安全保障関連法案について
2015年5月15日
5月14日安倍内閣が集団的自衛権の行使を含む安全保障関連法案を閣議決定しました。私は今回の安全保障関連法案は、その内容も審議の進め方も極めて問題が大きいと考えます。安倍政権の言うとおりに法律を変えさせてはなりません。
私は政治家を志して18年、国の守りについては積極的に取り組むべき、と申し上げてきた政治家です。我が国の独立、平和と安全を維持し、国民の生命・財産・基本的人権、領土・領海などを他国からの不正の侵害から守るために、専守防衛に徹しながら日米同盟を深化させ手立てを尽くすことをこれまでも主張してきています。国連平和維持活動や人道支援、災害救援、海賊対処等の国際平和活動については積極的に取り組むべきです。他国軍支援については我が国の経験や知見が乏しくケースバイケースで慎重に対応すべきと考えています。
自国防衛と周辺事態は「現実的」に対応すべき。
国際人道支援は「積極的」に対応すべき。
遠方の国際紛争関与は「抑制的」に対応すべき。
これが私の考え方です。
この考えと安倍内閣の考えは全く異なります。実際国会での議論はこれからと言いつつも、内閣であらかじめ作った踏み込んだ結論を押しつけつつあります。
まず、内容についてです。
周辺事態への対応からいつのまにかアメリカとともに世界の警察の役割を果たす話へと手を広げてしまっています。
政府の新三要件はその発動や対応基準があいまいで時の政府の判断でいかようにも当てはめることが可能です。その上に我が国の武力行使が許される範囲が恣意的に変化するので歯止めがきかないのです。
切れ目のないという名目で自衛隊の海外活動の拡大に歯止めがかからない状況が生まれてしまいかねません。望まない戦争に加担するケースも生まれかねません。
安全が確保出来なければ撤退するなどと言っていますが、極めて非現実的です。
進め方も極めて問題です。
昨年2014年末の衆議院選挙でも自民党の公約の中ではこの安全保障関連法案の具体的な内容についてほとんどふれていませんでした。国民合意があるとはとても言い難い状況です。
その上、我が国の国会での審議にも入っていない段階で米国において安全保障関連法案の成立を勝手に宣言、国際公約して帰ってくる始末です。
進め方においても、国民軽視、国会軽視で、言語道断です。
これまでも申し上げてきましたが、憲法解釈を政府が便宜的・意図的に勝手に解釈変更している点も立憲主義に反し許されるものではありません。
いくつか問題点を指摘いたしましたが、その他にも問題が多い法案です。
東アジアにおける緊張関係を例に出すまでもなく、現実的な安全保障体制の構築は必要です。しかし、安倍総理の言葉からは、先の大戦の屈辱や汚名を晴らし、我が国を覇権国家としていきたいという思いばかりが見てとれるのです。威勢よくこぶしを他者に振り上げるのが本当の保守だとは思いません。戦後70年、一人の戦死者を出すことなく平和主義を貫いてきたわが国の歩みから外れ、我が国から戦争へ加担していくような道は広げさせるわけにはいきません。
本当の意味で国民と我が国を守るため、私も声を上げていきます。皆さんぜひ力を貸してください。
きい たかし 拝