科学技術振興について(特に、次世代スーパーコンピュータ、科学技術人材の育成等について)

第174回国会 衆議院文部科学委員会会議録第2号(平成22年02月24日)より抜粋

(前文略)

○田中委員長 次に、城井崇君。

○城井委員 民主党の城井崇でございます。
石井議員に引き続き、大臣所信に対して質問をさせていただきたいと思います。本日も質問の機会をいただきましたことを、まずお礼を申し上げたいと思います。
本日は、大きくは、科学技術にかかわる部分と、そして留学生にかかわる部分との二つを、短時間でありますが質問させていただきたいと思っています。
まず、科学技術振興についてお伺いをさせていただきたいと思います。
大臣所信におきましては、科学技術は、資源の乏しい我が国にとって、国家の将来がかかる重要な柱である、また、新成長戦略においても「成長を支えるプラットフォーム」という大きな位置づけをなされております。
この科学技術に関しては、特に予算の面から見ましたときには、限られた科学技術の予算をいかに思い切って投資していくか、また、その裏表になりますけれども、いかに効率的に配分をしていくかということが極めて大事だと思っています。
先端科学技術の開発自体に関しては、その重要性は論をまたないというふうに思うわけでありますが、ただ、肝心どころの政府の研究開発投資は、これまでの間見た場合には、横ばいないしは微増で推移をしてきたものの、他国に比べると見劣りをするばかりではなく、むしろ差が開く状況が続いてまいりました。国際競争力を失いかねない状況であります。
しかし、そうした中で、この新しい政権になりましてから、せんだっての新成長戦略の中でも、二〇二〇年までに官民の研究開発投資をGDP比四%以上ということで、極めて野心的な、大きな投資目標を数字で明示したということは、私はぜひここは高く評価をさせていただきたいというふうに思っています。この新政権にかわったことを我が国にとってチャンスと心得て、実現にぜひ力を尽くしてまいりたい、私自身も協力したいというふうに思っているところであります。
しかし、その一方で、旧政権下の科学技術予算に関しては、その使われ方の状況を見てまいりますと、特定の研究者に集中し過ぎた非効率な予算配分があったのではないかという現場の指摘。あるいは、年度末に近くなればなるほど、予算の使い切りのために、使わないような実験器具すら買ってしまうような状況が続いてきた、そうした無駄遣いが続いてきたというのが、やはりこれも現場の素直な声でありました。そうしたさまざまな問題点の指摘を踏まえながら、先ほどの野心的な目標に見合う現場の改革が必要だというふうに思っています。
さきの行政刷新会議における事業仕分けでも、こうした非効率な予算の配分を見直すべきという意見が出たところ等も踏まえながら、もちろん現場によって状況は違うわけでありますが、そうした部分を踏まえて、この科学技術の予算のあり方、大きな視点から見たときの今後の改善を含めての御所見、御見解をお伺いできればと思います。お願いいたします。

○川端国務大臣 科学技術に深い理解をしていただいて、評価していただいて、ありがとうございます。
御指摘のように、新たな経済成長戦略の中でも、いわゆるグリーンイノベーションとライフイノベーションを大きな柱の中の、四本柱の二本柱に据えまして、それを支えるプラットフォームとしての研究開発という位置づけをしていただきました。
そういう中で、大事な財源、税金を使って研究開発するときに、より効率的、効果的にやらなければいけないというのは当然のことでございまして、かねてから、特定の研究者に過度に研究費が集中しているのではないか、あるいは、同じ研究者が同じ研究課題でいろいろなチャンネルからもらっているのではないかというふうな指摘もございました。
そういうことを受けて、平成二十年一月から、競争的資金を受けている研究者の交付件数や交付額を確認できる業務支援システム、府省共通研究開発管理システム、e―Rad、エレクトロニック・リサーチ・アドミニストレーションというシステムということで、何とかのテーマ、あるいは何とか先生ということを検索しますと、そこにどういうテーマでどういう研究開発資金が行っているかというのが全部検索できるようなシステムが既に立ち上がりました。
そういう意味で、いろいろな研究費の配分をつかさどっている担当者は、検索することによって、事業に応募してきた研究者が現在どういうところでどういう資金をもらっているのかが全部わかるようなことになりますので、確認をしながら重複を避けるということで、研究費の不合理な重複あるいは過度の集中の排除等の研究費の効率的な配分に向けた審査を行う、審査段階でこれでチェックをするということで、最大限そういうことが起こらないようにということをしております。
さらに、研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドラインを策定しておりまして、このガイドラインの中で、御指摘の年度末の予算の未執行が、これも検索でわかりますので、わかったときには無理なことをしないようにという指導と、返還あるいは翌年に繰り越せる資金もございます。
ここの部分が実は、また別の意味で問題になりましたプール金問題とか、今の、年度末に一気に不必要なものまで使ってしまうケースもあれば、何か使ったことにしてプールするというふうな不祥事を生んだこともございます。
そういうことのないように、年度末での未執行状況を適切に把握して、返還、翌年度に繰り越しとかの指導を今行っているところでありまして、今後とも、柔軟な対応を織りまぜながら、適切、効果的な資金が配分され、執行されるように、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。

○城井委員 ありがとうございました。
人材育成にかかわる研究費の部分は、後ほどの質問で一問触れさせていただければと思っています。
今の御答弁の中で、人材ごとの検索が可能になったというのは前進だと思っておりますが、せっかく準備した道具もやはり運用段階が大事だというふうに思っておりますので、その点は少しお手間をおかけしますけれども、目を皿のようにして見ていただくというところからまた御報告をいただければ、引き続き御努力をお願いできればというふうに思います。
続いてお伺いさせていただきたいと思います。
次に、その科学技術予算の投資の中で相当に大きな部分を占めている投資、具体的には、来年度の予算の項目で申しますと、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ、かまずに読めました。なかなか長い名前ですので難しいなというふうに思いますが、いわゆる世に言う次世代スパコンをいかに活用、整備していくかという話であります。ありがたいことに、世間の注目をかなりいただいているということであります。
最近、新たな方針が出されたことを伺っております。簡単に言うと、世界一よりは利用促進重視というふうに私自身は受けとめました。事業仕分けですとか、あるいはその後行われた総合科学技術会議などの議論を踏まえて来年度予算に盛り込まれたものというふうに承知いたしております。
ただ、今回のこの話は、国民に対する説明責任はかなり強く求められているというふうに思っておりますので、その点を踏まえて後ほどの御答弁をいただければと思いますが、幾つか課題があると思っておりまして、提案を含めて御指摘申し上げます。
一つは、来年度を含めて、その以降に幾らかかるかがまだ示されていないという点であります。
来年度予算はもちろん書いているわけでありますが、例えば基本設計の予算というところがあったりします。ただ、御説明を伺いますと、例えばネットワークをつくる、あるいはストレージの整備をやりましょうとか、クラウドではないという説明ではありましたが、そうやって、ある意味で全国の力を結集してという形でもしやっていく場合に、その基本的なインフラをつくるだけでも結構なお金がかかるんじゃないかと。専門家の指摘を幾つか伺っておりましたら、それだけでも数十億円はいくんじゃないのという指摘があります。その点で、あらかじめ見積もりをしっかりやっておくべきだというふうに思うわけであります。
また、これまでのスパコンの議論は、どうやら実際にかかわっていた現場の方々も踏まえて異論もある中で進めてきた状況があった。ならば、変更のこの機会に、これまでの世界一を目指すという、ある意味で力ずくの、ハード中心にということだけではなくて、むしろ、今回の利用促進重視というところも踏まえるならば、ハードとソフトと両方踏まえた協調設計というところを今回のこの機会にしっかり盛り込んでいくべきなのではないか。
あるいは、仮に世界一を目指さないとした場合に、それでも世界一を目指すというところに込めた思いというのが本当はあったはずで、どこを言っているかというと、世界一のスパコンで研究を進めることで、その進めた研究の応用技術の成果が信頼をかち取る、あるいは世界と競っていくときに位置を占めていける、そういう部分もあるんじゃないかというように思うものですから、そういう世界一の部分を仮に横に置くようなイメージになっているのであれば、その辺をどういうふうにとらえているかということも含めて、今後の次世代スパコンの整備、活用ということを踏まえた部分を、こういう前向きな部分をとらえてやっていこうとしているんだというところを、委員や国民の皆様を含めて、ぜひ御説明いただければというふうに思いますが、御見解をお伺いいたします。

○後藤大臣政務官 御質問ありがとうございます。
城井先生、本当に、事業仕分けの際、そしてそれ以降の、いろいろな角度から、科学技術を未来への投資ということで、地元でも、また国会の中でも多様な御発言をいただいていることを、まず冒頭、心から御礼申し上げたいと思います。
今御指摘がありましたように、次世代スパコン、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラということで、確かに非常にわかりにくい言葉になっていて、これからどうなるのよというふうな御指摘も正直いただきます。
ただ、城井先生が幾つか御提案をいただいた予算の部分でいえば、確かに、新しいネットワークを仕組んでいけば、そこで予算がかかることは当然であります。
ただ、いろいろな意味で、先生がおっしゃった部分の世界一を別に目指す、目指さないということは、これからも世界最高水準の技術を目指すということは当然大前提の中で、ただ、その設計の時期、ハードの完成の時期を若干おくらせるということで百億強の予算圧縮にとりあえず昨年末努めたということで、今回の平成二十二年度の予算の中に、予算の圧縮の中で御提案をさせていただいているということであります。
いずれにしましても、現在、確かに、供給主体、要するにつくる方、開発主体の部分が多かった前政権の中での次世代スパコンを、先生も十分御案内のとおり、利用者主体にしていこうと。そして、開発主体だと、非常に、それを使っていく人が多分二千人程度しかいないだろうというものを、利用者という視点ですとたくさんの方が使えますから、そういう部分で、二万人以上の方がまず完成した以降使うだろうということでこれからも対応していきますし、その利用と開発という、それを調整するためにコンソーシアムという考え方を編み出したというか進化をさせたものでありますので、でき得れば三月上旬くらいからそのスピードを加速し、コンソーシアムの成立も夏までに目指して、二十二年度末には本来の一つの方向性がきちっと、議員の先生方はもちろん、国民の皆さん方に十分理解をして、やはり日本はスパコンについても新しい形で世界最高水準を目指しているんだなという力強いメッセージが、事業仕分けや総合科学技術会議、いろいろな国民の皆さん方からも御提案をいただいた統合した形で、先ほど大臣も御答弁をさせていただいたように、科学技術立国の大きな下支えをする研究インフラだということを、きちっとした形で、私自身、大臣も含めて、国民の皆さん方にできるだけわかりやすい形で、これからも、いわゆる次世代スパコンの必要性について、また予算のあり方についてもきちっと御説明をしてまいりたいというふうに思っております。

○城井委員 ありがとうございました。引き続き前向きな取り組みをというふうに思います。
もう一つだけ御提案を申し上げておくならば、今の計画は、平成二十四年の六月でスパコンができ上がるはずであります。そういたしますと、その時点でもう既に世界一からはかなりかけ離れた状況になるというふうに予想がされる中で、次の次の計画をこの二年で組んでいく必要があるというふうに思っております。その点は内閣全体での議論が必要だと思いますので、宿題としてお持ち帰りいただければと思います。
続いて、科学技術人材の育成について質問をさせていただきたいと思います。幾つか課題があると思っています。
一つは、大学以降の人材の最終的なゴールであります。特に、大学院の人材、あるいは大学院修了以降のいわゆるポスドクと言われる方々もおられます。そうした方々の出口、人材育成のゴールを今までも示してほしいということでさまざまな場で申し上げてきておりますけれども、なかなか難しいのはわかりますけれども、この点、新成長戦略では若干盛り込まれがあったというふうに思っています。この点をぜひはっきり示してほしいというのが一つ。
そしてもう一つは、その育成段階での研究補助のあり方。先ほど大臣からも、プール問題という一言がございました。私はこのことはかなり重たいと思っております。なぜそういうふうになっているかといえば、一つは、支給方法が今の現場自体とは少しずれているからではないか。特に、これから二月、三月、四月、五月とちょうど年度がわりの時期で、研究費の部分では端境期に入ります。そうすると、研究費が足りない時期に入ったときに、その間、次年度の研究費補助が来るまでの夏あたりまでの間にどうやってしのぐのかという手だてがない。企業でしたら金融機関と相談かもしれません。研究者はどうするか、この点の答えがないわけであります。現場からはその悲鳴がもう既に上がっております。
そうした部分も踏まえて、今後の科学技術人材の育成について一言御見解をいただければと思います。

○後藤大臣政務官 先ほど城井先生が御提案をいただいたいわゆる次々世代のスパコン、これについても、当然のことながら、あらゆる国、あらゆる機関が速さも含めて世界一を目指しております。そういう中で、我が国としても、その努力は当然のことながら怠らないような形で対応していきたいというふうに思っております。
先生からの、先ほど大臣がお答えしたように、いわゆる研究費の流れについては、先生御心配のように、確かに、ある意味では公共事業もそうですけれども、年度初めというのが非常に予算がなくてちゃんとしたものができないということ、これも過去、前政権も含めていろいろな工夫をしてまいりました。
いわゆる科研費については、新規が大体二万五千件、継続が二万五千件、大体五万件が科研費の採択になります。応募が大体新規だけでも十万件という、この膨大な作業を四月一日から即執行できるには、まず、当然のことながら予算をきちっと国会で御承認いただくという大前提はありますが、やはりその準備の段階をできるだけ早目にしていこうということで、現在でもその十万件をどう絞り込むかということは対応しております。
したがって、できるだけ現場の研究者の皆さん方に御不安や御心配がないようにという努力はしている大前提で、年度内に予算が成立すれば四月一日に内示の交付というものがスピーディーにできるような形はとっています。
ただし、科研費の中でも大型の研究対象がございます。そこについては、書類審査だけではなくヒアリングも含めてやっているので、五月、ゴールデンウイーク明けくらいに内示をせざるを得ないという、ヒアリングが書面審査にプラスになるということで、城井先生おっしゃる部分でいえば、その部分をもっとちゃんとしろということですが、そこにはやはり大きな税を投入するということでヒアリングのプラスの作業が要るということで、ぜひ御理解を賜りたい。
いずれにしても、現場の研究者の皆さん方に御不安やおくれているなという意識がないように、これからも予算と国会のいろいろな御議論の前提の中でできる限りの努力をしてまいりたいというふうに思っています。
いわゆるポスドク問題も、私もこの五カ月間、ポスドクというのが、当初スタートしたときの意味合いから、非常に何かお荷物みたいな形のような感じが実はありました。
ただ、これも、有用な人材ということで、先ほど大臣もお触れになられましたいわゆる新成長戦略の基本方針の中にも、知恵と人材にあふれる国の実現に向けて理工系博士課程修了者の完全雇用を目指すということがうたわれておりますし、今この具体化ということで、各種の、いろいろテニュアトラック制度の導入や、イノベーションを創出する若手研究人材、総予算は昨年度より二十二年度はかなり伸ばした中で対応しております。
いずれにしても、ポスドク問題の解消は、職を得る機会ということで、産業界も含めて対応しなければいけない部分もたくさんあると思いますので、これからも文科省としても積極的に努力をしてまいりたいというふうに思います。

○田中委員長 ちょっと時間が過ぎておりますけれども、文部科学大臣から御発言をということでしたので、ちょっとどうぞ。

○川端国務大臣 済みません。さっきe―Radの略称の正確名を間違えておりましたので。済みません、貴重な時間に。
エレクトロニック・リサーチ・アンド・ディベロップメントの頭文字でe―Radということです。申しわけございませんでした。

○田中委員長 では、最後に城井委員、どうぞ。

○城井委員 ありがとうございました。
先ほどの御答弁の中での現在の努力については率直に評価をし、一つだけ提案を申し上げるならば、当該年度分の支給の一部の前倒しなんかの支給方法の改善というのを、検討をぜひお願いしたいというふうに思っております。
以上で終わります。ありがとうございました。

(後文略)