ポストドクターの出口としての常勤ポストの必要性について、AIの導入インパクトについて、大学や研究機関のベンチャービジネス投資の促進について 、宇宙産業振興、特に小型衛星の量産化について

2018年4月12日衆議院科学技術イノベーション推進特別委員会

 

○笠委員長

次に、城井崇君。

○城井委員

希望の党の城井崇でございます。引き続き質疑をさせていただきたいと思います。松山大臣始め、どうぞよろしくお願いをいたします。

まず、ポストドクターの出口としての常勤ポストの増加の必要性についてお伺いをしてまいりたいと思います。

松山大臣は、大臣所信におきまして、若手研究者の活躍促進と述べられました。民間企業の就職や研究費についてはほかの委員からも本日触れていただきましたけれども、実際のところ、博士の受皿になる大学教員の採用数も減少しております。

ポストを得ることができたとしても、例えば、任期つきの特任教授、特任助手でありますとか、同じく任期つきの特別研究員であります。

文部科学省の「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査―二〇一五年度実績―速報版」によりますと、こうしたポストドクターの数は、ピーク時よりも減ってはおりますが、約一・六万人と高い水準が続いております。最も研究に専念できてしかるべきいわゆるポスドクの人たちが専念できていないというのが、大臣、現状であります。

文部科学省の同じ調査によりますと、このポストドクターの進路ですが、ポストドクターなどを結局継続、続けているという人が七〇%、大学教員はほんの九・四%、そのほかが九・七%で、よくわからないとかお亡くなりになったというのが一〇・九%。二〇一五年度から一年の間で常勤のポストを得ることができたポスドクは一割に満たないという状況であります。

万年ポスドクをふやすというのが政府の狙いだったということはないというふうに思いますけれども、実際、行き場のない博士、非正規の研究者や職員だらけになってしまっております。最近では、国立大学で、経験ある非正規職員の雇いどめも発生しております。研究現場をこのまま放置することはできません。

このポストドクターの出口、我が国の研究開発の最前線としての常勤ポストをふやす具体策について、松山大臣とそして文部科学省と、それぞれにお伺いいたします。

○松山国務大臣

城井先生にお答えいたします。

ポストドクターですが、我が国の大学や研究機関における研究活動において大変重要な役割を担っていると認識をいたしております。一方で、雇用が不安定、キャリアパスが不透明等の指摘もあると承知をしています。

今後、ポストドクターが安心して研究活動にいそしむことができるように、大学等における安定的なポストの確保、また人材流動性の向上など、若手研究者の活躍機会を創出していくことが大変重要であると考えております。

また、大学における非正規職員の雇いどめにつきましては、各大学におきまして、労働契約法の趣旨を踏まえて適切に対応していただく必要があると考えております。

いずれにしましても、我が国の科学技術イノベーション力を向上させるためには、創造性豊かな若手研究者の活躍促進が極めて重要でございます。

その具体的方策を、ことしの夏ごろに、統合イノベーション戦略の中にしっかり盛り込んで進めてまいりたいと思っております。

○新妻大臣政務官

城井委員、御指摘ありがとうございます。

ポストドクターは、我が国の研究活動の重要な担い手であり、実績を積んだポストドクター等の若手研究者が挑戦できるポストの拡充は大変重要であると認識をしております。

このため、文部科学省におきましては、優秀な若手研究者が安定かつ自立したポストについて研究できる環境を実現する卓越研究員事業や、教員業績評価制度の適正化や年俸制、クロスアポイントメント制度の活用などの国立大学における人事給与マネジメント改革の推進により、若手研究者のポストの確保を図っております。

また、研究現場を支える職員の雇用形態につきましては、労働関係法令に基づき、各法人が適切に判断し、定めるべきものと考えております。改正労働契約法の趣旨を踏まえ、各法人が適切に対応していただけるよう、引き続き厚生労働省と連携をしながら情報提供や制度の説明を行ってまいりたいと考えております。

今後とも、我が国の将来を担う若手研究者の研究環境の整備を図ってまいります。

○城井委員

キャリアパスの不透明性について、大臣からも言及をいただいて、認識は共有できているというふうに思っております。

その上でですが、多様なポストをつくっていくこと、あるいは、先ほど御紹介いただいた政策の入り口というのは大変重要だというふうに思うんですが、ただ、今ほどの御答弁の中で、具体的に、じゃ、幾つ常勤ポストをふやしていけるかという、その数、目標というものがなかなか明らかになっておりません。

先ほど申しましたように、常勤ポストが今幾つあるか。大学教員でいうと、一割を切っていますよと御紹介申し上げました。ポストドクターをやむなく継続している方が七割おられます。こういう状況を変えていくためには、大臣、やはり、ポスドクと常勤ポストの割合がせめて逆転するように、正規で働ける研究者の人たちがふえていくように、逆転を目指してというようなことも含めて、数字の明示が必要になってくると思うんですが、この具体的なポストの数の方針について、ぜひお示しをいただく方向で言っていただけませんか。

○松山国務大臣

大変重要な内容でございますので、御指摘を含めて、しっかり前向きに検討していきたいと思います。

○城井委員

前向きに検討ということで、ぜひよろしくお願いいたします。

もう一つ、大臣、現場の研究開発に当たる皆様の声をお届けしたいというふうに思います。

大学の教員の定年の延長の時期と重なった影響もありまして、最近、博士を取った人たちよりも、むしろ三十代半ばの若手研究者の方が、能力が高くても就職の面で割を食ってしまっているという傾向が今現場でございます。

また、若手研究者向けのいわゆる学振でありますけれども、博士取得後八年未満の者が多くて支援対象から外れるケース、そして、育休をとった女性の研究者も同じルールが適用されておりまして、現場で大変困っております。

このようにして、いわゆるルールは必要なんですけれども、年齢の制限や期間の制限というものが現場の実情と合っていないという状況があります。この点について、ぜひ見直し検討をやっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○松山国務大臣

重要な御指摘だと思いますので、その辺もしっかり受けとめて検討させていただきたいと思います。

○城井委員

ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

それでは続きまして、いわゆるAI、人工知能の導入インパクトについての政府見解についてお伺いしてまいりたいというふうに思います。

大臣所信でも、人工知能について触れていただきました。また、先ほどは、我が党の稲富委員から、定義についての質問がございました。大臣からは、定義は困難、基盤技術だ、こうした趣旨の答弁をいただきましたけれども、このAIの影響からはなかなか逃れがたいというふうに思っております。

特にこの五年、例えば、二〇一三年六月に発表された論文で、オックスフォード大学のカール・ベネディクト・フレイそしてマイケル・オズボーンによる試算、米国において、十年から二十年の間に労働人口の四七%がAIに代替可能であるという試算が発表されまして、世界じゅうに衝撃が走りました。私の仕事は大丈夫かと、国民の間でも随分と話題に上がったものでございます。

この学説は、学会でその後否定をされまして、この著者も、新たに生み出される雇用は考慮していないということは認めております。人工知能学会会長の山田誠二氏も、個人的には噴飯ものだという発言をされていると聞きました。

我が国では、今後、労働人口の一〇%をAIが代替し得るものというのが妥当な予測だ、人口減少を考えれば対応できる範囲内だ、こうした見方も示されております。

日本政府として、このAIの導入のインパクト、社会的な影響、特に、労働人口を代替し得るかという部分について、その影響をどのように評価をしているか、また、シンギュラリティーの到来についての想定はいかがか。こうした部分について、全体の部分では松山大臣から、そして、労働人口への影響については厚生労働省からお伺いしたいと思います。

○松山国務大臣

お答えいたします。

内閣府におきましては、平成二十八年五月に人工知能と人間社会に関する懇談会を設置いたしておりまして、人工知能に関する倫理や法、経済社会への影響、そしてまた研究開発等について幅広く検討しておりまして、昨年三月に報告書を取りまとめました。

この中では、今後の人工知能の進展に伴う雇用や働き方の変化に対応して、教育や環境整備等の政策が重要であることを指摘をいたしております。

同時に、人工知能は国民の豊かな暮らしに貢献する重要な技術でありますので、国際的な競争が激化していることから、政府としては、スピード感を持ってこの研究開発を推進していくことが重要と位置づけております。

政府は、昨年の三月に、我が国初の人工知能技術戦略を策定をしまして、この中では、生産性サービス、健康、医療、介護、そして空間移動、これを三分野重点事業として位置づけておるところでございまして、これをもとに、関係府省が連携をして、生産性の向上や医療 診断支援あるいは自動走行などの研究開発や社会実装というものを推進をしております。

引き続いて、政府を挙げて、この人工知能に関する研究開発は、加速をしながら、社会や産業に大きなインパクトをもたらすよう、画期的な成果が上げられるように、引き続き取り組んでいきたいと思っているところでございます。

○田畑大臣政務官

お答え申し上げます。

人工知能は、今松山大臣もお話しされましたとおり、国民の暮らしですとか産業や社会に大変大きなインパクトを与えるわけでございます。そしてまた、当然期待される重要な領域ということであろうかと思います。そのうち、雇用に与える影響については、やはり諸説あるものだというふうに承知をしているところであります。

厚生労働省においては、平成二十九年度版の労働経済の分析において、経産省の新産業構造ビジョンの中間整理を踏まえて、人工知能の進展等による産業構造の変化によって、一つには、定型業務が中心となっている職種におきまして就業者数の減少が見込まれるということ、二つには、専門的な技術が必要な職種やコミュニケーション能力等が求められる職種においては就業者数の増加が見込まれること等を、我々、整理をしているところでありますが、雇用に与える影響は職種によってもまさにさまざまであろうかというふうに予想をしているところでございます。

人工知能の進展によって、省力化の効果が人手不足の状況を上回ることになれば、失業が生じるということになるわけでありますから、人工知能等の進展による雇用、労働への影響について、これは引き続きしっかり把握、分析、検討に取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。

○城井委員

いわゆるAIの影響、特に労働人口への影響はなかなかはかりがたいというふうに私自身も思っております。

では、何が人間の仕事に残るかというふうなことを見ておきますと、例えば、クリエーティビティーが伴うもの、そしてマネジメントにかかわるもの、そしてホスピタリティーに関係するところというのが、それでも人間に残るということが学界でも言われております。

これまでも、産業革命というものは幾度かございましたけれども、そのたびに、人間にしかできない新たな仕事というものが生まれてきた部分がありますので、ぜひ、人間を真ん中にということでの取組はしっかり心得ていただいての取組を政府でもお願いしたいというふうに思います。

続きまして、大学や研究機関のベンチャービジネス投資の促進についてお伺いしたいと思います。官民の研究開発投資をふやしていく大変大きな入り口だというふうに思っております。前向きな取組になりますか、確認をしたいというふうに思います。

まず、研究機関によるベンチャーキャピタルについてです。

二〇一八年四月八日の日本経済新聞によりますと、国の研究機関によるベンチャー企業への投資を促すために、利益を国庫に納めなくてもよいというふうに制度を見直すというふうにありました。

この新たな制度見直しも含めてでありますけれども、この仕組みで民間のベンチャーキャピタルとの役割分担がどのようになるのか。民業圧迫にならないように工夫をされると思いますが、この点をお示しください。

○山脇政府参考人

お答え申し上げます。

御質問いただきました制度については、国立研究開発法人における経営努力認定に関する制度改善の件と承知しております。

これまで、国立研究開発法人が自己収入等によります利益を上げた場合、その利益について、翌年度に、法人の経営努力の結果として得たものであるとの認定を主務大臣等から得た上で、原則として、その五割を国庫に納付する、五割はその法人において執行することができるというふうにされてきたところですが、この制度では、国立研究開発法人が積極的に民間資金を獲得するといった自己収入増に向けた努力に対して十分なインセンティブが働きにくいという状況であったと考えております。

このために、今年度から、経営努力認定の基準を緩和するとともに、知財収入でありますとか受託収入等の自己収入による利益は、十割全額を認定をして、当該法人が国庫に納付することなく翌年度以降に執行可能とするようにするなど、制度の改善を行ったところでございます。なお、この利益については、ベンチャー企業への投資をするということだけではなくて、研究開発施設など幅広い用途に充てることが可能となっているところでございます。

○城井委員

続きまして、国立大学のベンチャーキャピタル投資についても一点確認をさせてください。

官民イノベーションプログラムは、総額一千億円をかけて、東北、そして東京、京都、大阪の各国立大学発のスタートアップ企業を育てよう、大学の意識変革を促そう、研究成果の社会還元を促そう、そういう取組になっております。

この取組が進んでおりますけれども、大阪大学のベンチャーキャピタルの関係者の声として、対象大学の研究をもとにした企業に限定したため、卒業生が学外で起業した会社への投資が難しくなった、こうした報道が出ておりますけれども、これは事実でしょうか。卒業後の学外における起業に対する国立大学ベンチャーキャピタルの対応について、見解を確認させてください。

○新妻大臣政務官

ただいま御指摘がありました官民イノベーションプログラムにつきましては、産業競争力強化法におきまして、大学ベンチャーがその大学の研究成果を実用化するときに、その大学ベンチャーに対して出資ができるとされております。

この研究成果には、実用化する研究成果が、その大学での研究成果がもとになっている場合が含まれております。したがって、御指摘のような、卒業生が起業した大学ベンチャーについても、その卒業生が在学中に行った研究をもとにした成果を実用化するものであれば、出資の対象となり得ると考えております。

具体の投資判断は各大学のベンチャーキャピタルが行うことになりますが、このような解釈については、再度、大学及び大学のベンチャーキャピタルに周知してまいりたいと考えております。

○城井委員

ありがとうございます。

大学での研究成果がもとになればということで確認をさせていただきました。ありがとうございます。

最後に、宇宙産業振興、特に小型衛星の利活用についてお伺いをしたいというふうに思います。

宇宙産業の振興の環境整備の一つとして、小型衛星の打ち上げがあるというふうに思っております。宇宙基本計画でも、そして宇宙産業ビジョン二〇三〇などにおいても、その取組想定がなされているというふうに承知をいたしております。

この利活用の見通しをお聞きしたいのと、それにあわせましてですが、この利活用に向けて、私から提案が一つございまして、日本国内において、特に自動車産業やIT産業の集積のある福岡県北九州市のように、部品産業を含めた物づくり技術の集積やバックグラウンドがある地域で小型衛星の製造ラインを設置していくという方法がなじむというふうに考えております。この小型衛星を今後数をふやしていく、製造を図っていくという段階において、地域の物づくり産業等の振興にもつなげていくという観点も考慮しながらの取組という部分についての政府の見解をお伺いしたいというふうに思います。

○松山国務大臣

お答えいたします。

近年、国内外におきまして、民間企業を中心に、多数の小型衛星を打ち上げよう、より多くの衛星画像データ等も取得しようとする動きが出てきております。

先生御指摘のことも踏まえて、今後の小型衛星の需要については、民間ベースの話でもございますし、基数など正確な数値も十分調べることは困難でございますけれども、さまざまな ベンチャー企業が小型衛星の活用を検討をしているところでございます。我が国のベンチャー企業では、アクセルスペース社は将来に五十基もの衛星を打ち上げる構想も持っておりますし、こうした動きが加速をして、世界的に小型衛星の需要が伸びていくものと考えております。

また、近年、衛星から得られる画像データ等をさまざまな分野で積極的に活用する取組が進んでいると認識しておりまして、我が国が得意とする農業分野でありますとか、衛星画像データをもとにおいしいお米の最適な収穫時期がわかるようになるなど、新たなビジネスが生まれ始めておるところも事実でございます。加えて、地震や津波あるいは洪水、災害状況の把握にも役立てておられるところでございます。

政府としても、こうした新たな分野での実証事業を通じて、より一層の衛星データの利活用の促進を図るとともに、御指摘の地域の物づくり産業も含めた異業種間のマッチング支援などもしっかりやっていきたいと思っておりまして、我が国の宇宙産業の振興に努めていきたいと思っております。

○城井委員

終わります。ありがとうございました。