に納得できるか。今までもどれぐらい例えばITERという名前を国民が知っているかといったところを含めて、非常に弱いというふうに思っているわけです。
私も、今伺いながら、いわゆる交渉作業が継続中だから言えないというようなところでこの議論を流してしまうわけにはいかないというふうに改めて思っているわけであります。特に、今回のこの七千億円あるいは一兆三千億というお金は、さきに起こりました、今回の例の新潟地震の今計算をされている被害額と匹敵するぐらいの大きな大きな規模のお金でございます。
そういった意味では、文部科学省は、この大きな税金の重みというものをしっかりと改めて自覚していただいて、きっちりと我々を含めて国民に見える形で戦略的に取り組んでいただくという義務があるということを改めて御指摘申し上げて、お時間が参りましたので、このあたりで私の質問を終わります。ありがとうございました。
(後文略)